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第1話 古き塔。鉄路より見える黒きモノ。

 ホテルのすぐ近くの駅から鉄道に乗って10分もしないうちに、

『――まもなくオールドウッド駅に到着いたします。当駅にてお降りのお客様は、乗降口付近で切符をご用意してお待ちください』

 というアナウンスが列車内に流れた。

 

「あ、この駅で降りるです。切符はあるです?」

 メルメメルアがラディウスに対し、そう告げてくる。

 

「大丈夫だ。問題ない」

 問題のありそうな返答をしつつも、ラディウスは手に持った切符をメルメメルアに見せた。

 言葉通り、本当に問題はなさそうだ。

 ちなみに、ホテルを出る前に敬語は不要だと言われたので、普通に話している。

 

 ――オールドウッド駅。あちらの世界でも20年後に存在する事になる駅だが……近くに塔の遺跡があるなんて話は聞いた事がないな……

 あちらの世界では塔が遺っていない……という事なのか?

 

 ラディウスは座席から立ち上がり、乗降口へと移動しながら、そんな事を考える。

 すると、そんなラディウスの耳に、

「あそこに見えるのがレゾナンスタワーなのです」

 というメルメメルアの声が聞こえてきた。

 

 その声に反応するようにラディウスは顔を上げ、乗降口の窓から外を見る。

 するとラディウスの視界に、地球に良くある超高層ビルを細くしたような外観をした黒塗りの塔が飛び込んできた。

 ただし、その高さはせいぜいビル10階分程度であったが。

 

「あれか……。思ったよりも高くはないな……」

「え? あれよりも高い建造物を知っているのです?」

 ラディウスの言葉に、不思議そうな表情で小首を傾げるメルメメルア。

 

「まあ、こちらに飛んでくる前にな」

 そう答えつつ、正確には更に前――地球で良く見かけたのだが……と、心の中で付け加えるラディウス。

 

「なるほどなのです」

 と、メルメメルアが言った直後、列車が停止し、乗降口のドアが開く。

 が、なにやら向こう側が透けて見える青い壁が乗降口に張られていた。


「到着したのです。とりあえず降りるです」

 そう言いながら、青い壁をすり抜けるようにしてプラットフォームへと降りるメルメメルア。

 

 ――よくわからないが、普通に通ればいいのか?

 

 と、思いつつ青い壁へと足を踏み出すと、普通にすり抜けた。

 

「この青い壁みたいなのはなんなんだ?」

「それは認証反応式障壁という代物なのです。簡単に言うと、この駅までの切符を持っていないと通過出来ない障壁なのです。あ、ちなみになんでそうしているのかというと、ここは無人駅なのでそうしないと無賃乗車されかねないからなのです」

 そう説明され、納得して頷くラディウス。

 

「ああ、なるほど……。でも、ここから乗る時はどうすればいいんだ?」

「向こうにある自動券売機で変えばオッケーなのです」

 答えながら、メルメメルアはプラットフォームの端にある縦長の機械を指さす。

 

 ――自動券売機なんてものがあるとはな……形状は俺の知っている物とは大分違うというか、飲み物の自動販売機みたいな感じだが……

 

 そんな事を思っていると、列車の乗降口のドアが閉まり、列車が走り出す。

 

「あ、切符は券売機横のゴミ箱にでも捨ててしまえばオッケーなのです。これでもう一度乗れたりはしないのです」

 と言いつつ、ゴミ箱に近寄って切符を捨てるメルメメルア。

 

「なるほど……列車が駅から離れると認証の魔法が消去されるのか」

 切符の仕組みがなんとなく気になったラディウスが、組み込まれている魔法を解析しながらそんな風に言う。

 

「……その場ですぐに魔法を解析出来る人、初めて見たです」

「まあ、そういう解析用のガジェットを持っている――いや、作ったからな」

 

 ラディウスの告げた言葉に、メルメメルアは額に手を当て、心の中でため息をついた。

 

 ――思ったよりも……いえ、思った以上にとんでもない人なのです……。

 この人、一体どんな時代のどんな場所から来たというのです……?

休み中、私用の都合で明日の分が出来ていません。

申し訳ありませんが、次の更新は1日開けて明後日の木曜日とさせていただきます…… orz

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― 新着の感想 ―
[一言] こちら側は読ませて楽しませて貰っているので多少遅れたとしてもモーマンタイです、個人の時間を大事にしてください。
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