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せーぶあんどろーどのせかいで!  作者: かき氷とシロップ
始めての出会い。始めての冒険。
2/3

セーブ&ロードの世界で生きてゆく

この小説には卑猥な単語がでてきます。気を付けてください。


みなさんこんにちは。

かき氷とシロップです。

小説家になろう!での投稿は初めてなので、少々ミスや見づらいところがあると思います。それを承知の上で見てくださると幸いです。

SHR(ショートホームルーム)が終わり放課後になった。

重い足取りで階段を下り、駐輪場まで向かう。

俺の教室は3階にある。だから下りるのがめんどくさい。「はぁ……。」と、ため息をつく。

このため息はめんどくさいという気持ちのため息だけじゃない。毎日毎日変わらない日々。ゲームが上手い訳じゃないし、かわいいって訳でもない。勉強も運動も出来るわけでもない。なんならできない。辛い。苦しい。早く死にたい。こんな生活からおさらばしたい。そんなことも混じっている。仕方なく生きている。今の俺はそんな状態。そんなことクソみたいなことを考えながら階段を下りる。

なんの予兆もなく

ドンッ

と何かを思いっきり押したような音がした。

いや、違う。

()()()()

どんどん床が視界に近づいて行く。せめて俺を殺す奴の顔を拝んでやろうと振り返ろうとするが間に合わない。

気づいたときには、視界はブラックアウトしていた。


──重い瞼を開く。

俺は椅子に座っていた。白く、上品な雰囲気の椅子だ。

「おや、目が覚めましたか?」

知らない声が空間に響く。柔らかく、温かく、優しく、美しい。思わず意識を吸いとられそうになる声だ。頭を上げ、その声の主を探そうとする。

「はじめまして。三条渚さん」

その声の主は俺の名前を呼び、「はじめまして」と、挨拶をする。こちらも挨拶をしようとするが声が出ない。まるでなにかが喉に突っかかってるかのように。

「ぁ……はじめ……まし……て」

どうにか声を絞り出せた。挨拶はこれでいいだろう。というか、なぜ俺の名前を知っているのだろうか。人と喋らない主義の俺の名前を知っているなん……て。

「……!」

顔を上げ声の主の顔を見る。その顔は美しかった。一目で惚れてしまうくらい。

声の主は不思議そうに首をかしげ俺の顔を見つめる。一言でその顔を表すなら、「天使」。この言葉が一番似合う。これから声の主は天使と呼ぼう。

天使は白い椅子に座っている。その姿はかわいい。美しい。エロい。天使は白髪でその髪は腰まで伸びている。こちらからは3mほど離れているがここからでも髪のツヤツヤ感、サラサラ感は伝わってくる。体はボッキュンボン、白い布でその体は隠されている。

そして顔、その美しい顔には青色の宝石のような瞳がある。その瞳は大きく、クリクリしている。それに比べて輪郭は大人と比べると少し小さい感じをしている。鼻と口はちょんっ、と顔に乗っかっているような小ささをしている。こんな天使人生で見れて幸せだ……。もう死んでもいい。

天使はずっと見つめられていて耐えきれなくなったのか小さく咳払いをし言葉を発する。

「えっと、三条渚さん?」

「……?」

「三条渚さん。あなたは死にました」

「は……?」

死んだ?俺が?

混乱する頭を押さえ込むように、何が起きたかを思い出す。確か俺は学校から家に帰っていて……。それで……。

「慌てなくても大丈夫ですよ。ゆっくり思い出してください」

それで俺は階段から落ちて……。

死んだな。死んだわ。俺。じゃあこの話はキリがなくなりそうだから一旦置いといて……。

ここどこだ?そう思い辺りをキョロキョロと見渡す。全体的に明るくて白い。まるで天国に居るかのようだ。

と、不思議にキョロキョロする俺を見たのか、天使はここの説明をする。

「ここは云わば天国です。そしてなぜ、ここに死んだ渚さんがいるのかというと──」

「渚さんには異世界に行くか、天国へ行くか選んでもらう為です」

は……?話が見えない。飛躍しすぎな気がする。どんな目的で、どんなところに行かされるのだろうか。すこしの不安が頭を駆け巡る。しかし、異世界という単語でワクワクしつつもいる。

