002 ちびくろ
喧嘩をした。
負けなかったけど勝てなかった。
血は出ていないけど、後ろの左の足が痛くて大きくなっている。
痛い足は地面と触れるともっと痛いから歩くのに使えない。
大きな中に入るのに、いつもの道を通って屋根に上るのも大変。
大きな中に入ったら早速アレに捕まった。
アレが「また喧嘩に負けたのか」なんて言っているけど、失礼な。負けてない。
足を触られると凄く痛いから文句を言ったらあまり足には触らなくなった。
アレは「外傷が無いから様子見だ」って言ってる。
外に行くのも大変で寒いから今日も大きな中で寝ることにした。
起きても痛いのは痛い。
ご飯を食べに大きな中の奥に行くとアレの家族にも見つかった。
名前と輪っかがあるから、大きな中の奥でアレとアレの家族がいてもご飯を食べられる。
兄弟はアレの家族がいない時か寝てる時じゃないと大きな中の奥にはいけない。
頑張ってケガを触られないようにした。
外で兄弟とご飯を食べた後、透明なのに痛かったら噛めばいいって言ってたのを思い出した。
噛んだら血と一緒に黄色いのが出た。
ケガになった。
黄色いのが無くなれば元気になるらしい。とりあえず舐めておいた。
大きな中に入ったらアレに見つかった。
アレは「汚すなよ」っていうけどケガだから血が出るのは仕方が無い。
アレは僕を膝の上に置いてケガをしているとこを見ている。
ケガをしているところを触ってきて痛いから逃げた。
あまり動きたくないからアレがいつも寝ている寝床で寝る。
もう少し痛くなくなったらケガしたとこを触るのを許そうと思う。
本当に痛いとやめてくれるし痒いとこを掻いてくれる。
今は痒いところが掻きにくい。
お母さんや兄弟にやって貰うのもいいけど、アレにやって貰うのも違った感じがして気に入っている。
兄弟とご飯を食べに出かけるのに跳ねるのも大変。
大きな中から外に出るには跳ねないといけない。
そしたらアレがあまり跳ねなくてもいいように台を用意してくれた。
のどが渇いたから水を飲みに出かけようとしたらアレが大きな中に水を用意してくれた。ちょっと楽になった。
透明な仲間達が水を零したら駄目だって言うから気をつける。
アレがご飯を食べに行く時に連れて行かれるようになった。
階段を降りるのは大変だから有り難い。
歩いて異常が無いか確かめないといけないから、戻る時は一人で戻る。
歩くのが大変だから出来るだけ大きな中にいる。
お腹が減った時とトイレの時しか外にいかない。
寝床は暖かいし、たまには違うとこで寝る。
大きな中に入ったところにも小さな寝床があるからそこでも寝る。
お日様が当たって気持ちいい。
兄弟達もそこでよく寝ている。
兄弟はアレをまだ警戒しているけど、僕を心配して寝床までくるようになった。
アレに見つかってもあまり逃げないでいる。
アレがケガをしたところを弄ってくる。
まだ痛いから嫌だって身体をよじったらやめてくれた。
でも、また弄ってくる。もう少ししたら痛いのも小さくなるからそれまで待って欲しい。
アレが血が固まって大きくなったかさぶたを取ってくれた。
かさぶたをカリカリするのはむず痒いけど好きだ。剥がす時はちょっと痛いけど。
かさぶたを取った後にぎゅっとするのは痛くても我慢したけど、白いので血と黄色いのをふくのは染みるから嫌だ。
逃げようとしたけど捕まっていたからすぐに逃げれなかった。
かさぶたを取るのは僕より上手いから我慢する。少し血が出たから舐めておいた。
ぷにぷにしたところもケガをして固くなっていた。
やっぱりアレか掻いてくれて半分取ってくれたから半分は噛み千切った。ここはもう大丈夫。
アレが「もう少しで治るから、そしたら布団カバーを洗濯しないと」って言ってた。
透明なの達は血が止まるまでアレの寝床で寝ないようにしてたって言ってたけど、アレが仕方が無いって言っていたから仕方が無い。
今日もアレの寝床で休むことにする。
兄弟もときどき来てくれる。
油断してたまにアレに触られているけど触られるまで気が付かないのは仕方が無い。
僕たちが気付かないなんてずるいと思うけど、あんなに大きいのに気付きにくいのも加護なんだって透明なのが言ってた。
大きなかさぶたがなくなったら足をついてもあまり痛くなくなった。
まだ走るのはつらいけどきっと大丈夫。
あまり寒くないから見回りもたくさん出来る。
でも、喧嘩は出来るだけしないようにしよう。