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しっぽの気持ち  作者: 九月二日に生まれた猫
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001 ちびくろ

勢いだけで書いてしまいました。

 僕がアレを気にとめるようになったのは、兄さんの後について大きな中に入った時だ。

 それ以前にも何度も見かけたし、時々はご飯を用意していたけど、お母さんは近くに行っちゃ駄目だって言うから近寄らなかった。


 何度か大きな中に入ってアレがいたから外に逃げて、やっぱり兄さんの後について風の当たらない中に入った時にアレが兄さんに話し掛けていた。

「おっ、まっちゃ、ようやく連れてきたな」って。

 兄さんにどういうこと? って聞いたら、アレに僕を連れてくるように言われたっていってた。

 兄さんは僕がいない時にアレにあって触らせていたって。

 寝る時にアレの足の間は安心出来るんだって。


 アレは大きくて怖いけど、兄さんは怖くないって、毛繕いもなかなか上手いって言ってたけどそうは見えない。

 兄さんに声をかけた後はこっちをあまり見なかった。

 ちょっと安心した。


 兄さんは僕を置いてアレの足の間で寝てしまった。なんか凄く幸せそうだ。

 アレも寝たようだからそっと見つからないように兄さんに近寄った。

 でも兄さんが気付く前にアレに見つかった。

 こっそり近づいたのに何で見つかったのだろう?

 兄さんに聞いても解らないって。

 その日は慌てて外に出ていつものとこで寝ることにした。


 起きて、何回か明るくなった頃に兄さんがやってきた。

 兄さんは遠くに行くんだって。

 ご飯の時間になっても兄さんは帰ってこなかった。


 兄さんがいなくなって大きな中に入るとやっぱりアレがいた。

 なんだか、アレも兄さんがいなくなって寂しそうだった。

 何度か「来るか?」って兄さんが寝ていたところを叩いていたがそこは兄さんの場所だから。

 それでも何度か呼ばれたから、ある日こっそり行ってみた。


 アレはきっと気付いていたけど気付かないふりをしていた。その時は判らなかったけど。

 アレの足の間は何となく落ち着く。

 兄さんが気に入っていたのも解る気がした。

 アレが起きる前にいつもの所に戻った。



 何度かアレに近づくうちにアレにも慣れた。

 アレは怖くなかった。

 毛繕いもなかなか上手かった。

 何故か喧嘩をするとすぐにバレた。

 アレは爪が割れてるとか、ケガしてるって言いながら爪をきれいにしてくれたり、痒いところを掻いてくれる。なかなか役に立つ。

 喧嘩をしたときにはいつも「喧嘩で負けてもいいけど大ケガはするな」っていう。

 少し大きなケガをした時はケガしたところを少し痛くする。

 痛いから反撃すると、痛くなくても攻撃するけど勝ったことはない。随分慣れている。

 アレは気が付くと側にいることもあるけど、攻撃したり近づくアレに気付いた時は少し強くなった気がする。

 もちろん、アレにケガしているのを見つかってはいけないのだけど、カサブタをカリカリ取ってくれるのは気持ちいい。



 雨の日は濡れるから嫌いだ。

 大きな中に入るにはどうしても濡れてしまう。

 アレに見つかると身体をワシワシされる。

 初めてされた時に「その辺うろついて汚すな」って言われたから仕方なしにワシワシされてやってる。これもなかなか気持ちいい。



 兄弟が増えて僕と同じくらいに大きくなった頃に、アレが「他の兄弟も連れてこいよ」っていうから連れて行った。

 下の兄弟達は大きな中に入るようになってもアレには近づけなかった。

 お母さんは何回かは入ったけど今は誘っても入らない。

 最近、アレが寝ている時は兄弟達もアレに近づいている。

 兄弟はアレが気付いていないと思ってるけど、アレは気付いてる。ようやく僕には判ってきた。



 近くに住んでる年寄りの仲間に聞いたら、アレは僕の住んでいるとこに昔住んでいた仲間と仲が良かったらしい。

 年寄りの仲間のお母さんのお父さんも昔は僕の住んでいたとこに住んでいたらしい。

 だから毛繕いも上手いし、痒いとこを掻くのも上手い。

 アレの側で仲間同士喧嘩してるのを見られてもいけないらしい。大昔から決まっているって。

 年寄りの仲間はお父さんから聞いたそうだ。


 アレは僕たちを見てうちからよそに行ったのの子供でも少しでもうちに関わりがあれば判るからだそうだ。

 それはときどき来る透明な仲間が言ってた。

 透明な仲間は昔僕の住んでいたところに住んでいたって。

 遠くに行ったけど偶に帰ってくるって言ってた。

 初めて見るやつでもアレが「うちに関わりある」って言えば、聞いてみると実際そうだったりする。

 アレは人間なのにどうして僕たち猫のことがそこまで判るのか透明な仲間は加護だって言ってた。

 大昔に透明になった仲間があげたって別の透明な仲間が言ってた。

 僕たちは僕の住んでるとこで生まれても他に住みやすいとこがあったらそこで住む。でも、何時でも帰って来ていいらしい。



 僕の住んでいるところでアレやアレの家族に名前を貰って首に輪っかをつけて貰うと、大きな中に入る時にどこからでも開けて貰えるようになる。

 兄さんには名前も輪っかもあった。僕にも首輪と名前がある。お母さんや他の兄弟には無いけどお母さんのお父さんにはあったらしい。

 今は何時でも入れるように一つだけ開いていて僕の兄弟も何時でも入れるけど本当は違うらしい。



 僕の名前はちびくろ。もう大きくなったけどちびくろ。半分白いけどちびくろ。

 僕の兄弟にも名前はあるけど輪っかが無いからまだ本当の名前じゃ無い。

 僕が遠くに行く前に輪っかが増えればアレも喜ぶと思う。


読んでいただいてありがとうございます。


「アレ」という呼称を「ソレ」にしようかと一瞬思い浮かんだのですが、思い浮かぶと同時にそれじゃぁ、住まいはワンダラーですし、不死者になって定期的にシャワー浴びさせるのも大変そうだと気が付いたのでやめにしました。


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