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練習用ラブコメ

作者: さくらもち
掲載日:2025/11/17

「え、お前修学旅行で告るの!?」


 こいつは、小林。俺の親友の中で一番信頼できるであろう男だ。そいつと、放課後の教室で恋バナをしていた。 俺には、好きな女がいる。そいつに、修学旅行で告白をする。そんな内容の恋バナだ。


「ああ、そうだ。もう2年も片思いだから、卒業するこのタイミングでケリをつけたい」


 俺たちは、現在中学3年生の2月2日。そして、中高一貫というわけでもないから、ここで告らなければ、もうチャンスはやってこないだろう。だから、来週の2月8日から6泊7日の修学旅行で告る事にしたのだ。


「いいじゃん!!何日に告るのか決めてるの?」


 まだ詳しいところまでは考えてないわけだが。


「6日目、夜にホテルの屋上に誘うつもり」


 それを聞いた小林は少し考える素ぶりを見せた。


「最終日前日の夜景、丁度いい場所じゃないか。だけど、そんな所に呼び出してしまったら、君の好意が勘付かれちゃうかもよ?」


 勿論それも知っている。だが、別に気にするようなことではない。なぜなら、


「そんなのもうとっくにバレてるから」


 少し、顔が熱くなる気がする。もしかしたら、バレてないかもしれない。誘う時にバレるのかもしれない。だけど、好意を向けられている事に気付いたとして、だれが不快になるのだろうか。それこそ、よっぽど嫌われていない限り有り得ないだろう。そして今、俺とあいつの関係性は、良好である。だからこそ、もう好きなのはバレている、という心持ちであいつの事を誘うつもりだ。


「へー、そうなんだ」

「なんか軽いな」

「じゃあ、騒がれたかった?」

「別に、それは求めてないが、少し意外だったもので」


 それに、小林が言葉を返そうとした瞬間、教室の扉がゆっくりと開く。そして、入ってきたのは、今話題に上がっていたあいつ、こと鈴木だった。そして、それがわかった瞬間、背筋が凍りつくような感覚に襲われた。今までの会話が、聞かれていたのだろうか。まさか、こんな時間まで人がいるなんて想定していなかった。しかも、それが鈴木だという覆りようのない事実に、ただ茫然としていると、小林の声が聞こえた。


「あ、鈴木さん!どうしたの?」

「ちょっと忘れ物しちゃって取りに来たのー」


 ああ、やはり可愛い。まず、そもそもとして顔が、美しい。黄金比が美しいと思えなくなるほど、彼女の顔は美しかった。さらに、そこに可愛い性格ときたものだ。どこにこいつに惚れない男がいるというのだ。


「小林くんと、小沢はなにしてたのー?」


 鈴木の可愛い所を考えるのに脳のリソースを割いていた俺は、その問いかけに反応できなかったが、またしても小林に助けられる事になる。


「あー、ちょっと恋バナしてたんだー」


 それを聞いて、鈴木は、少し動きが止まった。そして、次に出てきた言葉は、


「それって、小林くんの?それとも、、、」


 そこまで言い掛けて、言葉が詰まったらしい。まさか、俺の名前、忘れられたのか!?だとしたら俺、3日は寝込むぞ。

 そんな俺の気持ちを理解したのか知らないが、なぜか突然ニヤニヤし始めた。


「ん?こいつの話聞いてた」


 なんで、言うんだよ!!バカじゃねえのか!!


「あー、悪い、俺ちょっと忘れてた用事あったわー、じゃ、お先ー」


 そう、わざとらしく言う小林は気持ち悪いくらいに、親友だと思いたくないほどにニヤニヤしていた。そして、そのまま立ち上がり、バックを背負い、鈴木が開けたドアから出て行く。

 そして鈴木と2人きりになったわけだが、気まずい。だが、来週に付き合おうとしている人と会話が出来なくて、どうする。そして、喋る言葉を探していると、鈴木が俺の方に歩み寄ってくる。


「誰が、好きなの?」


 近寄ってきたにも関わらず、目を逸らされる。これに、俺はなんて返すべきなのか。今、言ってしまうか?

 そして、感情と思考がぐちゃぐちゃになっていき、、、考える時間がない事に気づく。鈴木からしてみれば、自分の言葉を無視されている、と言うふうに見えるだろう。それは駄目だ。だから、俺は一番簡単な選択肢を選ぶ事にした。


「俺が好きなのは、鈴木って奴だ。誰にでも明るく接していて、たまに元気がなさそうなことがあっても、話しかけたらいつも通りに接してくれる。そんな、君が好きだ」


 言って、しまった。本来であれば13日に言うはずだった言葉を、ここで、言ってしまった。言っちゃった。言っちゃった。あー、あー。

 そして、そして、鈴木が俺の方を見詰めてくる。


「私も、小沢の事、好き」

「じゃあ、僕と付き合って下さい!」


 勢いとその場の雰囲気に後押しされたから出た、その言葉。鈴木が、俺の事を好きだった。全くそんな素ぶりを見せなかったが、そう言われた。これは、確定と言っても過言じゃないだろう。

 そして、鈴木は少しはにかんで、答えた。


「これからよろしく」



 その言葉が耳に届いてから理解するまでに、そう長い時間はかからなかった。



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