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第2話 此方と彼方。アルベリヒとメルメメルア。

「支配人が貨幣の買い取り……ですか?」

「たしかに不自然に感じられるかもしれませんね……。それに関しましては後ほどご説明いたします」

 アルベリヒがラディウスの問いかけにそう返すと、一呼吸置いてから、更に言葉を続ける。

「逆に、こちらからも1つお尋ねしたい事がございまして……あなた様は、エル・ガディア、ウィンザーム、ガーディマ、そういった名前に聞き覚えはありませんか?」

 

「――エル・ガディアとウィンザームは古代に存在した国の名前ですね。そして、ガーディマは遺跡の名前です」

「なるほど、そういう認識ですか……」

 ラディウスの問いに対し、呟くように言うアルベリヒ。

 

 メルメメルアがこめかみに人さし指を当てて、記憶を辿るように、

「そういえば……ラディウスさんはグランベイルという地名を、口にされていたのです」

 そうアルベリヒの方を見て告げると、アルベリヒは顎に手を当てて、しばし考えた後、 

「……聞き慣れない地名ですが、造魔大戦期に地図から消えた地名は山のようにあるので、そのひとつであると考えられます」

 と、答えた。


「という事はやはり、中途半端な時代から何らかの魔法で時間移動してきた……と言った所です?」

「ええ、その可能性がもっとも高いと思いますね。かの大戦以前には、ガーディマが遺跡としてまだ残存していたという事は一応判明しています。そして、ガーディマは時空に関する研究を主に行っていましたから、時空を跳躍する大型ガジェットの類が遺っていたとしても不思議ではありません」

「なるほどなのです。その大型ガジェットが、何らかの拍子に駆動した……と、そうアルベリヒ様は仰っしゃりたいわけなのですね」


 アルベリヒとメルメメルアがそんな事を話しているのを聞きながら、ラディウスは思考を巡らせる。


 ――造魔大戦というのが何かは不明だが、その大戦の時代よりも前には、こちら側の歴史でもガーディマは存在していたのか。

 しかし、そんな事を知っているという事は、もしかしてこのふたり……

 

 そのラディウスに対し、メルメメルアが申し訳なさそうな表情で言う。

「……あ、申し訳ないのです。目の前で何をわけのわからない話をしているのか……と思っているですよね? えっと、今から説明するの――」

「――いえ、話は概ね理解しました。というか……むしろこちらから聞きたい事があります。――ふたりは、もしかして古代人で、封魂術を用いてこの時代へ辿り着いたのでは?」

 メルメメルアの言葉を遮るようにして、問いの言葉を投げかけるラディウス。

 

「「っ!?」」

 ラディウスに問われたメルメメルアとアルベリヒは、いきなり『封魂術』という単語が出て来るなどとは夢にも思っていなかったのか、心底驚いたと言わんばかりの表情を見せた。

 

「よもや、その言葉が出てくるとは……いやはや、想定外でございました。あなた様はその手の事を研究していらしたのですか?」

「いや、そういうわけでありません。……少し長くなりますが、諸々の経緯をお話してもよろしいですか?」

 問いかけてくるアルベリヒに対し、ラディウスはそう聞き返す。

 

「ええ、もちろんです。時間に関しても、私の方はお気になされなくて大丈夫ですよ。メルメメルアさんは大丈夫ですか?」

 と言ってメルメメルアの方を見るアルベリヒ。

 それに対し、メルメメルアは頷き答える。

「はい、こちらも問題ないのです。むしろ、ぜひ聞きたいくらいなのです」


「……わかりました、それではお話しますね。実は――」

 そう言って、ラディウスは妖姫と出会った時から、今に至るまでの話をふたりにし始めるのだった――

すいません、投稿が遅くなりました……(流れのおかしな箇所があったので修正していました)

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