(10)
二ケタ突入!!
いつになったら終わるのか……?
給食を食べ終わった瑠奈は、席から離れて里宇たちのもとへ向かった。
「里宇ちゃんたち、どうしたの?」
瑠奈は天然っぽく言った。
瑠奈は、もともと天然なのだが。
「あのさ、柚伊里ちゃんって、感じ悪くない?」
里宇がじろっと柚伊里の方を睨みつけながら言った。
どうやら、柚伊里の事が嫌いだそうだ。
続けて、未久も言う。
「だからさぁ、しゃべるのやめよう? 無視したら、
柚伊里ちゃんも反省するんじゃないかなぁ?」
「そーそー。だからさっ、瑠奈ちゃん……」
「裏切ったら、容赦しないよ?」
その時の里宇の顔は、まるで別人だった。
冷たい、奥に潜む悪が引き出された瞬間だった。
(何……? みんな、もしかして柚伊里の事、いじめたりするつもり?)
瑠奈は、天然だが、意外と人の思ってることを当てたりする。
魔女の子供だからだろうか。
瑠奈はすごく寂しそうな顔をして、三人に向き直った。
「そういうのは、嫌。私、そんなのには、参加しない」
「なっ、なんですって!?」
里宇が血相を変えた。
そして、次の瞬間、瑠奈に殴りかかったのだ。
「瑠奈っ、危ないっ!!」
柚伊里の声が教室に響いた。
柚伊里は瑠奈を突き飛ばした。
そのおかげで、瑠奈は里宇の手が当たらないで済んだ。
その代わり、瑠奈と柚伊里はしりもちをついた。
「たた……。瑠奈、大丈夫っ!?」
柚伊里は心配そうに瑠奈の顔をのぞきこんだ。
「ん? あ、大丈夫だよ。柚伊里は?」
「私は、大丈夫だけどっ……。それより、あんた、瑠奈を殴ろうとした?」
「あっ……。な、何なのっ」
里宇は極まり悪そうに言った。
そして、未久と紗綾を連れてどこかへ行ってしまった。
「何だったんだろうね、あの子たち。瑠奈、何の話だったの?」
柚伊里にそう聞かれて、瑠奈は一瞬戸惑った。
(こんなこと言っても、大丈夫かな……。でも、柚伊里ならきっと……!!)
「あの、柚伊里を無視してって、言われたの」
「はあっ!? あいつら、ほんっとバカじゃない!?」
柚伊里はあきれたような、驚いたような、曖昧な表情を見せた。
今まで、瑠奈が見たことのない表情だった。
(柚伊里が、表情豊かになってる……?)
瑠奈はなぜか、素直に喜べなかった
――――――なんで?
最後だけちょっと変えてみました?
どうですか?