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死んだ聖女は天使と遊ぶ ~犯人を捜したいのに、スローライフを強いられます!~  作者: 雪村灯里
第二章 魔界de強制スローライフ

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第43話 買い物デート?

「わぁ~! 馬車に乗るの久しぶりだなぁ」

「そうだな。出かける機会も少なかったし、出かけてもアーリィに乗っていたからな」

 

 私は車窓から見える風景を楽しむ。馬車に乗るのは屋敷に来た日、以来だった。

 今日は買い物の為に、ルイスと二人で隣の領にある、街へと向かっている。


「また変装させて申し訳ない」

「しょうがないよ。それにこの格好も慣れているし」


 なんせ、この格好でよく城を抜け出してましたから!


「慣れてもらっては困るんだがな……」


 静かに突っ込まれてしまった。今日も髪を水色に染めて、フローティアの格好をしている。ルイスは休日のお出かけと言う事で、見慣れない服を着ている。彼はセンスも良いので、なんでも着こなしてしまう。すこしドキッとしてしまったのは秘密だ。


「ムーナの採寸はしてくれたか?」

「もちろん! ゆったりした服がいいって言ってた」


 今日の一番の目的はムーナの服を買う事だ! いつまでも彼女にシーツを纏わせるわけにはいかない。それに寒いし。


「助かるよ。服を選ぶのを手伝ってもらったら、あとは自由時間だ。メルは行きたい店とか有るか?」


(お給金も貯まったから、私も何か買おうかな?)


 以前より魔晶石が減ったとはいえ、魔法には不安がある。魔法を補助するための魔道具を買うのが先決だ。……でも、意外と高いんだよな。魔道具。


「魔道具を買いたいから魔法屋に行きたいかな……」

「服や装飾品はいいのか?」


「うん、服は持ってきたのもが有るから……装飾品は元々興味ないし」


 聖女時代の服や装飾品は、ほぼ決まった物を使っていたので自分で何かを選ぶというのは少なかった。それにフローが積極的に選んでくれたのでお任せしてしまう事が多い。でも魔法の道具は可愛いと思ったら買ってしまう!


 話しているうちに、馬車は街に着いた。王都より店数は少ないものの、町は活気に溢れていた。馬車から降りる時もルイスにエスコートされる。街を歩きながらルイスに尋ねた。


「ルイスはこの街にはよく来るの?」

「回数は多くないが、あの屋敷で過ごす前はここに立ち寄って、必要なものを買っていた。昔から来ているから顔なじみが多い。それに、ここの領主一家とも仲がいいんだ。さあ、着いたぞ。ここだ」

「わお!」


 一軒の衣料品店の前に到着した。店の前にはカラフルな布がたくさん飾ってある。店内に入ると品の良い女店主マダムが迎えてくれた。


「いらっしゃいませ、ルイスさん。まぁ! 素敵な御嬢さんも! さぁ、二人ともこちらにどうぞ」

「ありがとうございます」


 奥に通されるとラックに服が集められていた。私の年代に合いそうな服が所狭しと掛けられている。


「彼女と彼女の姉が着る服を選びたい」


(私の分も!? それは聞いていない)


 私は「いいよ、気を遣わないで」と彼を見て小さく首を横に振った。


「先日は業務外の仕事も引き受けてくれた。だから、その……プレゼントだ。好きな服を選んでくれ」


(そんな! 急に言われても!!)


 私とルイスの様子を見ていたマダムは楽しそうに笑う。


「ふふふ! と、言う事だから……お嬢さん、一緒に選びましょう?」


 マダムにムーナのサイズや要望を伝え、服を選ぶのを手伝ってもらった。彼女のお陰で、あれよあれよとムーナの服は決まった。私の服も吟味してもらい無事に決まり……


「どう? 似合うかな?」


 マダムの提案で、『新しい服でこの後の予定を楽しんでください♡』と言われ、ルイスに新しい服をお披露目した。彼は一瞬時が止まったかのようにフリーズした。私が不安を感じたその時、彼は朗らかな笑顔を見せてくれた。


「とても似合ってるよ。素敵だ」


 そんな笑顔を向けられるとドギマギしてしまう。私達の様子を見てマダムが微笑んだ。


「良かったですわ。お二人とも、またいらしてね?」

「こちらこそありがとう、またよろしくお願いします」


 私達はマダムに礼を言って店を後にする。店を出て暫く歩いてからルイスに声を掛けた。


「ルイスありがとう……お金払うよ!」

「言っただろう? これはプレゼントだ。だからその……僕の気分転換でこうやって外出に付き合ってもらう事が今後もあるから、その時にも着てほしい。ほら! 次は魔法屋だろう?」


 ルイスは何かを誤魔化すように魔法屋へと急かした。彼からそこまで言われたら素直に受け取るしかない。しかし、結構お高いのでは?


 私達は街の路地を歩き魔法屋へと向かう、ルイスの顔見知りだろうか。一人の男性が私達に近づいて来た。


「ルイス殿、お探ししてました。少々お時間宜しいですか? お耳に入れたいことが……」

「ああ、わかった。()()()悪い。先に魔法屋に行っててくれ。この道をますぐ歩いて行けば、右手側に見えて来るから」


 彼と話しているのは、この町の自警団だ。仕事関連の話だろう。

 ルイスの様子から店も遠くはなさそうなので、先に向かう事にした。


「わかりました。先に向かいます」


 ルイスは自警団員と裏路地に入って行った。私は彼等が見えなくなった途端、走った。これはチャンスだ! ルイスがいないうちに急がねば!!

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