プロローグ~咲side~
昔に傷つき辛い思いをしたお姫様と困っている人を放っておけない王子様が出会い、喜び、悲しみ、喧嘩して、お互いが気づき、感じ、成長する甘くて、ほろ苦い恋物語。
『星花女子プロジェクト第三弾の参加作品になります。』
立成一六年 四月六日(金) 二三時一七分
部屋の窓から入る月の光。その光で灯りのついていない部屋を灯す。そして私は月の光に照らされ静かに空を見上げる。
「綺麗……」
空には雲一つなく、光り輝く星と月が夜空と組み合わさって、見上げる自分を魅了する。そして、自身の手に持っているマグカップからミルクティーの匂いが鼻へ、温かさは手に伝わり自身の気持ちを落ち着かせる。寝つこうにも眠れない私は眠気が来るまで、外の景色を眺めている。誰かと一緒に月や星を観るのが理想だが、ルームメイトは一時間前に寝床についた。
(あぁ……私も月のように誰かに必要とされたい……)
月を羨ましく思うのは当然だ。私という存在を簡潔に言うと、自分が『弱者』だから。
常に誰かに守られている。子どもなら親によって守られている。私はそんな自分が悔しくて、嫌だ。
(守られてばかりじゃダメだ)
この気持ちが自分にプレッシャーを与える。実際に誰かを守ろうとしても守れずにいる。それもそうだ。つくづく自分が不器用で気弱で、頼りなさそうに見える。
結局のところ、自分は『守られる人』なのだ。しかし、私を守ってくれる人は周囲にいない。
私は一人っ子で、パティシエの両親と祖母の四人家族で、大事に可愛がってもらった。
『咲ちゃんはお姫様のように可愛いね』
『さすが自慢の娘だ。身近にお母さんと咲がいるなんて、お父さんは幸せだ』
両親は私のことを大切に育ててくれた。良い事をすれば褒められ、悪いことをすれば怒る。時には両親から洋菓子の作り方を教わり、常連さんに振る舞ったりして、周囲の人にも喜ばせたりした。いつしかお店の看板娘となり、常連さんからも可愛がってもらった。自分にとって、それは幸せだと実感していた。
(もっと、こんな幸せが続いて欲しい)
そう願っていた。しかし、愛情をたくさんもらって育った私だったが、その幸せは長くは続かなかった。 自分が中学に入学した一二歳の一〇月に、洋菓子の材料を調達しに業務スーパーに行った両親は不幸にも、運転中に電話をしていたドライバーの車に撥ねられ、この世を去った。祖母も悲しむ暇もなく私の面倒を見ながら葬儀や後処理、親戚との調整などしていたため、一ヶ月後に両親の後を追うようにこの世を去ったした。
天涯孤独となった私は親戚の家に居候することになったが、私の家は親戚と仲が悪く、『星花女子学園へ入学するまで』、『高校では寮に住むこと』を条件に居候をした。本来なの、こちらから願い下げだが、他に最良の選択肢がなかったため、この選択をせざるを得なかった。親戚は私への態度も悪く、二つ上の従姉も幼い頃から自分の両親と仲が悪いことを聞いており、自分に強く当たることもあった。地獄と言って良いほどに辛い居候生活を経験した。条件通り一週間前に親戚の家を追い出され、学園の一般寮に引っ越した。
誰かが自分を守ってくれる保証のない不安が待ち受ける高校生活を送ることができるのか。そして自分をことを守ってくれる人はいるか。心に不安がよぎる中、眠気に誘われて私は静かにベッドへ向かい、眠りについた。
読んでいただき、ありがとうございます。
良い作品を書けるよう頑張ります。
よろしくお願いします。