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 青白い頬に、点々と黒子が散っている。

 私は己のそれを嫌っていたが、彼はそれを、星のようだ、と言った。

 

 彼とは年が同じだった。

 母の兄の息子。つまり私の従兄弟。

 私は生れつき股関節に障害があり歩く速度が人より遅い。しかし従兄弟はその長い脚で、だれよりも速く歩き、走ることができた。同じ血を分かつのに、こんなにも違う。恵まれた体躯に、恵まれた頭脳。

 高等学校の帰り道で、川原の草むらに並び座る。傾く西日が彼の形のよい鼻梁に影を作っている。この草むらで、彼は私に口づけをする。

 その理由を、私は聞かずに、いた。

 互いの会話が途切れ、かすかな息遣いだけが聞こえるような瞬間、彼は私の頬を、撫でた。

「星みたいや」

「なにが?」

「お前の、これ」

 といって、彼は私の黒子を撫でる。

 それからまるで線を繋ぐように口づけをするのだった。


 翌年、彼は死んだ。

 お国のため、という理由で。


 了

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