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次の日の夜、私はちゃんとお母さんに報告してからリリー様とまた夜の探索に出かけた。

デリー様から貰った食料も後2日持つかどうか…

なんとしてもそろそろ確保先を見つけたい。


「リリー様のいた集落にはご飯は落ちてなさそうだったよねぇ。」


「あそこは小さいから、無いかもしれないわね。」


「じゃあ今日は右の道を行ってみよっかなー。」


「 好きになさいな。全く人のこといいように使って。」


「ふふふ。ごめんね。でもリリー様がいてくれて本当に嬉しいよ。やっぱり暗い中1人で歩くのは怖かったんだ。リリー様になんの力が無くても居てくれるだけで心強いよ。」


クネクネクネクネ。

私の肩の上でクネクネするリリー様を人差し指でくすぐりながら、右側の道を進んでいく。


右側の道は真ん中の道よりも暗いなと思っていたのだけど、早い段階で曲がり角があって、その奥が街になってあるから、灯が見えてなかっただけだった。

なんなら真ん中の道よりも家が多そうで、街に近づくとちらほら人影も見えてくる。


正直、この時間に子供の姿で人が多い所に行くのはどうかなと思っていたから暗い右の道を選んだのに予想外だった。

この世界が安全ならいいけど、変な人や怖い人がいたらと考えたら足がすくむ。


「ねぇ、リリー様。この世界、人攫いとか強盗とか殺人とかってよくあるのかな?」


「うーん。よくわかんないけど、そんなに多くはないと思うわ。

あと、私、悪い人はわかるから教えてあげるわよ。」


「え!そうなの!?」


「良い人と悪い人はすぐわかるわよ。なんとなくだけど。」


「それはありがたいよ!めっちゃ心強い!

いい人も教えて。なんか恵んでもらえるかもしれないから。」


「あんたねぇ〜。」


リリー様は目を細めて私の頬を葉っぱで叩いた。


「おむすびころりんすっとんとん〜おむすびころりんすっとんとん〜」


私が懐かしの童謡を口ずさみながら歩くと、リリー様は歌に合わせてクネクネしながら「おむすびころりんすっとんとんて何?」と聞いてきた。


「おじいさんがねー、おむすびっていう、こっちの世界で言えば丸いパン的なのを落として、そのパンがコロコロころりんて転がってすっとんって穴に落ちちゃう話の歌だよ〜。」


「へぇー。そんな話があるのねぇ。」


リリー様におむすびころりんの話をすると、リリー様はしきりに感心してから、ブワッと花を広げた。


「ちょっと私も転がってみるから、貴方追いかけなさい!」


そういうや否や、リリー様は茎と葉っぱをどこかにしまって花だけの形になると、私の肩からポトリと落ちて転がり始めた。


「えー!リリー様ー!!」


若干の下り坂をリリー様はコロコロ転がって行く。


「花が転がるとかないから〜!戻ってきて〜!!」


私はリリー様が逸れないように一生懸命追いかける。


コロコロコロコロ


「リリー様〜!」


コロコロコロコロ


「おっと!」


もう少しでリリー様を捕まえられそうなくらいのところで、私は誰かにぶつかりそうになって立ち止まった。


「すみません!」


慌てて顔を上げるとそこにはリリー様と並ぶ私にとっての二大神であるデリー様が降臨していた。


「デリー様!」


「え、あれ?こないだの子?」


「はい!先日は本当に本当にほんとうーにありがとうございました。」


私が土下座しそうな勢いで頭を下げると、リリー様が足元にコロコロ戻ってきたのが目に入った。

デリー様は私の頭をぽんぽんと撫でるとしゃがみ込んで視線を合わせてくれる。


「どういたしまして。頭を上げてよ。少しは役に立てたかな?」


「すごく、すごく助かりました。おかげ様でこうして生きてます!」


「う、うん。まだ小さいのにヘビーな人生送ってそうだね…」


「デリー様にここでこうしてお会いできたのも何かの運命。どうかまたお恵みを!!残飯でいいので!!」


私が地面に頭を擦り付けるとデリー様が慌てて私を抱き上げた。


「ちょ、ちょっと!そんな事しなくていいから!落ち着いて!僕が変な目で見られちゃうよ。」


「すみません…」


デリー様に両脇を抱えられてぶらぶらした状態で私は眉毛を八の字にした。

デリー様を困らせるのは本意じゃないかったんだけど、つい焦っちゃったよ。


「いっつも夜にご飯を探して歩いてるの?」


私をゆっくり地面に下ろしながらデリー様は優しく聞いてくる。

私はリリー様を拾い上げてデリー様に向き直った。


「はい、あの、夜だけ私に出来るような仕事はないですか?」


「ええ〜!?しごと!?働きたいの??」


「はいっ!」


私の全身全霊の力を込めた返事に、デリー様は大きくため息をついた。




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