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第5話 古き塔。ドールガジェットの接近。

 ――こちらに害意を持つ存在の名前は……キリングアイドル、そしてスナイプフィギュア、か。

 名前からして戦闘用のドールガジェットの類だな。おそらく片方は白兵タイプで、もう片方が狙撃タイプだろう。

 それに、なんとも厄介な組み合わせだ……。アイドルだのフィギュアだのという単語に騙されてはいけないって奴だな。そんな名前が似合うようなかわいい外見じゃないしな、あれは。

 

 そんな事を考えつつも、即座にメルメメルアに対てし警告を発するラディウス。

「マリスディテクターに反応ありだ! 戦闘用のドールガジェット2体が、こちらに向かってきてるぞ! 注意しろ!」

 

 ――だが……ドールガジェットは、遺跡から動作する形で発見される事は限りなく稀で、戦闘用ともなると、数えるほどだったはず。それが普通に2体もいるとは……

 これもこちらの世界と、あちらの世界との『差』なのか……?


 顎に手を当てラディウスが思案した所で、メルメメルアが驚きの声を上げた。

「ど、ドールガジェットです!? しかも戦闘用なのです!?」

 

「ああ、間違いない。白兵タイプのキリングアイドルと、狙撃タイプのスナイプフィギュアだ。白兵タイプがいる状態での狙撃タイプは厄介だな……」

「た、たしかにそうなのです……! ここは狭い上に入り組んでいるですし、狙撃に屋外程のアドバンテージがあるわけではないと思うですが、それでも不意のタイミングで撃たれると危険なのです! ここは逃げるのが良いと私は思うです!」

 ラディウスの言葉に対し、焦り気味にそんな提案をしてくるメルメメルア。

 

「そうしたい所だが……あちらの速度からして、エレベーターまで逃げられるかどうかは五分五分といった所だ。――ここは逆に、瓦礫や大きい機材の残骸が多い、狙撃から身を隠しやすい場所で迎撃した方が、まだどうにかなるだろう」

「げ、迎撃するですか!?」

 ラディウスのの提案に、メルメメルアは驚きを隠せない様子だ。

 だが、ラディウスは構わず平然と言葉を続ける。

「ああ。結果的に敵を倒すのが一番安全ではあるからな。……まあ、倒せない相手ではないし」


「た、倒せない相手ではない……です? 戦闘用のドールガジェットは1体でも熟練の兵士10人以上に匹敵すると言われるですが……」

「そうだな。だったら、ガジェット――魔法を10人以上分使って、物量で押し切れば良いだけだ。白兵タイプさえどうにかしてしまえば、狙撃タイプの方はどうにかなる。さっき、メルが言った通り、屋外ほどのアドバンテージはないからな」

 さらりとそう言い放つラディウスに、メルメメルアはとんでもない物を見たと言わんばかりに目を瞬かせたまま硬直する。

 

「ってなわけで、そういう場所――狙撃から身を隠しやすい場所はないか?」

「え? あ、えっと……は、はいです! そ、それなら、少し戻った所に丁度よい大部屋があるです!」

「よし、それじゃあそこへ行くとしよう」

 硬直から復帰したメルメメルアは、ラディウスの言葉に頷き、誘導する。

 

 程なくして、壁が壊れて中に配線が見える場所まで来た所で、

「この扉の先なのです!」

 と言って扉を開こうとするメルメメルア。

 

 ……しかし、扉はびくともしない。

 

「お、おかしいのです! ロックの類はかかっていなかったはずなのです……!」

 慌てるメルメメルアに対し、ラディウスは、

「何者かが操作している……? いや、奴らの移動速度が若干落ちているな。まるで俺たちがエレベーターまで逃げられるように手を抜いているかのようだ……。これは……逃げ場のないエレベーターへ誘導し、そこで確実に仕留めるとかそんな意図……か? ま、だとしても、その手に乗ってやるつもりはまったくないけどな」

 そう呟くように答えつつガジェットを取り出すと、監獄の穴を広げた時のように、魔法を使って扉を破壊した。

 

「ふぁぁぁっ!?」

 素っ頓狂な声を上げ、唖然した表情で壊れた扉を見つめるメルメメルアだったが、

「よし、とりあえず中に入るぞ」

 というラディウスの言葉にハッとなり、急いで壊れた扉から部屋の中へと入る。

 

「うーん……。ここにトラップでも仕掛けておいた方が良さそうだな」

 メルメメルアが部屋の中に入ってきたのを見ながら、そう呟くラディウス。

 そして……

 

 ――だが、さすがに手持ちにトラップに使えるガジェットはないからな。

 それに、10人分以上の魔法を使えばいいとメルには言ったが、そんなに攻撃に使えるガジェットはない。

 ……そう、なぜならこれから作るのだから。

 

 なんて事を思いながら、ラディウスは伯爵邸を思い浮かべるのだった――

『たとえ、どんな状態からでも並行世界へ一瞬で移動出来る上に、そちら側にいる間は、一切時間が進まない』というのは、なかなかに凶悪な気がします……


今週~来週にかけては、どうしても全体的に執筆する時間が取れない為、1日置きの更新を予定しています……

そのため、次回の更新は木曜日となります。毎日更新といかずに申し訳ありません…… orz

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