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歌の龍王  作者: 朱鷺田祐介
41/74

【41】龍骨の野(3)

運命の劇場へようこそ

龍の秘密を追う魔道師ザンダルは、奇妙な運命に導かれ、旅立つことになる。


「歌の龍王」は、拙作のダーク・ファンタジーTRPG「深淵」の世界を舞台にした幻想物語です。



黄の八弦琴


伝説こそ語るべし。

なぜなら、皆を導き、希望を与えるから。



 しばし、沈黙が落ちた。

 ラグレッタ砦の城壁の上、職人頭のキリクと青龍の魔道師ザンダルは、言葉を紡ぐのを止めていた。騎士コーディスもまた何も言わない。そういう時に控えているべきことを理解している男だった。

 レ・ドーラから風が吹いてくる。微かな龍の遠吠えは死んだ龍たちの亡霊の声か。笛のようにも、かすれた嗚咽のようにも聞こえる。

「乾いた風だ」

 やがて、コーディスが呟く。

「荒野そのもののようだ」

「それもまた変えます」

とザンダルが言う。

「水路の件だね」と職人頭のキリクが確認する。

「モーファットからユパまで水路を引くそうだね」

「それがカスリーン回廊の次の姿です」

とザンダルは答えた。

 レ・ドーラは不毛の荒野だ。今も龍の死骨が散乱するだけで、何も生み出さない。そこにはほとんど植物も生えず、ただ乾燥した風が吹くだけだ。

 今まで、誰もモーファットまでの荒野を征服しようとしなかったのには、レ・ドーラの気候に問題があった。農地として開拓するには水が足りない。軍馬を養うにも草が少ない。何もかも持ち込みでは話にならない。


 だが、水があれば、どうだろう。


 幸い、モーファット河の水量は多いし、アラノス湖の西岸はあまり開拓が進んでいない。以前、モーファット伯爵に灌漑水路の建設を献策し、好感も得ている。

 あとは少々の資金と将来の利益だ。


「あんたら、魔道師というのは考えることが果てしないな」

と、キリクが呆れる。「何年かかるやら?」

「我らの生きている間には終わりますまい」とザンダルが答える。

「着工までに解決するべき問題が残っていますからね」

 そこでザンダルは、東北を指さした。

 彼方に、何か土埃が立っている。

「ストラガナが何か見つけてきたようですね」


 もちろん、ザンダルの目には、さらなるものが見えていた。

 巨大な棍棒を構えた野蛮な巨人たちの群れ。

 土鬼の部隊だ。


「土鬼の襲撃です」

 魔道師の言葉に、コーディスがうなずき、城壁の内側に向かって叫ぶ。

「敵来襲! 土鬼だ!」

 答えるように、見張り台の兵士が角笛を吹く。

 城砦の内外が一気にざわめき始める。

「弩を用意しろ!」

「歩兵隊、集合!」

「弓兵隊、城壁へ!」



ついに、土鬼の群れが襲来。巨人の亜種との戦いが始まります。


★本作は、朱鷺田祐介の公式サイト「黒い森の祠」別館「スザク・アーカイブ」で連載され、現在も継続中(最新64話/2021年春まで)を転載しているものです。


http://suzakugames.cocolog-nifty.com/suzakuarchive/

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