「異世界と天国の説明しないといけないので一応説明しますね」

「まず、目的です。なぜ異世界と天国という選択肢があるのか。それは、現世で死んだ人間に死後の選択を与え、死後を楽しんでもらうためです」

死後って楽しむものだったっけ。

「そして、異世界についてです。異世界とはその字の通り、現世とは異なる世界です。異世界には魔法が存在します。現世とは、かけ離れた場所。それが異世界です」

「そして天国。天国は死んだ善人の魂が行く場所。平和で穏やかで心休まる場所。それが天国です」

「ここまでいいですか?」

そう問いかけられ俺は何も理解できていないが、とりあえず頷いた。

「疑問に思われたかもしれませんが、異世界での意志疎通、言語の解読などは異世界へ行くときに脳に習得させるのでその辺は大丈夫です」

なるほど、その辺はちゃんとしてるんだな。心配なくてもよさそうだ。

「では、選んでください。平和な異世界で楽しく生きるか」

「──はたまた、平和な天国でのんびり生きるか」

思ったけど、珍しいな。平和な異世界。魔王、居ないんだな。

「あぁ、忘れていました。」

と、天使が言う。もしかして、魔王とは他に危ない存在がいるのか?

「自己紹介をしていませんでしたね」

そっちなんだね。確かに名前聞いてないけどね。

「私の名前は『リフリム』です。よろしくお願いしますね、渚さん」

天使はリフリムと名乗った。その姿に合う名前だ。

「あとこれはおまけなんですけど、異世界に行ったら能力が貰えます。」

めっっちゃ重要情報じゃん。この天使、いやリフリムそれ最初に言った方がいいでしょ。と、そう思いため息をついた。

しかし、どちらを選んだらいいのだろうか。知らない人と話すときは言葉がすくなくなって声も小さくなってしまう俺は天国へ行った方がいいのだろうが、正直異世界に行ってみたいという思いがある。天国は娯楽も何もなさそうだし、異世界に行きたい。

何もなさそうな天国か、俺にとって地獄が待っていそうな異世界か、どちらにしようか。

俺は黙考したあと、結論を出す。

「──行きます」

「……?」

「異世界へ」

小さい声で俺の結論を言う。

「なるほど。わかりました」

その結論を聞いたリフリムは笑顔でそう返答する。

「今から私が渚さんに不思議なことをします。そうすると、渚さんの意識はなくなり、気づいたときには異世界です。」

「ちなみに、能力はランダムで選ばれます。能力の確認の仕方は『ステータス』こう唱えれば確認できます」

「……準備はいいですか?」

その問いに俺は頷く。

「では、行ってらっしゃい。三条渚さん。平和な異世界へ」

──意識が遠のいた。




……目を覚ますと俺の頬は冷たさを感じていた。地面に倒れていたみたいだ。体を起こし、服などに付いた土を手ではらう。

どうやら無事、不思議なことは終わったらしい。これで俺の冒険は始まりか……。しかし、あんまり実感は湧かない。さらっと終わったからだろうか。

それはさておき、ここはどこなのだろう。異世界のスラム街だったら終わるぞ……。と考えながら恐る恐る辺りを見渡す。

周囲は草原の平地。遠くには山が見える。明かりもなさそうな様子から、夜には星空が広がるだろうと推測できる。

倒れていたところから割と離れている場所に、木で作られたであろう看板が立っていた。

そこには見知らぬ言語で、「ようこそ!アカミズミの町へ!」と書かれている。田舎町っぽい看板だ。危なさそうなところじゃなくて良かった。と、一安心。

とりあえず、能力でも見てみようかと思いあのセリフを唱える。

「ステータス」

そう唱えると、50cmほど離れたところに半透明の画面のようなものが中心から広がるように生成された。両手を開いた状態くらいの大きさだ。そこには、さっきの看板と同じような文字で俺の名前や年齢、身長などの個人情報、それに加え、レベルや、習得したスキル、攻撃力、防御力など、ゲームの世界のステータス画面のようなものが書いてある。

これは異世界と言うより、ゲームに近いな……。そして、肝心の能力。その欄に目をやると──。

『セーブ&ロード』

と、記されていた。そこをタップしてみると、


「セーブ&ロード」

現在の状況をセーブ(進行状態を保存)することができる。

そのセーブデータをロード(保存状態から再開)することができる。


この説明は一度しか表示されません。この説明はを閉じますか?


と、説明が表示された。

……なるほど。大体理解できた。文字通り、俺の能力は『セーブ&ロード』。保存、再開。つまるところ、超チート能力。と、言うわけで指を伸ばし説明を閉じた。すると、ゲームでいうセーブスロットが表示された。そのセーブスロットは一つのみ。セーブする場面をミスるとやり直せない感じ。だろうか。

これはわがままだが、3つくらいセーブスロットあってもよかったんじゃなかろうか……?

