禄
戦闘は短時間で済んだ。
右にいた覆面が弾丸のように飛び出すと、前衛のキングベアーを茹でたイモを潰すかの如く、屠っていった。
同時に、左にいた覆面が後衛のキングベアーを指差したかと思うと、指先から出た光が それらの急所を軒並み 貫いていく。
('──な?! オイ! ちょ!?)
キングベアーが全滅するや、辺り一帯に霧が立ちこめ、晴れた時には覆面たちの姿は消えていた──。
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── ギルド ──
「……そりゃ また、随分 波瀾万丈な1日だったねぇ……。
とりあえず 無事で済んで、良かった、良かった──」
「そりゃ そうですが、やはり一人では厳しいですよ。」
「……分かってるよ。
ここは、あの2人に休暇を切り上げてもらうしか、ないか……」
「え?そんなこと、出来るんですか??」
「ここの宿代と食堂のメシを一月分おごるって言えば、うなづくだろ。」
「大盤 振る舞いですね……」
「背に腹はかえられないからね。
──あぁ、そろそろ、キングベアーの査定が終わる頃じゃないか?」
「そうでした。
……じゃ、明日の見回りは?」
「そうだねぇ……。うまくいけば、午後には合流させられるだろ?」
「了解です。」