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お母さんとリリー様と私はとりあえずこの生活を改善させるためにはどうしたらいいかを話し合うことにした。
私達はただただ放置されているだけだから、幸い飢え死に以外の身の危険はとりあえずない。
だからまずは食料を確保して体力をつける、この一点のみ。
でも夜に私が出歩いてご飯を探してくるのはお母さんは頑として許してくれない。
昼間に出歩くなんて目立つ事をしたら今の放置生活すら取り上げられそうだし。
「そもそもなんで私達ってこんな目にあってるの?」
「それは…。子供に話すのはまだ早いわ…」
「大丈夫、お母さん。私、前世の記憶あるの。前世では16歳まだ生きたから、ある程度の事は聞いても問題ないよ!」
「え、ええ!?」
カクカクシカジカ
私は前世の自分の記憶とついでにDESUノートについてもお母さんに丸っと話した。
「本当は、最初は内緒にしとこうと思ってたんだ。
前世の記憶なんて気持ち悪いだろうし、お母さんが自分の子供って思ってくれなくなったらって思って…」
私が小さい声でそう言って俯くと、お母さんは私をぎゅっと抱きしめた。
「何言ってるの。どんなキャシーも私の可愛いキャシーよ。話してくれて嬉しいわ。」
「うん。お母さんならそう言ってくれるって思った。」
私はお母さんの頬に私の頬をくっつけてすりすりした。
私とお母さんの間でリリー様が軽く潰されて「ピギャッ」って言ってるけど、気にしない。
そう、本当にお母さんには内緒にしようと思ってたんだよ、最初は。
私も急に思い出して混乱してたのもあるし、弱ったお母さんにそんな話してもっていうのもあるし。
だから1人でどうにかしようとDESUノートに書き込んだり、夜中に出て行ったりしたんだ。
でもお母さんにリリー様を会わせた時の様子とか、さっき叱られた時の感じとか、お母さんはきっとずっと私のお母さんでいてくれるって信じられたんだよね。
美優のお母さんもそうだったから。
お母さんはお母さんだからさ。
美優の家はお父さんが早くに死んでしまって、ずっとお母さんと2人暮らしだった。
お母さんは女手ひとつで、仕事を掛け持ちして私を育ててくれた。
いつも忙しそうだったし、すごく大変な思いをしてたと思う。
出かけることなんてほとんどないし、外食も年に一度あるかないかだし、行事に参加できないことも多かったけど、でも私はちゃんと愛情を感じることができてた。
それって本当にすごい事だと思う。
だから私はいじめられてる事を知られたくなかったし、余計な心配かけたくなかったんだ。
立派な大人になって、ちゃんと働いて、お母さんに恩返しするぞってずっと思ってた。
そういう目標もあったから強くいられたし、いじめも耐えられてた。
16歳で死んでしまって、お母さんに本当に申し訳ないし、その時のお母さんの気持ちを考えると胸がぎゅうっと苦しくなる。
どうすることもできないけど、前世を思い出した後は、お母さんが幸せにいられたらと、ついつい神様に祈った。
そんな感じでもともと私の『お母さん』ていう存在に対する信頼度は高いから、今のお母さんにもなんでも話してしまうことにしたってわけ。
私の中身に16歳が混じってるって聞いても、お母さんからしたらやっぱり8歳のキャサリンで、なんだかんだ話をそらされて、結局教えてくれなかった。
子供に言いたくないってことは、まあ恋愛絡みのドロドロなんだろうな。
私って子供がいることを踏まえると18禁系の可能性も高し。
親の18禁は確かに聞いても気持ちいい物じゃないから、そういうのをスルーしつつ説明できるようにお願いしたら、「少し整理する時間をもらえたら近いうちに話せると思うわ。」とのことだった。
そこからまた食料調達について相談して、結果、リリー様がついていってくれる事、起きた事を全て報告する事、一回の外出は1日おき2時間までという事で許可が降りた。
お母さんが動き回れるようになるまでの期限付きで。
リリー様は守り神だから一緒にいれば大丈夫って主張した時のリリー様の顔が超微妙になってだけど、それはお母さんには内緒。
リリー様が自分でも何が出来るかわかんないって言ってた事も内緒。
アレ、全部話すって言ったけど、結構内緒も多いかも?




