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昔むかしの森の中は。
あれ、癒しが一欠片も入ってない……。
遠い遠い、星の元。
鮮やかな色は、花の色。
燻る甘い匂いと、煌々と在る光の香りと。
この場は淋しくなどない。
沢山、見付かるものがある。
苦しければ、こっちにおいで。
悲しくなったら、思い出せばいい。
そして楽しくなって、また今度と言えば。
――皆みんな、ここを忘れて去っていくから。
思い出の場所。
記憶。
そして、過去。
名も無くした太古の森。
楔に囚われた、憐れな少女。
鎖に囚われ、目の前から消えるのは――…………
おいで。
おいで。
今度は、貴方が唯一人の――……
待つのは、嫌いじゃないから。
だから、早くおいでよ。
――貴方だと知れた時は、私が貴方を閉じ込めてあげるからね。