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女神と、話がしたい

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「そう……魔王は、天使と共存する世界を目指していたんだ……」



 俺が話を終えると、ミュエラは全てを理解したようにそう言った。多分、ミュエラは頭がいい。そして、



「うん、僕はよく分からなかった」



 ミュエルは自信満々にそう言った。双子でも、こちらはあまり頭が良くないみたいだ。



「ミュエルには、後で説明してあげるね」



 ミュエラはそう言って、彼の頭を撫でた。ミュエルは目を閉じて、嬉しそうにする。犬が尻尾を振っているみたいに。

 彼の弟らしい一面が見れた気がする。意外と子供っぽい所も。

 しかし、



「……あまり、驚かないんだな。それに、天使は悪魔を敵視しているだろう?俺の話が嘘だとか、思わないのか?」



 あまりにすんなり理解するから、拍子抜けしてしまった。話が早い分には助かるけれど、それにしても理解するのが早すぎる。



「悪魔を敵視していたのは女神さまで、僕たちは悪魔が敵だと聞かされてきただけだからね。個人的に悪魔を痛めつけたいとか、思ってるわけじゃないよ。ただ、女神さまの望むままに僕たちは戦ってきた」


「………」


「話は理解したよ。それで、君の頼みたいことって?」


「……女神と、話がしたい」


「「っ!」」


「ルイ……」



 俺の言葉に、ミュエルとミュエラは頬をぴくりと動かし、アンジュは驚いた顔で俺を見た。



「女神さまは…君を殺すよう、153に命令した張本人だよ」


「分かってる」


「……本気?」



 ミュエラの真剣な眼差しに、俺はコクリと頷いた。

 彼女は少し考えたあと、



「分かった。交渉はしよう」



 と言った。



「本当か?」


「ああ。君が何を企んでいるのか、あえて聞かないけれど。恩は返すよ」


「………一つだけ、訂正してほしい。俺は…優しい悪魔なんかじゃない。アンジュがいなかったら、俺はミュエルを殺していただろうし……踏みとどまれたのも父上の…魔王の言葉があったからだ。俺が、優しいわけじゃないんだ」



 アンジュ、家族、友達、俺はみんなに支えられている。



「……そんな人が周りにいる君が、優しいんだよ。そういう素直なところ、可愛くていいと思うよ」


「可愛いって……」



 ミュエラがそう言って微笑んだので、呆れた顔をしておいた。

 可愛い、という言葉にアンジュが反応する。



「ミュエラ…ルイのこと……」


「あーはは。大丈夫だよ、安心して。僕はミュエル一筋だからね!」



 アンジュの心配そうな顔を見て、ミュエラはぐっと親指を立てた。

 ブラコン、というのは本当の本当らしい。溺愛じゃないか。



「じゃあ、僕たちは帰ろうか。ミュエル」


「ああ、うん。………ルイ。……あ、アンジュ…またな」



 ミュエルは最後に小さくそう言うと、ミュエラが出した光の渦に入っていった。彼の耳が赤くなっていた気がするが、気のせいだろうか。


 そして彼女も、



「ルイ、アンジュ、また」



 と言って、渦に飲み込まれていった。こちらは余裕そうな笑顔で。






 二人が消え、光も消え、辺りは光とともに音も消えていった。

 俺とアンジュだけがぽつんと取り残される。






 しばらく唖然としていた俺だったが、右手が握られる感触がして、目線を向ける。



「ルイ、帰ろう」



 アンジュがこちらを見て、微笑んでいた。



「うん」



 俺は手を握り返し、二人で公園を後にした。

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