蜂
── ダンジョン 未踏査 領域 ──
「──で?」
「この隠し部屋に封印されていた古代文明の遺産、 "魔粒子" がダンジョン外部に流出。
モンスターに取り憑いて変異させているものと思われます。」
「その "魔粒子" とやらだが、なにか対策はあるのか?」
「取り憑いた対象が死亡すると魔力を失いますが、すぐさま他の対象に取り憑いて魔力をチャージする性質があります。
現在、特殊な容器に封印する他に有効な対策は見つかっておりません。」
「……その特殊な容器は、すぐ手に入るのか?」
「すでに学都に使いをやって協力を要請中ですが、容器を使うことの出来る人材と共に到着するのは、早くて一月後かと……」
「長いな……
このところの騒ぎを見るに、暴走してるようにしか見えん……。古代文明では一体 どうやって制御していたのだ?」
「この部屋に安置されている "棺" に眠る本体が遠隔 操作していたようです。」
「では棺を破壊して、その本体とやらを倒せば いいのではないか?」
「それなのですが……
すでに棺の生命 維持 装置は機能しておりません。」
「つまり、本体は──死んでいる?」
「はい──変異体 発生の不規則性、近くにいた者を襲うだけと言う行動の単純さから、おそらくは……」