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愛するが故に

作者: 桃丞優綰

夢で見たものを作品にしたものです。


ストーリー性があるので、普段小説読まれる方でも読みやすいと思います。

夕日が沈む


赤く赤く沈む


二人を前に


赤く赤く沈む


彼女は僕の肩の上に


疲れた顔をちょこんと乗せる


ふぅと溜め息一つ吐いたら


暗くなってく夜空を見つめた


僕も一緒に夜空を見つめて


ふぅと溜め息吐いてみる


重い空気が抜けていって


夜空目掛けて飛んでった



「明日だね」


「明日だね」


「あと少しだね」


「あと少しだ」


「今までありがとうね」


「何も出来てないよ」


「ううん。ありがとう。そして、宜しくね」


「まだ明日になってないよ」



僕が君を選んだこと


それは本当の本物の気持ち


それでも僕は


本当に選んで良かったんだろうかと


本当に選ばれて良かったのだろうかと


とてもとても


辛くなる


それほどに君は美しく


それほどに君は綺麗で


それほどに僕は穢れていて


それほどに僕はダメな男だ


君を守っているのだろうかと


僕は君を幸せにしてるのだろうかと



「守ってくれてありがとう」


「ううん。それは違うよ。守れてなんかいない」


「何言ってんの守ってくれてるじゃん」


「逆だよ。危険に晒している」


「でも、もうすぐだよ」


「うん。そうだね。もうすぐだ」



人口の増加が世界を壊した


無差別な規制が始まった


あの名とあの名とあの名の者よ


強き者だけ生き残れ


昔に倣って強くあれ


優秀な者が生き残れる


生きる権利を受けられる


そして始まる殺戮ショー


僕らの世界が壊れて崩れた


走って走って走り回った


逃げて逃げて逃げ回った


たった一週間


されど一週間


明日になれば全てが終わる


涙の後には笑顔が待ってる



「沈んじゃったね」


「沈んだね」


「今日はここで寝る」


「だめだよ。ここは見つかりやすい」


「でももう疲れちゃった」


「だめだよ。もう少し休んだら別の場所へ行こう」


「じゃあ、少しだけ膝枕して」


「少し、だけだよ」



出会ったときに一目惚れ


君は誰もが羨むマドンナだった


一方僕はでくの坊


でもどうしても気持ちが抑えられなくて


しつこくしつこくアプローチ


君は笑顔で受け入れて


美女と野獣がダンスを踊った


手を取り


足を弾ませ


くるくる回った


でも回り過ぎて世界も回った


ぐにゃぐにゃになって


涙が溢れた


僕は彼女を不幸にした


思えば彼女は本当に


自分のことが好きなのだろうか


ただただしつこいから


仕方なしの返事じゃないのか


色んな不安が浮かんでくる


夕日が沈んで夜になった


暗い暗い夜の中


僕は奮えが止まらなかった


何故僕が選ばれたのだろう


何故僕は選ばれたのだろう


死にたくない


死にたくはない


失いたくない



ピーピーピー



アラームが鳴った


僕らは飛び起きた



ピーピーピー



アラームを消さなくちゃいけない


僕らは手を無造作に出しまくった



ピーピーピー



アラームが大きくなる


僕らは手を出すのを止めた



ピーピーピー


ピーピーピー


ピーピーピー



三人いた


変なゴーグルをつけた


黒ずくめの三人


二人は男


一人は女


月明かりに照らされて


拳銃を輝かせて歩いていた


僕らは彼らに手を上げて


彼らが来るのをじっと待った



「僕は死にたくない」



僕は彼女を抱き寄せた



「えっ、なんで」



後ろから抱き寄せた



「僕は死にたくない」



涙を流して犠牲にした



「えっ、どうしたの」



大切なものを犠牲にした



「僕は死にたくないんだ」



大きな声が闇夜に吸い込まれた



「逃げて」



小さく小さく呟いて


僕は彼女を突き飛ばす


僕は土手を駆け下りて


彼女は明日の見える反対側へ



パンパンパン



音が鳴る


僕は飛んだ


大切なものを犠牲にしたから


深い闇へと飛んでった


でも悔いはないんだ


だって僕は本当に彼女を愛していたから



パン



音がした


目の端に見えた


彼女が拳銃持っていた


叫んでいた


一人にしないで


愛していると



パンパン



音がした


彼女が倒れた


赤くなって倒れた


僕は叫ぶ


目一杯叫んだ


愛していると






僕は強くはなかった


生きていけるほど


誰かを守れるほど


男らしく泣かずにいられるほど


僕は結局何をしたんだ



「やっとゆっくりできるね」



どこかでそんな声がした



「ああ、そうか」



僕は息を一つ吐いた



「おはよう」



目の前が白くなっていった



壊れた世界とさようなら


静かな世界でおはようさん


幸せ、かな


結構力が入りました。


感想など頂けると幸いです。

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― 新着の感想 ―
[良い点] ストーリーなのに、詩で、リズム感があるところが良いと思いました。 ドラマチックに描けていると思います。 [気になる点] 表現している分、分かりにくかった所です。 男性が女性を囮に逃げたの…
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