k2
ー 12:00 ー
昼になると皆、椅子の数の少ない食堂へ分からない程度に早足で向かう。
今日のメニューはなんだったか…
混雑している場所は苦手のため外の喫煙所で時間を潰す。
「よう。昨日は楽しめたか?」
口にタバコをくわえながら昨日の同僚が話しかけてくる。
「だから、そんなのじゃないですって。」
適当に話を流しながら、名前を考える。
なんだったか…
「入って数ヵ月のやつが断るなんざ、女しかないだろう」
そうだ。女が絡んでくると異様にしつこいので有名らしい吉田だ。
今も探る様な目を向けている。
「むしろ紹介してほしいくらいですよ。吉田さん、飯は?」
「もう食った。」
自分はこれからだと伝え、その場を去った。
吉田…面倒臭い奴だ。
終業のチャイムが鳴り、周りと同じように帰り支度を始め
帰り際にコーラの500mlを買い鞄に詰め、電車に飛び乗る。
家の大分手前の大きな橋の近くの駅で降り、コーラを飲みながら川を目指す。
流石にこの時期にコーラは無謀だな…
何とか飲み終えて、今朝引き出した金を飲み口に詰め込む。
中身が入っていたばかりなので、だいぶ札が濡れたが気にしない。
全部詰め込み終わると油性ペンで底に点を1つ描き橋のたもとに放り投げる。
これでよし。
大分、体が冷えた。家にもどったら熱いシャワーを浴びよう。