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学園奉仕活動 ―序―  作者: k.dameo
学園の馬鹿
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ヘブン&ヘル

 「うおおおーーー!!」

 


 逃げるなら彼処っ 。逃げるなら彼処ぉーーーーーーっ!



 呪文の様に頭でそう繰り返しながら廊下を走り、階段を駆け上がりを繰り返していた。

 

 「ちょっと待てって!てか、カーブバリ速い」


 ゴリラも必死で付いてきている。

 

 「はっはっは! 自主的に走るとわりと速いんだぞ俺!」


 少し遅れて上がってくるゴリラへそう返しながら、目的地への最後の階段を駆け上がる。

 

 「確かにぃ……はぁ……。リレーでは最下位やもんなぁ……」


 そう言うゴリラは走るのを止め、ゆっくり歩いて階段を上がってきていた。

 いつでも危機感の無いやっちゃで。

 

 「よし、入るか」

 「入るってか、出るやな」

 

 そうこうしながら、私達は最上階にある扉を開け、屋上と言う名の楽園への一歩を踏み出し

ていた。


 「いえい、ヘぶん―――んんっ!!」

 「な、なに? どうっ―――ぉおおおっ!」

 

俺とゴリラは屋上に出るなり驚きと恐怖に固まった。

 

「な、何故、お前が…………」


屋上の中央付近で腕組をして立ち、俺とゴリラを見据えている楽園には居る筈の無い女子に恐る恐る声を掛ける。


「クラスの皆が貴様に注目した時に抜け出したんだ」


女子は表情一つ変えず射ぬく様な視線を向けたままそう言った。


「ってことは、俺等逃げてたんじゃなくて向かってたのか」


「ほんまやなっ」


俺とゴリラは自分達の間抜けっプリに笑いが込み上げ二人して笑ってしまう。


「笑い事ではないっ!!」


「うおおっ」


「っくりした」


恥ずかしながらちっさなジャンプを披露してしまった俺たちに―――というか俺に視線を向けながら女子は更に続ける。


「貴様、私に言うことは無いのか?」


と。

 

「あぁ……いやぁ……」


そりゃまあ、確かに、言わなきゃいけないことは一つある。



 “消しゴム投げてすいません”だ。



「…………」


いや、待てよ。“消しゴムのカス投げてすいません”か?


いやいや、消しゴムのカスの集合体?


それか、カス投げてごめ~ん?


……ていうか、そんなことより―――。



「お前は誰だっ!」


「ええっ。おまっ、なんで……」


ゴリラは驚きで目を丸くして言い、女子も同様に驚きを隠せずにいた。


「いや、それはなんかぁ……疑問が先に立ってしまって。へへへっ」


なんだか恥ずかしくなり、痒くもない頭を掻いてしまうってもんだ。


「わ、私を知らないのかっ? 同じクラスなのにっ?」

 

女子は少しショックを受けた様だが、知らないものは知らなかった。


「いや、女王様とかお嬢様とか一部にはお姉様とか呼ばれてるのは知ってるけど……」


「名前はね~」と、苦笑いしながらもはっきり告げた。


「変な奴だとは思ったが、ホントに変な奴だったんだな貴様。いいか私の名前は」


鬼白 アリス。

俺とゴリラの二人と同じ2年B組で、母親が外国人らしくハーフってヤツらしい。

身長は177cm。体重は言わなかったが、趣味や好きなモノと名前以外の事までベラベラと語り、休日の過ごし方に差し掛かったので流石に遮った。


「分かった。よお~く分かった。俺と同じ位の身長で読書や映画音楽鑑賞。ハーフのアリスね」


「分かってくれたか? ……いや、まあ、そんなことはいい。で、話の続きだが―――――」


「人の事言えない変な奴だな」


「なんだと貴様っ!!」


いや、そりゃそうだろ。


「だって初対面で名前以外の事ベラベラベラベラとさ。しかも、同い年で貴様とか言ってる女初めて見たぜ」


「いや、一応毎日顔合わせてるけどな」


すかさずゴリラがツッコンでくる。


「う、うるさいっ! そんな事、貴様に言われる筋合いは無い!」


アリスは顔を赤らめキッと睨んくる。


「まあ、確かに。俺が人の個性やクセを言う権利は無いね。まあ、名前知れて良かったよ。じゃあ」

 

