お兄はお兄だよ
16
「ルカ、ルナ、入ってもいいかな」
部屋の扉をノックして、声をかける。
返事はなかったが、約一分後に静かに扉が開いた。泣き腫らした目のルカが立っていて、部屋の中にはルナもいる。
「………」
部屋の中に入れさせてもらい、床に座る。
「ごめんね、心配かけさせて」
そう切り出すと、再びルカの目に涙がたまっていくのが見えた。
「!?」
隣のルナも目が潤んでいる。
「お兄のバカっ!」
そう叫ぶなり、俺に飛び込んでくる。心から俺を心配してくれているのが伝わってきて、俺も目の奥が熱くなる。俺は本当に恵まれている。
「ごめん、ありがとう」
ルカとルナに、本当のことを話すべきだろうか。話すとしても、どこまで話すべきなのか分からない。
この事実を伝えたところで、誰も幸せにはならない。でも、逆に話さないと決めたら、この先一生二人に嘘をつき続けることになる。
どちらが正解かなんて分からない。けれど俺は、俺の気持ちは、これ以上二人に嘘をつきたくないというものだった。全部は話せなくてもせめて…
「ごめん、ルカ、ルナ。俺…俺、二人の本当の兄じゃない…」
反応が怖くて、顔を上げられない。兄だと思っていた人が、他人だと知ったら、二人はどう思うだろう。
「……だから、何?」
「………」
ルカが少し怒りを込めたように、震えた声でそう言った。
「お兄はお兄だよ………私とルナにとって。……本当とか嘘とか何?分かんないよ。だって、ずっと一緒に住んできたじゃん。なのになんでそんな他人みたいに言うの?」
「ルカ……」
「お兄ちゃんが本当は何者なのかとか、その目は何なのかとか、別に無理に話してほしいとか思わない。でも……私の中でのお兄ちゃんはずっと変わらない。あの日、私とルカを探し出してくれたのは、紛れもなく私たちのお兄ちゃんだよ。大好き、大好きだよ、お兄ちゃん」
「ルナ…」
「私も、お兄大好き!」
「っ………」
目から涙が溢れて止まらなかった。
「俺も、二人が大好きだよ」
涙でぐしゃぐしゃになりながら、口角を上げた。
やっぱり俺は、この家族が、この家が大好きだ。ずっとここにいたい…。




