(12)
ついに完結です!!
「ただいま!!」
「ただいま」
瑠奈と柚伊里が家に帰ると、そこは静かだった。
いつもなら、遥佳が迎えてくれるから、二人は不思議に思った。
そこに、遥佳の声が飛び込んできた。
「えぇっ!? 帰る!?」
「遥佳ちゃん!?」
瑠奈が遥佳の声のした方に走って行った。
そのあとから、柚伊里も走ってきた。
「あ……瑠奈、柚伊里。あのね、魔法界に帰るって」
「え……!?」
瑠奈と柚伊里は同時に言った。
急なことだったので、遥佳も驚いていた。
「何で、魔法界に?」
「柚伊里のお母さんとお父さんが……呼んでるって。悲しいって」
その言葉を聞いて、瑠奈はとても落ち込んだ。
瑠奈には両親がいなかったからだ。
「遥佳ちゃん、私は……?」
「もちろん、瑠奈もよ」
当たり前のことのように言う遥佳に、瑠奈はとても驚いた。
「私も帰れるの!?」
「そうよ」
瑠奈は飛び上がって喜んだ。
「転校届出さなきゃ」
遥佳はまた忙しそうにしていた。
こうして、二人は人間界を旅立った。
遥佳も、魔法界に帰ることになった。
~魔法界~
「お帰り、柚伊里、瑠奈、遥佳。ゆっくりしていきなさい」
瑠奈は学校に住むことになった。
柚伊里は両親のもとに帰り、遥佳は自分の家へと戻った。
「学園長、ありがとうございます。私は、本当にここに住んで良いのですか?」
瑠奈は、学園長の前ではいつもと違うようになる。
学園長の気迫に押されているのだろうか。
「いいえ。これからは私を母親だと思ってくださいね」
学園長の年齢は分からないが、見た目だけで見ると、30代くらいに見える。
実際、年齢を知る者はいない。
そして、瑠奈は、学園長のもとで一生を暮らした。
「リイユ!!」
「あ……私、リイユだったね。もう、柚伊里が染み付いちゃったよ」
リイユは笑いながらそう言った。
「そうね。これからは、どちらでもいいからね」
リイユの母は、優しい笑顔でそう言った。
「うん、分かった。ありがとう、お母さん、お父さん」
「あら、やけに素直ね。お父さん、見てくれているかしら」
リイユのお父さんは、リイユが人間界にいるうちに亡くなってしまった。
リイユは父の姿をもう、見れなかったのだった。
(お父さん、私は元気だよ。私、一か月後に10歳になるんだからね。
もちろん、人間界での数えだけど。これからは……リイユだね)
リイユは心の中で、そう思った。
「リイユ? どうしたの?」
「あっ、何でもない。今度、学校に行ったとき、瑠奈に……じゃなくて、
名前なんだっけ……。あ、ルウラだ!!
そう、ルウラに会うの、楽しみだなって。」
「そう。じゃあ、今日は早く寝なさい」
「はぁい」
リイユはベットの中に入って行った。
「ハルル、久しぶり!! 何年ぶりかなぁ!?」
ハルル(遥佳)は、昔の友達と会っていた。
「どうだった? 人間界は」
「そんなに面白いところじゃないよ。行きたいなら、私に魔力ちょーだいよ」
「あっ、それはダメ―。ねっ?」
ハルルの友達がそう言った。
「あ、うん。そうだね」
「え? 何々~?」
ハルルがそう聞くと、もう一人の友達が言った。
「ちょっと、ホウキブームになっちゃってね」
どうやら、古臭いと思っていたホウキが、人気になったのだ。
「へぇぇ。私がいない間にそんなことが……」
「いやいやいや、アンタが帰ってきた瞬間そうなったんだよ。英雄さん」
「はぁ? どういう意味?」
ハルルは厭きれたように友達たちを見下ろした。
「だーかーらー、ハルルが帰ってくるときにホウキで帰ってきたでしょ?
そのせいなのー」
ハルルは意味が分からなかった。
自分がホウキで帰ってきただけで、そんなことになるなんて、
思ってもいなかったからだ。
「そ、そうなんだ」
ハルルは、そう言ってうなずくしかなかった。
そして三人は、今も幸せに暮らしている――――――。
終わった……。
長かったですね。
意外と。
では、読んでくださった皆さん、ありがとうございました!!