そう言い、きびすを返そうとした…………が。


「ちょっと待て」


案の定、呼び止められた……。


「ちっ」


逃げれると思ったのに。


「貴様今、ちって……」


「してないよ」


「いやっ、間違いなく舌打ちしただろ! ちってっ! 殴るぞ!」


「だ、駄目だ! どんな奴でも殴っちゃ駄目だ! バカっ!」


なだめる為に言ったが、一言多かった……。くそっ、ホント俺ってやつは……。


「貴っ様! 今バカって!」


「い、言ってないよ」


「嘘つけ! バカってはっきり聞こえた!! なあっ!」


遂にアリスはゴリラに同意を求め始め……。


「うん。言った」


ゴリラはものすごい速さで裏切った。


「ゴリラてめえっ!」


「ゴリラ言うなお前!」


うわっ、最悪っ! ゴリラが掴み掛かってきやがった! これじゃどっちが敵か分からんじゃな

いか!


「おい、ちょっとまて貴様等っ! 喧嘩するな!」


アリスがそう言った時、またもやいいタイミングでチャイム鳴り始める。


「ちっ、またもやチャイムかっ…………」


アリスは悔しそうにそう呟き、俺とゴリラを強引に引き剥がして道を作るとそのまま屋上の入り口へと向かって歩き出したので、我に返った俺とゴリラもアリスの後を追うように歩き出した。


「そういや、ロピアンと会えなかったな」


先程の喧嘩の再発はひとまずなさそうではあったが、無言で歩くのもなんだか居心地が悪かったので話のネタになればとゴリラへ向けて言ってみる。すると……。


「ロピアン?」


アリスが不思議そうな顔をしてそう問い。


「友達。D組の黄緑ロピアン司」


と、ゴリラがアリスの疑問に答え、思惑通り会話が立つ。


「おうりょくろぴあんつかさ? 変な名前だな」


アリスがストレートな感想を吐くの凄くわかる。友達ではあるが、俺も未だに変な名前だと思ってる。


「最初は爆笑したもんだよ。笑うために名前言わせたりしてな」


懐かしいなぁ、アイツと会った日…………。

ついつい、天井を見上げて思い出に浸ってしまう。


「最低なんだな貴様」


だが、アリスの酷い言葉と軽蔑を込めた視線で直ぐ様現実へと引き戻されちまった。


いや、でも、だ。


「まあ、ただ、変な名前だけどさ、彼もまた学年中で王子やロピアン様。一部にはお兄様なんて

呼ばれてるよ」


イケメンだしな。人気者なんだあいつ。


「ホンマになぁ」


同調するゴリラは王子様を待つ少女の様なキラキラした目していたので、きもいと指摘してやると「してへん」「してた」の口論が俺たちの間で始まり、再びアリスが仲裁する。



……というようなことを何回か繰り返し教室の前まで来た。そんな時だった。


「あ、あの…………さっきの話なんだが…………」


アリスがさっきのどの話かわからない話を切り出してきたのは。


「ゴリラ、キラキラしてたよな?」


とりあえず、さっきまでバトっていた話を出してみた。すると……。

 

「いや、知るか! というか、違う! 私が聞きたいにはお兄様とかお姉さまとかのやつだ!!」


と、すっごい怒鳴られた。

いや~……確かに自分でも違うだろうってことはわかってはいたが、さっきの話だけでそれは流石に出てこねえだろ……。


「お、お兄様とか、お、お姉さまってなんなんだ! 私は妹なんか居らんぞ!!」


「ああ~それは~……」


何も知らねえんだな、こいつ。やっぱまんまお嬢様なんだ。

ったく、やれやれだな。


「なんだ? 早く言え。お姉さまとはなん―――」


「禁断の愛」


掴みかかってきそうな雰囲気だったので、遮るようにして答えである言葉を吐いてやった。


「き、禁断の愛っっ?!」


ふっ、案の定だな。驚きで目を丸くしていやがる。






面白いじゃないか。


「あのな、アリス……」


アリスの左肩を掴み、これまでないってくらい真面目な顔を作る。


「な、なんだっ……!」


急に肩を掴まれたアリスは、掴む手と顔を交互に見て驚きを露にする。ますます面白い。堪え時だ。


「いいか……?」

 

ジッと目を見つめ少し溜めたところで、再び口を開く。


「愛に歳の差や性別は関係無い。君の好きな様にすべきだ」


「私の……好きなよう……に?」


「そうだ。女の子が好きでもそれはおかしいことじゃない。他人なんか気にすんな」


言って、アリスの左肩をポンっと叩くと、顔がニヤけてくる前にそそくさと教室にへと入り自分の席へと一直線で向かう。




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