第12話 出揃った出場者
予選から二週間後、日本国で魔王杯本戦が幕を開けた。
全世界から集まった十六名はそれぞれに控室が与えられ、食事もそれぞれの国に合わせた物が用意されていた。
今日一日で全トーナメント戦を行う手筈となっている。
本戦はプレイヤーがスタジアムに立ち、実戦を繰り広げる事になっており、その光景は全世界にテレビ生中継される。
「いってらっしゃい。気を付けるのよ」
「うん。行ってきます」
「応援してるからね」
シンは自分がシエルカードゲームのプレイヤーになった事、世界で十六人の一人に選ばれた事、今日から大会がある事を母に伝えたが特に叱られる事も、否定される事もなく見送られた。
そして、彼女にも連絡を入れておいた。
この戦いで彼女の願いを叶える第一歩を踏み出せるか決まるのだ。
現在、シンはスタジアムの中央に立っている。
普段はスポーツの試合会場として使用されている場所に立ち、大勢の観客とカメラの視線を受けている。
隣にはこれから戦う十五人の男女が横並びとなっていた。
「シン選手、シエルデヴァイスはお待ちでしょうか?」
「いいえ。持っていません」
「では、本大会中はこちらをお使い下さい。最新バージョンへアップデートされた物ですのでカードをセットすればビジョンが浮かび上がります」
案内役の男性から受け取ったガントレット型のアイテムを左腕に装着すると、測定していたかのようにピッタリと腕に馴染んだ。
重々しい見た目に反して軽く、腕を振り回す事も可能だった。
『お集まりの皆様! これよりシエルカードゲーム公式大会、魔王杯の本戦を開催致します!』
抽選に当たった観客達の歓声が耳をつんざく。
『トーナメントを行い、本日中に優勝者が決まります! それでは各選手の紹介だぁ!』
こういう雰囲気に慣れているであろう司会者が小指を立てて、マイクを握っている。
順番にユーザーネームと契約カードを簡単に紹介していき、遂にシンの順番が回ってきた。
『開催国、日本出身! 可愛らしい見た目と凶悪さを兼ね備えた名も無きカードの所有者、シン選手!』
紹介も後半だと言うのに会場の熱気は衰える事なく、最初と同じだけの拍手と歓声が沸いた。
これだけの大人数を前にする機会の無いシンは背中に緊張の汗を流しながら震える膝を必死に宥めた。
出場選手の中には観客やカメラに笑顔で手を振っている者も居たがシンは棒立ちしていた。
ただ表情だけは平静を装っており、一粒の汗もかいていない。
それが返って観客や他の出場選手に大物感を抱かせていたようだ。
開催にあたってのルール説明やシエルデヴァイスの使用方法の説明を終え、スタジアムの上で各選手が散り散りになり、所定の位置に着く。
シンの目の前には二十歳前後のイギリス人青年が立っており、余裕の面持ちだった。
互いにシエルデヴァイスに自身のスマートフォンをセットしてシエルカードゲームのアプリを開く。
定期入れからカードを取り出し、改めて描かれた兎を確認した。
『それでは第一回戦、バトルスタートッ!』
「「侵略」」




