帰ってくるよ!
23
ルイが、出て行ってしまった。
すぐに追いかけたかったのに、その場に座り込んだまましばらく動けなかった。
呆れられた? ルイの役に立ちたかったけれど、僕は間違えたのだろうか。
いや、間違えたんだ。だって、ルイはあんなに苦しそうな顔で僕を見ていた。
「また…捨てられて……」
(また…?)
自分の言葉に違和感を持つ。
誰かに捨てられたことなんてないのに、どうしてそう思ったんだろうか。でも、確かに誰かに置いていかれるような感覚が、僕の中に残っていた。これは…何だろう。
僕が、いい子にしていなかったから。だから、ルイは出て行った?
もう……帰ってこなかったら? …あの日の、ように……
「はっ……はっはぁ」
呼吸が乱れていく。上手く息ができない。自分の手で、胸辺りの服を必死に掴む。
「アンジュさん!」
リビングの入口から、ルカとルナが飛び込んできた。
二人の手が、僕の背中を優しくさする。血が繋がっていなくても、ルカとルナはルイの妹だと、二人の手の温もりを感じながら改めて思った。
目からポロポロと熱いものが流れていく。涙だ。
「アンジュさん……」
ルカの心配そうな声が聞こえる。
「ルイ…っが、帰ってっ…こなかったら…どうしよう、ぼ…僕のせいだ……」
震える声でそう言った。もしルイが帰ってこなかったら、僕はどう詫びればいいんだ。
どう…生きていけばいいんだ。
「お兄は帰ってくるよ! 絶対!!」
でも、すぐにルカがそれを否定した。
「うん、帰ってくる」
二人ともが力強く言うから、僕の呼吸は次第に落ち着いていった。
それでも不安は消えない。僕の頭の片隅に、ずっといる。
僕は無言で立ち上がると、玄関に向かった。
ここにいれば、ルイが帰ってきた時すぐに分かる。
僕は玄関を上がってすぐの壁に体育座りでもたれかかり、自分の足を胴体に引き寄せた。自分で自分を抱きしめるみたいに。
「アンジュさん……」
謝れば………まだ、間に合うよね?
……ルイ、会いたい。ごめんなさい、ちゃんということ聞くから…