と、思いつつ一旦、セーブをする。

──アカミズミの町の看板を見つめる。昔から人と話すのは苦手だが、今は致し方ない。今日はここで、この場所は何処なのか、どうしたら金が手にはいるのか。それを聞こう。宿は無理だろうし、今は草の上で野宿だろう。

意を決し、俺はアカミズミの町へと足を踏み入れる。


ザクッ……ザクッ……。と、砂を踏む音がする。町だというのにやけに静かだ。その静けさが小鳥の声や俺の足音を強調させ、不気味に感じる。

そろそろ、我慢の限界だ……誰か居ねぇのかよ……。

冷や汗をかきながら、俺の心臓の鼓動がどんどん速くなっていくことを感じている。

──ザザザザザッ!

俺の足音とは違う音が聞こえた。

殺されるっ!

そう直感で感じたとき、俺の意識は既になかった。


眠たい……。

そう思いながら欠伸をし、目を覚ました。

「あら、やっと……起きたのね」

冷たく、鋭い声が俺の耳を通じて脳に響く。

その声で俺はハッとする。

……ここ、どこだ?俺はなんで生きている?殺されそうになったはずじゃ……?

周りをキョロキョロ見回す姿を見て、ため息をついて、そいつは

「白々しいわ……。あなた、私たちを殺しに来たんでしょ?今さらそんな演技、通用しないわよっ!」

「は?」

その怒号が俺の心臓を揺さぶる。甲高く、幼さを持ち合わせたその声でも、恐怖を俺に与える。

「は?って何よ。ふざけんじゃないわよ!」

その声は一旦無視して、周りを見る。どうやら、独房、牢獄に近い、檻付きの石の中のようだ。その中には松明一本。すこし心もとない明るさ。そして、腕は鎖に繋がれている。確実に俺を監禁するという意思を感じる。

「無視してんじゃないわよ!」

ドスドスとした足取りで俺に近づき、頬をビンタする。

「痛っ!」

パチンッ!っと、痛そうな音がこの独房の中で響く。実際痛い。

そこではじめて、『そいつ』の顔を見ることになる。

そいつはルビーのような瞳を宿し、幼さが残るが、大人っぽい顔つきだ。彫りは浅く、アニメのキャラのような顔をしている。その顔には、ベージュ色、言い換えれば、茶色に白を混ぜた明るい色の前髪がかかっている。

「っ!」

そして、頭頂部に注目した俺は、思わず息が漏れる。

そこには、けも耳があったのだ。そう、けもだ。つまり、こいつはけも耳だ。その耳もベージュ色で、耳の中は、白いモフモフで満たされている。

おさらいをすると、ルビーのような瞳。彫りの浅い大人っぽい顔つき。ベージュ色の髪にけも耳。つまり、


かわいい


と、いうわけだ。

しかし、残念である。俺を見るその目付きは、嫌悪で満たされている。せっかくかわいい顔が台無しだ。

「な……なによ。人の顔さっきからじろじろ見て……。」

「いや~……。失礼、顔がかわいいものでな。つい、見入ってしまった……。」

苦し紛れの冗談。通用するだろうか……。

「……???」

その顔は、みるみるうちに赤くなり、俺を見る目は疑問の顔となった。

「そんなこと今はどうでもいいの!私が聞きたいのはあなた何者かってこと!」

ほう……ちょろいな。いや~かわいいかわいい……。ずっと見ていたい顔をしている。

「お……俺が何者かって……?いいさ。教えてやる……。」

「やっぱりあなた!悪者ね!」

「俺はこの町にちょっとばかし聞きたいことがあって来たまでさ……。殺すなんて、物騒なこと出来っこないさ……。」

「そ、そんな怪しい口調!だれが騙されるもんですか!」

「でも、俺は魔法も使えない、武器も持ってない、この状態でそんなこと出来るか?」

「ぶ、武闘派かもしれないじゃない!」

「そんなこと出来ないって……。俺はレディーに優しいんだ……。」

「あなたもレディーじゃないの?」

「……。」

カッコつけてるのがバレるじゃないか……。アドリブで今は乗り越えてるが、これもどこまでいけるやら……。

「おおっと、そんなに不注意でいいのか?俺はどっちもいけるんだぜ……?」

「な、何を言っているの?あなた……。」

下ネタが通じないだと?ここでビビらせるつもりだったんだが……。

「私だってどっちもいけるわよ!」

お前もかよ!

