表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

98/632

第5話 ふたつの世界。戦闘中断中……馬車で町へ戻ろう。

「ビ、ビリビリするぅぅぅっ!?」

「転倒するよりいいだろ? 我慢してくれ」

「いやいや、あまり変わらない気がするんだけど……気のせい……かなぁ……?」

 ラディウスの言葉に対し、セシリアは少しだけ不満を込めた口調でそう返す。

 

「セシリアは魂が一時的に封印状態だったせいで、身体の動きを司る部分が完全に回復していないから、咄嗟の動きってのが今はまだ無理なんだよ。だから、転倒したらおそらく顔面からノーガードで地面にダイブする事になるぞ。咄嗟に手が出たりとか、受け身を取ったりとか出来ないからな。だから痺れるくらい我慢してくれ」

 と、改めてセシリアに対して言うラディウス。


「うぐ……。ご、ごめん……。で、でも、もう少しこう……スマートにというか、ロマンチックにというか……そんな感じで受け止めて欲しかったかなぁ……。こ、これ、少し――いや、結構ビリビリ来て痛いんだけど……っ」

 謝罪しつつも、そんな事を言うセシリア。

 

「むぅ……そこまでか。んー、さすがに受け止めるのは無理だったし……。いっそ顔面からダイブするのを待ってから、レストアで復元した方が良かった……か?」

「そういう問題でもない気がするんだけどっ!? ……はぁ、まあいいや……。それで……これって何なの?」

 セシリアはラディウスに対し、ため息混じりに問いの言葉を発しつつ、自分を雁字搦めにしている鎖に視線を向ける。


「アストラルで構成された鎖つきの錨――アンカーを射出して、相手に食い込ませて引っ張る攻撃魔法だな」

「ちょっ!? 凄い怖いんだけど!?」

「大丈夫だ、アンカー部分は極小にして、鎖もちょっとビリっとくる程度にまで抑えてある……はずなんだがな」

 ラディウスは頭を掻きながら、そんな風に告げて魔法を解除する。

 

 拘束を解かれたセシリアが地面にペタンと座り込み、

「いや、結構痛いけど……? もしかして、これも改造されてたり?」

 と、ラディウスに問いかける。


「あー、たしかにそうだな。威力を制御してもそれなりに出てしまっていたか……」

「だよねぇ……。うん、納得した……」

 と、そこまで口にした所で一度言葉を切り、数秒の沈黙の後、勢いよく立ち上がった。

「で、も! 納得はしたけど、なんで攻撃魔法を使ったの!? 他になかったの!?」


「……すまん。それ以外に使えそうな魔法は作っていない。この魔法で支えるか、今言ったようにレストアで回復するかの二択だった」

 そうラディウスに言われたセシリアは、途端に脱力し、

「……あ、あー、うん……なるほど……。結局、痛い事には変わらないわけだね……。ま、まあ、元を正せば、悪いのは私の方だから何も言えないけど……」

 なんて事を言った。

 

 ――いや、思いっきり言ってきたような気しかしないが……まあ……いいか。

 もうちょっとスマートに支えるべきだった、支えたかったというのは、俺も思う所ではあるしな。

 ……向こう側が戦闘中じゃなければ、向こうでガジェットを作って戻ってくるという手もあったんだけどなぁ……

 

 そんな事をラディウスが考えていると、

「おや、もう来ていたのですね」

 と、そう言いながらシスターのアイシャが屋敷の中からやってくる。

 その横には司祭の姿もあった。

 

「屋敷の方は――使用人の方や兵士の方は、大丈夫なんですか?」

「はい。取り急ぎ必要であろう対応は、昨日までにやっておきましたので問題はありません。今日は今後どうするかについての最終確認だけです」

 セシリアの問いかけにそう返す司祭。

 

「結局、どうする事になったんですか?」

 セシリアに代わり、今度はラディウスが尋ねる。

 

「後継の伯爵様が決まるまでは、屋敷の維持を行って貰う事にしました。給金、それから治療や屋敷の維持に必要な物資の手配などは、教会が肩代わりする予定です。もっとも、後継の伯爵様が決まった後は、その方にお任せする形になってしまいますが……」

「なるほど……。それならとりあえずは安心ですね」

 司祭の返答に対してラディウスは納得し、答える。

 

「はい、そこはご心配なく」

 そう言って穏やかな笑みを浮かべた司祭に続く形で、

「司祭様、セシリア様、ラディウス様、馬車の方はいつでも出せる状態です」

 と、アイシャが馬車の前に立って呼びかけてくる。

 

「わかりました。――それでは、出発いたしましょうか」

 そう言いながら、馬車へと歩み寄る司祭。

 ラディウスとセシリアも、その声に応じる形で馬車へと乗り込んだ――

もうひとつの世界では、今まさに戦闘中なのに対し、こちらは割と平和です。

ふたつの世界を一瞬で行き来する事が出来て、片方の時間は進まないという都合上、こういう差の激しい展開が普通にありえる、という話です……


さて、次回は日曜日の更新を予定しています。なんとか更新頻度を上げたいのですが、なかなか余裕が出来なく……申し訳ないです orz


追記:次話に、別の物語が間違えて投稿されていたので、削除しました。

今日は同時に(連続で2作品分)投稿した事もあって、寝ぼけて投稿先を間違えていたようです……すいません orz

余裕のない時に同時に投稿するとかいう無茶は危険でした……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