第45話 プレゼント
「メル、どうした?様子が変だぞ?」
「え!……そんなこと……ルイス、こっちに行こう?」
ひと気のない路地裏をずんずん進む。
「なあ? メル? そっちには何もないぞ?」
「いいの! ひと気のない所に……」
「ええ!?」
私達は静かな路地裏にたどり着いた。周囲を見渡して人がいないかを確認する。
「メル、こんな所にどうしたんだ?」
「ルイスにお礼がしたいの」
先ほど買った包みの中からバンクルを二つ取り出した。それを両手で軽く握り、祈りを付与する。
――この護符を身に付けた者に、健康と幸運を!
私の周りがふわりと光り一陣の風が吹き抜けて行った。瞼を開けて持っていたブレスレットを二つルイスに渡した。
「これは?」
「今日のお礼!ありがとう。見ての通り祈りで力を付与したから、このブレスレットがルイスを護る手助けをしてくれるよ!もう一つはおまけ。ルイスの大切な人に渡して」
「……ありがとう」
ルイスは優しく微笑みながら左腕にブレスレットを装着した。嬉しそうに角度を変えてはブレスレッドを眺めた。
「もう一つは僕が渡す相手を選んでいいんだな?」
「うん」
「メル、腕を貸して?」
ルイスは私の左手を取り、手首にブレスレットをとりつけた。すると二つのブレスレットの護符がキラリと輝き共鳴する。護符が優しく温かい。
まさか彼が私にブレスレットの片割れを渡すとは思ってもいなかったので、驚いた。互いの腕にお揃いのブレスレッドが煌めいている。彼は優しく微笑み告げた。
「ありがとう、メル。大切にするよ。さて、フローの土産を買って家に帰ろう。土産は奮発しないとな」
◆ ◇ ◆
「ただいまー!」
「お帰りなさい。あら? メルがブレスレットなんて珍しいですね?……て!ルイス!?」
ルイスの手首にも同じものが付いていることに気付いたフローはワナワナと震えだした。そんな彼女の前にルイスはすっと紙袋を差し出す。
「フロー留守番ありがとう。土産だ。流行っている菓子らしい。紅茶も良いものを買った。後でメル達と一緒に楽しんでくれ」
フローは紙袋とルイスのブレスレットを交互に見ながら珍しく眉を歪める。
「うっ……うっ………う~~~!!」
と何かと戦っている様な声をだしていた。
(ふっふっふ!)
「フロー、私からもお土産あるよ。アクセサリー欲しかったんでしょ? そう思って用意してある!」
「「え!」」
この言葉にフローとルイスの二人が驚いた。
「じゃーん! お揃いのネックレスだよ? ずっと前にお揃いの物持ちたいって言ってたよね?」
それは生前彼女が何気なく言っていたのだ。彼女が生きている間にできれば一番良かったのだが……すこし遅くなってしまった。
私達の瞳の色とお揃いの紫の石が嵌ったネックレスだ。
「え……メル、覚えていたんですか?」
「もちろん! 唯一無二の親友だからね!」
わたしは2組のネックレスを手に包み祈った。
――私達の永遠の友情と幸運を
そして彼女に見せたあと、フローの私物が置いてある戸棚に置いた。私も自身の分を身に付ける。
「こんなサプライズを……ありがとうございます」
「よかったなフロー」
「ええ。ルイス、怒ったりしてごめんなさい。また夢が叶ってしまいました」
その時、フローの頭上に輝く輪のデザインが変わった。これは何を意味するのだろうか……すると、彼女の胸元に同じデザインのネックレスが現われた。棚に置いてあるネックレスには何の変化も無い。
「まぁ!まさか身に着けられるとは……メルありがとう。大切にします」
階段からムーナの明るい声が聞こえてきた。そうだ!本来の目的である服を彼女に渡さなきゃ!!
「二人とも~ お帰り~! 何を買ってきたのじゃ?――って」
ムーナが体に巻いていたシーツを踏んでしまった。しかし体幹が優れている彼女は体勢を持ち直し、そのままこちらに駈け寄ってくる。もちろんシーツは彼女の体から離れていく。
「「「ああああああ!」」」
その後ムーナに服を着せて今回のミッションは無事に達成できた。ムーナも『これなら温かいしイイ♪』と、喜んでくれた。とても楽しく、満たされた一日だった。