「とりあえずさぁ、こっから出してくんない?俺か弱くて可憐な処女の少女だよ?」

首を傾け、相手を煽るような口調で言う。

「ほ、ホントに?」

「あぁ……本当さ……。」

「俺が不審な行動をしたときは、もう……ね?こう……バサッと、グサッと……殺っちゃっていいから」

「わかったわよ……。あなた、本当に何も知らないおバカさんなのね」

そう言うと、少女は俺の腕を繋いでいた鎖をほどいてくれた。

「よいしょっと」

腰を上げ、立った俺に少女は呟く。

「なにも知らないのに監禁して、ビンタしてごめんなさい……。」

「いいんだよ。疑わしきは罰す。これが一番だからな。」

俺は改めて少女に向き直る。

「俺の名前、教えてなかったな……。俺の名前はサンジョウ・ナギサ。ナギサって呼んでくれ」

「ふーん……。いい名前ね」

「お前は?」

「私は、ティミスト・ミスティー・クルス」

「じゃあ、よろしく。ティミスト」

「こちらこそ、よろしく、ナギサ」

よろしく。さっきとは違い、すこし明るい声でそう言い、手を差し出してくる。

俺は、その手を握り返した。


さっきの独房から外に出て、アカミズミの町を歩き出す。

「実はね、この前この町、襲撃されたの」

トーンの落ちた声で話しだす。その話は、あまりにも急すぎる話題に聞こえる。

「……?」

「みんながいつも通り、朝食とか、店の開店の準備とかしてたときにね」

「最初は……あそこだったかな」

と、ティミストが指差す場所に目を向ける。そこには、赤い屋根のいかにも中世っぽい家が建っていた。これ以上もこれ以下の説明はない。

「あそこには夫婦が住んでいるの。襲撃したやつはその夫婦をナイフで突き刺した」

「……音もなくね」

「なんでそれがわかったんだ?だって、最初とか、わかんないんじゃないか?」

「窓があるのよ。そこに返り血が飛び付いた。そう考えるとお粗末な仕事よね」

「それでね、他にも人がいたみたいで、次々とみんな殺されていっちゃった」

「で、結果的にティミストだけが生き残った……と」

なるほどなぁ……。俺を捕まえた理由はそれか……。疑われてもしょうがないよな……。

と、考えていたところで違和感がひとつ、俺の頭に思い浮かんだ。

「なぁ、顔って見えなかったのか?」

「顔は布で隠されていたの。だから、あいつらについての情報がない」

「……そうか」

しんみりとした空気になってしまった……。すこし居心地悪い感じ。嫌いだ。

この空気を変えようと、ひとつ言葉が思い浮かんだ。

「敵討ちって……したいか?」

「もちろん。出来るなら……したいわよ」

「しないか?敵討ち」

それは、冗談にもならない言葉だった。気付いたのはその言葉が出たあとだったが……。

「……は?」

驚愕の顔で俺を見る。……驚愕といっても、呆れ8割のような感じだが……。

「あんたが?」

「……あぁ」

勢い任せに出た言葉を、冗談だと塗り返すように「はは……」と、すこし笑ってみるがティミストの目は、相変わらずまんまるに見開いたままだ。

「まぁまぁ、そんなことは一旦置いといてだな。で、こっからどうする?」

「そんなことって……置いとけないわよ……。」

「ま、食材、物資集めをしつつの冒険。寝床は野宿でしょうね。って言ってもテントはあるわよ」

呆れ諦め五分五分で俺の疑問に答える。

「おー。そいつはありがたい」

これからの計画を建てたところで、息休めに散歩でもしてこようかな……。と思ったところで、ティミストにひとつ質問をば。

「結局、敵討ちってすんの?」

俺が言ったらすぐに返答をしてくる。

「あなたがそう言ったんでしょ」

つまり、答えは『YES』。

これからは、食料、物資集めをしつつ冒険。そのなかで敵討ちをする。

と、いうわけだ。

「うっし。じゃあ散歩でもしてくるかな」

「気をつけなさいよ」

「おうよ」

この一時で仲良くなったけも耳美少女。『ティミスト』の冒険。

胸を踊らせながら、過酷な旅になるであろうこれからに覚悟を決める。

さて、一話終了です。

投稿頻度は遅っいと思うので、しばちお待ちを。

では。次またお会いしましょう。この出会いに感謝を。

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