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タンポポ姿のリリー様は葉っぱの手と根っこの足を生やしているので自分で動き回ることができる。

でも所詮大きめとはいえタンポポサイズだから歩くのは大変そうで、家までは私が両手で掴んで運んだ。

リリー様は実はほんのりあったかくて、甘い百合の匂いがする。

なんで最初ひまわりの形してたんだろ。

百合の形の方がよくない?


夜ご飯が済んでから出かけたし、家に着くともう夜中だったので、今日はお母さんの部屋に行かずに自分のベッドに直行した。

結構歩いて疲れたし、子供の私はやっぱりちょっと夜は弱いっぽくて目がしぱしぱしてくるのだ。

私が布団に入ると、リリー様も自然に布団に潜り込んでくる。

守り神って布団で寝るのね。

しかもちゃんと枕に頭を乗せてるし。


「ねえ、リリー様。明日お母さんに紹介するね。

あとね、聞きたいことがいっぱいあるから色々教えてね。」


そう言って、リリー様の返事を聞く前に私はすうっと眠りに落ちた。


******


カーテンのない窓から太陽の光が差し込んできて、眩しくて目を開けると、隣には少し萎びたリリー様がデロンと伸びている。

昨日の出来事は夢じゃなかったらしい。


夜はほんのり光るリリー様に少し神秘的な雰囲気を感じだけど、陽の光の下で見るとただの草臥れたタンポポに見える。

黄色い花びらを指先で少しくすぐってみると、リリー様の頭が蕾のようにシュンと閉じた。

なにこれ、面白い。

花が開くとくすぐり蕾にさせる動作を何回か繰り返していると、リリー様がかっと目を見開いてキレた。


「いい加減にしなさーい!しつこいのよ!!」


「ごめん。この世界、娯楽がなさ過ぎてつい夢中になっちゃった。」


「私はオモチャじゃないんだから!」


「わかってる。守り神のリリー様だよね。」


「そうよっ!」


リリー様寝起きから元気だなぁ。

起きるまでは時間かかったけど。

てか守り神ってこんなにぐっすり眠っちゃうの?


「ね、寝る必要は別に無いんだけど、なんか気持ちよかったのよ。」


「あれ?私今声に出てた?」


「守り神だから心の声も聞けるのよ!」


ふふふ。リリー様にまた鼻ができてる。

得意げなリリー様の顔、結構私のツボなんだよね。


「ほえー。すごーい。

でも思ってる事全部筒抜けはちょっと恥ずかしいかな。」


「あ、意識して聞こうと思ってない時は聞けないわよ。

貴方が私をおもちゃ扱いするから、私の凄さを見せるためにやっただけ。」


「リリー様、そう言うこと言うと凄さ半減するよ?」


「えっ!なんで!?」


リリー様はちょっと偉そうだけど、素直で可愛い。

なんかおしゃまな小学生みたいだ。

守り神がそういうものなのか、それともリリー様が実際まだ子供なのか。

でも一緒にいて話をすると楽しいし元気になる感じがする。


「そういえばね、リリー様に見てもらいたいものがあるの!」


私はDESUノートを取り出してリリー様の前に置いた。

神様なら何かしら知ってたり、知らなかったとしても感じたりするかもしれないもんね。

あんまり期待してないけど、呪具って言ってたしなんかあったら儲け物だもん。


リリー様はゆらゆら前後左右に揺れながらしばらくDESUノートを観察して「日記帳?」と言った。

なんだかんだ言いつつほんのちょっと期待してドキドキしてた私は膝から崩れ落ちそうになったよ。

もうDESUノートが期待外れなのか、リリー様が期待外れなのかわからん。


「なんかさー、なんかだわ。」


なんて言っていいかわからん気持ちだよ。


「何がよ!?」


「これね、お母さんにもらった呪具ってやつなんだ。でもどう言うものかわからないからリリー様に見てもらったの。やっぱりただのノートなのかー。」


「ああー、ちょっと待ってちょっと待って。」


リリー様がフヌーと言いながら黄色い花びらをフルフルさせると花の少し色がオレンジに変わった。

これはアレかな。

顔を赤くして頑張ってる感じ?

リリー様何しても可愛いな。


「ふーっ。これねぇ…

うーん…ちょっとわかりにくいわね。

これはまだ動いてないから。使うには何か開く鍵が必要。中にいるのを解放しないとダメね。」


「ごめんよくわかんない。動くって、そもそも何に使うやつなのかわかったの?」


「開かないとわかんないけど、なんかはできるヤツよ!」


「雑〜〜。しかもその開き方もわかんないんでしょ?」


「わかんないわね。」


「まあ、いっか。なんかできるヤツってわかっただけでもありがたいよ。」


DESUノート、なんかできるヤツらしい。

でもって中になんかいるらしい。

その中のなんかを解放する鍵が必要らしい。


実質使えないやつなのでは…?

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