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第一話

朝、ベッドの上で目を覚ます。


いつまでも布団にくるまっていたいけど、そういうわけにもいかないから、


カーテンを閉め忘れた窓から、ハイテンションに照りつける朝日を恨めしく思いつつ、


気だるい体を無理やり起こして、あたしはベッドを抜け出した。



ふっと、異変に気づく。


あるべきものがない。


というよりも・・・


記憶と違う家具の配置。


見慣れない部屋。



しばらく考えて気がついた。


あぁ。あたし、昨日は家に帰ってないわ。



小汚い、安っぽいホテルの一室だと気づくには、ちょっと時間がかかった。

普段はあんまり、ホテルは利用しないんだ。


目覚めのコーヒーは、ルームサービスで頼む。

ついでに、朝食もセットで。


いや・・・普通は、朝食のセットにコーヒーだな・・・。



どっちにしたって、随分シケタ朝食だ。




一緒にいたはずの男のぬくもりは、


もうとっくに消えてなくなっていた。


気づかなかったけど、随分と早くに出て行ったらしい。



テーブルの上で、諭吉が三枚笑っている。



昨日の夜、行き場のなかったあたしを、見知らぬ男が買ったんだ。



あたしは、夜さえ越せればそれでよかったから、


男に買われることなんて、抵抗がなかった。


一人で闇の重さに苦しむぐらいなら、


ただ欲望をぶつけ合うだけの行為に溺れるほうがましだった。


だって、それって一人じゃないってことでしょ?




男の名前は知らない。


名前はおろか、顔すら覚えていない。




あいつに会うまでは・・・


そんな毎日だったんだ・・・。


それでよかったんだ・・・。

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