【裏話】 ケルトには存在しない?バルガンの包丁とエプロンの秘密
今回はギルドの戦士兼料理担当……みんなの頼れる『父ちゃん』バルガンのキャラクター創りについて語ってみようと思います!
物語の中で「ちょっと浮いてるな?」と思うキャラクターや小物ってありませんか?
たとえば異世界ファンタジーの世界観なのに、なぜか最新スマホが普通に出てくるとか、バイクが爆走しているとか。
そうした「異物感」が逆に物語を盛り上げるスパイスになることもあります。
私の作品に登場する白銀の角笛団の戦士・バルガンも、まさにそういう存在です。
彼は筋骨隆々の戦士でありながら、武器と同じくらい大切にしているのが——包丁とエプロン。
◆包丁はケルト世界に存在しない!?
『ティルナノ』はケルトの文化をベースにしたMMORPGで、作中には竪琴を奏でる吟遊詩人や、ドルイド僧、女神モリガンを信仰する戦士などが登場します。
なので基本的な道具や武具も、史実や神話に登場するものを参考にしています。
剣、斧、槍、盾、石の祭壇、ハープ……そういったものたちは「いかにもケルト!」な雰囲気を演出してくれますよね。
けれど、そこに突然「包丁」が出てくるとどうでしょう?
厳密に言えば、ケルト世界に「調理専用の包丁」は存在しません。
肉を裂くには短剣や鉈のようなものを使い、調理器具はせいぜいナイフや火ばさみ程度だったはずです。
つまり、バルガンの包丁は——本来、この世界には存在しない“異物”なのです。
◆エプロンの違和感と親しみやすさ
さらに彼は調理をするとき……どころか、戦う時にさえ革製のエプロンを身につけます。
もちろん革エプロン自体は鍛冶師などが身につけるので、存在してもおかしくはありません。
でも「戦士が戦場でエプロンをつける」という発想は、どう考えても異世界的には浮いています。
——にもかかわらず、読者や登場人物たちに親しみやすく映るのはなぜでしょう?
それは、バルガンの「戦うこと」以上に「食べること」「仲間に食わせること」に情熱を燃やすというキャラにピッタリと合っているからです。
だからこそ、エプロン姿の彼は“戦士”というより“大家族の頼れる父ちゃん”のように感じられ、物語に温かみを与えてくれるのです。
◆異物感は、キャラを際立たせる
バルガンが包丁やエプロンを使うたびに、物語は一瞬「素」の方向にずれます。
重厚なファンタジーの戦場に、突然「野菜を食わんと大きくなれんぞ!」という生活感丸出しのセリフが飛び込んでくる。
それが逆に緊張感を和らげ、読者に「このギルドは戦うだけじゃないんだ」という安心感を与えてくれるのだと思います。
しかし、「ケルト世界に包丁は存在しない」という史実を知っている人からすれば、
「おや? これはおかしいぞ」ツッコミを入れたくて仕方ないことでしょう。
それでも、史実とフィクションの間で悩みながら「包丁」と「エプロン」というワードと小物を選んだのは、彼の人間味を描くのには、やはりこのチョイスがピッタリだと思ったからです。
次にバルガンが「ダーッハッハッ! 野菜を食え!」と叫びながら包丁を振るう場面に出会ったとき、
その背後に隠された「レシピ」を、ちょっとだけ思い出していただけたら嬉しいです。
いかがでしたでしょうか?
野菜推しの心優しい『父ちゃん』、バルガンの活躍に興味を持っていただけましたら、ぜひ本編も読んでみてくださいね♪
『異世界で待ってた妹は、モーニングスターで戦う魔法少女(物理)だった件』
本編はこちら → https://ncode.syosetu.com/n5538ky/




