帰り道のこと
あるシーンが勝手によみがえってきた
わたしが同級生に
からかわれてたとき
「コイツを好きになる奴なんていねぇよ」
背中越しにやけに
大きな声で言ってきたのは
一ヶ月まえに転校してきたアイツだった
コイツ・・も気に入らないけど
好きになってくれる人もいない、は
ないだろうと
結局のところ
そのあとも、からかわれるような感じで
ある夏は通り過ぎていった
文化祭の準備で
たまたま、
彼とわたしが最後まで残って
帰り道が同じ方向で
肩を並べて歩いた
わたしの名前を突然呼んだと思ったら
次の言葉は
転校が決まったということ
せっかく慣れて来た頃だったのに・・
一応、
残念がる、わたしを見て
笑いながら
彼は話を続けた
「好きな人おるの?」
いちばん、予想していない言葉に
戸惑いを覚えた
特に何もないけど
気がついたら
わたしは先を歩く彼の
背中を見送るように
好きな人くらい、わたしにだって・・
負け惜しみじゃなくて
ホントのことを言えなかった
夕暮れキレイすぎる時間に
秋がやってきて
誰もがさみしさの行き場を
どこにしようか
考えてた頃のこと
元気でやっているのだろうか
あの空を思い出す
言葉足らずのわたしは
いまも中途半端な感じでいる
読んでいただき、ありがとうございます