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第5話 此方と彼方。遺跡と封魂術。

「遺跡? それは、宮殿の地下にある水路遺跡の事でしょうか?」

「いえ、レマノー湖の西岸にあるレゾナンスタワーと呼ばれる遺跡です」

 アルベリヒの返答を聞いたラディウスは、思う。


 ――こちら側の世界でも、湖の名前はレマノーのままなのか。

 それにしても、レゾナンスタワー……? 意味は『共鳴塔』といった所だよな……

 

「レゾナンスタワー……共鳴塔という意味だと思いますが……どうしてそのような名称がついているんです?」

「エル・ガディアがまだ国として存在していた頃に、長距離通信支援塔として建造された物なのです。そして、施設――遺跡内に当時使われていたその名称が刻まれた物が遺っていたため、そう呼ばれているのです」

 と、ラディウスの疑問に対し、アルベリヒに代わってメルメメルアが答える。

 

 ――長距離通信支援塔……要するに電波塔みたいなものだろうか?


 ラディウスはなんとなくそんな事を考えつつ、問いかける。

「なるほど……。しかし、なぜそのような場所に?」


「実はその塔には、かつて宮廷魔工士の筆頭であったヴィンスレイドが、改造して研究所へと作り変えた区画が残っております」

「宮廷魔工士の筆頭……」

 アルベリヒの言葉にそう返しつつラディウスは思う。


 ――あいつの技術力、向こう側の世界……あの時代の一般的な魔工士と比べて優れていたが……そういう事だったのか。なんとも納得だな。

 そして、リリティナを連れ去る事が出来たのも、その地位があったから……ってわけか。


「つまり、そこで何かを探してくる……という事ですか?」

「その通りなのです。何を探すかなのですが……ラディウスさんは先程、妖姫様から封魂術のガジェットを新たに作るように言われたと話していたのです」

「あー、はい、たしかに話しましたね」

 メルメメルアに対しそう答えたところで、遺跡を探索する理由が、ラディウスの頭の中に浮かんでくる。

「……ん? もしかして、封魂術のガジェットそのもの、あるいは作るの必要な素材がそこにあるのですか?」


「話が早くて助かるです。あの場所には、ヴィンスレイドが各地のクレイドル――あ、封魂術のガジェットを格納してある施設の事なのです――から、封魂術のガジェットや、それを作るのに必要な素材を集めて、あの場所に運び込んだ物がまだ遺されているのです」

 感心して微笑みながら言ってくるメルメメルアに、ラディウスは、

「ヴィンスレイドを討伐した時に国が接収したとか、国が危険な場所として管理下においているとかではないのですか?」

 と、疑問の言葉を返す。

 

「現代の技術では、封魂術のガジェット用の素材は用途不明な使い道のない代物でしかない事もあり、国も接収するつもりがまったくございません。また、一応兵士を配置して管理はしていますが、素材に関してはあまりにも数が多いので、完全に放置されていると言って良い状態です。一応、我々の方で、魂が込められた状態のガジェットだけは回収いたしましたが……」

 メルメメルアの代わりに、そんな風に説明してくるアルベリヒ。


「なるほど……そういう感じなのですか。――わかりました、とりあえずその遺跡へ行ってみます。封魂術のガジェットを作るのに必要となる素材がどれなのかはどう見分ければ良いのでしょう?」

「あ、そこは私が同行して、お教えしますので問題ないのです。どの道、兵士の方に話をしないといけないのです」

 メルメメルアがラディウスの問いかけにそう返す。

 そのメルメメルアの言葉を聞き、ラディウスは思う。

 

 ――えーっと……それって、俺が行く必要あるんだろうか……? メルメメルア自身が取りに行けば早いんじゃ……

 ……あー、もしかして俺がその場所に行く事自体に何か意味があるって事なのか……?

 うーん……意図が良くわからないが、とりあえず行ってみるしかないな。

 

 と。

急で申し訳ありませんが、所用の為に書く時間が取れないので、明日は更新をお休みします。

次回は22日火曜日の更新予定です。

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