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第二話 探索

 思ったより期間が空いてしまいました。

 できれば一週間以内にしたかったのですが……。

 次回は間に合うよう頑張ります。


(よかった。高校生にもなって、異世界なんて中二くさいセリフ吐いといて、実はただ誘拐されただけでした。なんて、恥ずかしくて死にそうになる事態にはならずに済みそうだ)


 薄暗い部屋の中、僕は心配していたような事態にはならないだろうと思い、胸をなで下ろす。


(……まぁ、現実逃避はこれくらいにして、今は本当に死にそうなこの状況をなんとかしないと)


 目の前のゾンビは、思わず目を覆いたくなるような醜悪な見た目に、鼻が曲がりそうになる臭いを纏いながら、腐って動かなくなった左足を引きずってゆっくりとこっちに近づいてくる。

 さっきまでこの部屋に充満していた死臭が、ゾンビの纏う、より強い臭いに上書きされていく。

 流石にこの臭いには耐え切れそうにないので、鼻で呼吸をしないように手で鼻を摘まむ。


(うーん、どうするかな。さっきから見てた感じでは、どうもゾンビは僕のことを気にもとめてないみたいなんだよな)


 さっきから僕が、死体の少年から借りた剣を持って警戒しているが、ゾンビはまるで反応を見せず、相変わらず足を引きずってるせいか遅い歩調で歩み寄ってくる。


(……確実に倒せそうそうなのは、首を切り落とすとかだけど、いくら相手が隙だらけと言っても、僕にはそんな腕力も技術もないしな)


 相手が隙だらけで、こっちに武器があったとしても、その武器をまともに使えなければあまり意味をなさない。

 それに、そもそも相手が首を落としたら動かなくなるって言うのも、何の保証もない話なのだ。

 何しろ相手はゾンビなのだし。


(……逃げるのが、一番現実的か)


 幸い相手は僕の歩行より少し遅いくらいの速さでしか進まないので、逃げようと思えば楽に逃げられるとは思う。

 ……思うが。


(外にはゾンビがいない。なんて、あるわけないよな)


 目の前のゾンビが外から入ってきた以上、当然外にもゾンビはいるのだろう。


 だが、目の前のゾンビと戦うメリットもなければ、リスクも大きい。

 それに、この部屋には食料もなさそうなので、どちらにしてもこの部屋から出る必要がある。


(まだ、剣しか盗れてないけど、仕方ないか……)


 ゾンビを警戒しながら回り込み、出口までたどり着く。

 幸い部屋を出ても、ゾンビは追ってこない。


(今の内にこの部屋から離れようか)


 部屋を出ても、部屋の中と同じ様な無機質な壁や床が広がっていた。部屋の外は更に大きな部屋だった、とかではなく、普通に廊下に出たようだ。

 一瞬、右の通路と左の通路のどっちに行くかで迷ったが、特に意味もなく左に行くことにした。


 その後も、ゾンビに会っては引き返し、分かれ道は適当に選びながら進んだ。

 幸い記憶力はいい方なので、特に迷うことなく進める。


 死体の少年の格好に、さっきのゾンビに、部屋の外の様子、確証はないが、これらの感じからするに、ここはダンジョンではないかと思う。

 まぁ、ダンジョンと呼ばれているかは不明だが、それに準ずる物だと思っている。

 探索してる途中に、ゾンビが複数体いたのであまり近づけなかったが、宝箱のような物も見かけた。

 未だに生きた人を見ていないのが気になるが、ここはRPGゲームでよく見るダンジョンにとてもよく似ている。

 そして、もしこれがダンジョンならば、ちゃんと外の世界に出るための扉なり、階段なり、があるはずだ。

 流石にないとは思っているが、最悪出口がないとかもあり得たのでひとまず朗報とも取れるだろう。


 しかし、ゾンビを避て進む以上、当然見て回れない部屋も存在する。それに、今軽く見て回って分かった事だが、このダンジョンはとてつもなく広い。

 もちろん自力で脱出も目指すが、おそらく誰かに出口を聞くのが一番手っ取り早そうだ。


(とか考えたところで、結局、僕にできるのはこのダンジョンを探索することだけなんだけどね)


 人探しの方は、大声を出すとかは出来そうだが、ゾンビがよってくるかもしれないのでやめておく。

 最終手段としてはありかもしれないが、余裕のある現状ではまだ、そういう手段は取りたくない。


 よって仕方なくダンジョンを練り歩くが、出口も人も見つからないまま時間が過ぎていく。


 しかし、通路の先にゾンビの姿が見えたので引き返そうとした時、そのゾンビの奥の方から人の声が聞こえた。


(また面倒なタイミングで……)


 心の中でため息をつくが、ゾンビはそんなことまるで興味がないようで、相変わらずゆっくりと歩いている。


(……覚悟を決めるか)


 このチャンスを逃すと、二度と人に会えないんじゃないかと思い、覚悟を決めて戦うことを決意する。


 相手は素手だ。こっちには素人とは言え剣がある。

 ならば、リーチの差を生かすべきだ。


(となると……突きか?)


 素人なりに考えた結果、突くのが一番現実的かと思いいたる。


(んー。でも、仮に刺さったとして、それでゾンビが死ぬとは思えないけどなぁ)


 もちろんゾンビを実際に見るのは初めてだし、ゾンビ映画もそんなに詳しく知らないが、自分の中にあるゾンビのイメージからすると、剣が突き刺さった程度で死ぬとは思えない。


(となると、いっそ撲殺する勢いで頭部を叩くか)


 大振りだと近づかれそうで怖いが、剣の重さからして不可能では無いだろう。


「……ふぅ」


 剣を構える。

 刀じゃないのに剣道の構えはどうかと思うが、ないよりましと思おう。


 そして、ゾンビに走って近づき、剣を振り下ろす。


「……え、」


 思わず声が漏れる。

 頭部にダメージがあればいいかと思って振るった剣は、今やゾンビの頭部から腹部の途中まで切り裂いている。

 ゾンビが脆かったのかとも思ったが、剣を引き抜いて見ると刃が折れ曲がっている。無理な切り方をしたせいだろうが、ここまでの力は俺には無かった。


 もしかすると、あの部屋で目覚めて以降、身体能力が上がったのか?

 今まで気付かなかったが、極力体力を使わないようにしていたため、出せる力の限界が上がったとかなら可能性はある。


(となると……いや、今はそれより声の方に向かうか)


 そう考えて走りだすと、今までより遙かに早いことに気付き、改めて身体能力が上がったのだと実感する。


 次回でいよいよ本格的に話が始まる予定です。

 ……予定道理いくかなぁ。

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