サキさん…
お弁当工場で…
派遣されてから、結構経つのだが…
そこは、昼に賄いが出るという、大盤振る舞いのお弁当工場だった…
昼は贅沢な肉や魚や、野菜など、弁当の残り物をいっぱい食べたのだった
さすがに腹いっぱい食って食って食いまくったボクは…
ちょっとばっかり、恥ずかしくなることもあった…
それで、お弁当の工場ということで、とかく女性の従業員が多い!
仕事はただ詰めていくだけ…昼休みには腹いっぱい食べられるときたものだから…
ボクはもう、鋭いことを言うのであれば、今までが散々だったこともあり
もうここでだったら、生きて行ってもいいで〜っす!
と断言してしまいそうな程ボクは、幸せ気分だった…
昼をいっぱい食べたあと、また仕事が始まる…
ボクは何かと器用だったので、そつなく、ミスなくこなしていく…
しかし、横目で、社員の人が居たのだが、ちょっと見ていると、
どうも、この人は、器用ではないらしい…
ボクはちょっと寄り添って、見ていると、先輩のお叱りが飛ぶ!
早くやんなきゃ!っと…
ボクは自分のことのようにズキッと来てしまう…
じっと見ていると、目元に、涙がほろりと光っているではないか!!
ボクはすでに心の中は…そう…
…萌…
の一言に尽きなかった…
どうしたら励ませるんだろうか?
でもこのまま見ているのもいいかもしれない…
やばい…おれってなんだかサドか!?
ボクはそうしてとりあえず、大丈夫ですか?と聞くと…
キリッとした目つきで、こっちを睨み、心配いりません!
という…
それもそうだろう…ボクはタダの日雇いだし…
というわけでその人は仕事をじっとこらえながらこなしていこうと
努力をしているのだったが、手が追いつかない…
どんどんレーンはつっかえいて行く…
う〜んこの人には、結婚相手やそういう関係の人が居て…
多分それで、仕事をしなくちゃいけないんだろうな?
それともおばあちゃんや介護している人が居て
お金が居るんだろうな〜とか妄想に走る…
ボクはすっごくその子が心配になる…
そりゃそうだろう…涙を見てしまったんだし…
ボクはでももう何も言わないで、仕事につく…
そうしているうちに…違うレーンに回されることになった…
ボクは心配は忘れたわけではなかったが…
仕事について行かなくてはならないので、
自分に戻る…
レーン作業は続いていたが、ボクは色々なことをそれから
考えて、そして心配してまた帰宅の時間になる…
ロッカールームで、着替えを済ませて、
バスに乗るのだが…
実際にバスの中では、誰が誰だが全然わからない…
白衣のクリーンスーツに身をまとっているので
誰が誰だかわからないんだ…
マスクにオールガードの服なので、なんにもわからない…
だから、バスに乗っている人が誰が誰かなんて
わかるわけがない…
そうしてボクはさっきの人が誰か
気になりながら眠りにつく…
バスはゆっくりと道を進む…
駅につくまでボクは眠っていたのだろうか…
降りてくださーいつきましたよー!
ボクはその声をフワーッと聞いてまた眠ってしまった…
その少しあと、笑い声のあとに、起きなよ!
と短髪の少し栗毛色だろうか?
聞き覚えのある声と覚えのある目元の
ボーイッシュな感じの女性がボクを起こす…
ボクは…あー…と言うとはっと目をさます…
あっすみません、すぐおります!
僕らは最後に降りるのだが、
その女の子にありがとうという…
喫茶店で、お茶するか?
っとその女の子はいうので僕らは近くのスタバに入ることにした…
まだうっすらとクリーンルームの帽子のあとが残っている
おでこを、隠しながら、またこっちを見る目にボクは
ふと、コレは…恋や何か…一目惚れ…?
…と言う感じを自制しつつとりあえず、話しだす…
お茶代は、ボク持ちでいいですよ…
その子はサンキュ!でも日雇いのしごとしているんだから
お金も大変なんじゃないの?と女の子…
おっと名前を言ってなかったな…
私はサキって言うんだ…
ボクはアリタって言いますとボクは言う…
サキさんは、正社員でやっているのは、それなりに
面接とか受けて大変だったんじゃないですか?
とボクは聞く…
サキさんは、あなたはどうして、日雇いの仕事なんかで
やってんの?と言う…
ボクは、とりあえず、ぼんやりとニートやってたんですが…
もうそろそろ、やんなってこの日雇いの広告を見て
始めたんです…
ボクは、色々と、そのサキさんに今までのことを
話したかったが…
サキさんは、これからもこの仕事を続けていくんですよね?
ボクはサキさんにちょっと、失礼な質問をしたか…と思ったが
聞いてみた…
アリタくんもそうするつもりなのかな?
私は、とりあえず、上京し来なくちゃいけない理由があって
今一人暮らしで、それで仕事をしないと行けないから
とりあえず正社員を探してたら、ここが入りやすそうだったからね?
ボクはそうなんだ…と納得した…