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第3話 古き塔。通信とエレベーター。

 兵士はラディウスたちの間近までやって来ると、

「冒険者の類とお見受けしますが、こちらに何のご用でしょうか?」

 と、至極もっともな言葉を投げかけてきた。

 

「私は特殊遺物鑑定保管機構所属の鑑定士なのです。今日は機構の調査の都合で訪れたのです。――こちらで確認いただきたいのです」

 兵士に対してそう答えつつ、懐からカードを取り出すと、それを手渡すメルメメルア。

 

「なるほど……そうでしたか。では、念の為に確認させていただきます」

 メルメメルアからカードを受け取った兵士は、腰のツールポーチからレジにありそうな手に持つタイプの、バーコードリーダーのような形状のガジェットを取り出し、それをカードに当てる。

 

 と、その直後、ピロンッ! という電子音めいた音が響き、カードが一瞬緑色に光った。

 

「――はい、確認が取れました。鑑定士メルメメルア殿と護衛の冒険者であるラディウス殿ですね。どうぞお通りください」

 そう言いながら兵士がカードをメルメメルアに返却する。

 

「ご苦労さまなのです」

 軽く会釈しつつ、歩き出すメルメメルア。

 ラディウスもまたそれに続く形で会釈をし、すぐにメルメメルアを追う。

 

「いつの間に許可を……? というか、俺が護衛っていう扱いになってるし……」

 兵士から離れた所で、ラディウスが抱いた疑問を問う。

 

「アルベリヒ卿が、私たちがこっちへ向かっている間に手配しておくと言っていたのです。なので、多分大丈夫だろうと思って差し出したです」

「そのカード内に記録されている情報って、通信かなにかでリアルタイムに更新されるのか?」

「んー、ちょっと違うのです。各地に存在している通信支援塔が、どれもこれも機能していない遺跡状態となってしまっている現代では、さすがにそこまでの事は出来ないのです。なので、国内全域に張り巡らされた鉄道網を利用しているです」

 というメルメメルアの説明に、ラディウスはピンと来て左の掌を握った右手でポンと叩いた。


「ああ……そういう事か。要するに、線路と列車――それと駅もか――を経由して情報が送られる……とまあ、そんな感じの仕組みになっているって事だな」

 そう言ったラディウスに対し、メルメメルアは驚きの表情を見せつつ言葉を返す。

「今の説明だけでそれがわかるとか、凄いのです……。ラディウスさんの言う通り、線路と列車、そして駅に設置されたガジェットで情報が更新されるです」

 

 ――なんというか、思った以上に技術力が高いな。

 向こう側の世界とのこの差は、一体なんなのだろうか……?

 大陸全土が1つの巨大な国によって統治されているから、というだけでは説明がつかないような気がするが……

 

 そんな事を考えながら歩いて行き、レゾナンスタワーの中へと入るラディウス。

 

「雰囲気的には、宮殿の監獄――妖姫が囚われている場所に似ているな……」

 レゾナンスタワーの内装を見回しながら、そう口にするラディウス。

 

「この辺りは、ヴィンスレイドが補強したそうなのです。なので、その影響で王宮のその場所に似通っていると考えられるです」

「なるほど……。それならなんとなく納得出来るな」

 ラディウスはメルメメルアの説明に対し、顎に手を当てながら、納得の表情でそう答える。

 

「さて、エレベーターなのですが、こっちにあるです」

 と言ってラディウスを先導するように、メルメメルアが左右に分かれた通路を左へと進む。

 その後を追って少し進んでいくと、件のエレベーターが視界に入った。

 

「あれか」

「はいなのです。あれで一気に行けるです」

 ラディウスの言葉に同意するように頷いてそう返すと、とててっと走っていき、エレベーターのボタンを押すメルメメルア。

 

 すぐさま駆動音が響き渡り、エレベーターのかごが下から登ってき始めるのだった。

少々立て込んでいる為、次回の更新は明後日の予定です…… orz

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