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第3話 新たに生み出したるモノ。そして漆黒の剣。

「さてそれじゃ、後はこれを……っと」

 ラディウスはそう口にしつつ、ルティカの右腕部分にそれを近づけ、義手の連結部に手を添える。

 直後、連結部から青い帯状の光が6つ生み出された。

 6つの光は帯状を維持したままルティカに向かって伸びていき、そして皮膚へと吸い込まれていった。

 

「お? おお? な、なんだか変な感じっすね?」

 そう口にするルティカの視線の先では、ラディウスの手から離れた義手が、浮いたまま光に導かれるようにして本来腕があった場所へと勝手に移動。

 そこでかっちりと嵌って固定化――結合されると同時に、青い光が消失する。

 

「多分問題ないと思うが……どうだ?」

 と問われたルティカが、恐る恐るといった感じで右腕を動かしてみる。

 すると、自分の腕が生えてきたかのように、何の違和感もなく動いた。

 

「す、凄いっす! まるで腕が復活したみたいっす!」

「ええっ!? それ……もう義手ってレベルじゃない気がするんだけど……?」

 驚くふたりに対し、ラディウスは、

「そいつには色々と魔法が仕込んであってな、使いこなせば剣だけじゃ到底不可能なレベルの戦い方が出来るようになる。さっきも言った通り、今回は相手が悪すぎただけだ。――だが、そんな相手でもそいつを使いこなせば対処出来る。もう少し冒険者を続けてみたらどうだ?」

 と、そう言ってルティカを見た。

 

「た、たしかにこの魔法の数々は上手く使えば強力っすね……。冒険者として一段上――どころか、数段上まで一足飛び出来てもおかしくない程の代物っす」

「そ、そこまで言う程の物なの……? ちなみに、どんな魔法が?」

「えーっと……そうっすね、例えば……」


 アメリアに問われたルティカが周囲を見回し、エントランスホールの2階部分にある通路に視線を定め、凝視。

 そしてそちらへ向かって、何かを放り投げるような仕草をしながら右手――義手を伸ばした。

 直後、ルティカの姿が消える。

 

「えっ!?」

 訳が分からず左右に首を動かしてルティカの姿を探すアメリア。

 その頭上からルティカの声が降ってくる。

「ここっすよ! こんな感じで移動出来る魔法っす!」


 アメリアが見上げると、そこには2階部分の通路に立つルティカの姿があった。

 

「く、空間転移!?」

「ルシッドサイン・リープという魔法だな。術者本人にしか見えない光球を飛ばして、任意のタイミングで光球の場所に瞬間移動する、という物だ」

「ちょっ!? なにそれ! そんなとんでもない魔法、聞いた事もないんだけど!?」

「まあ、これは他の魔法を作ろうとしていたら偶然出来てしまった代物だしな……。光球を飛ばすという手間が入るから、使い勝手が若干悪い」

「いやいや、そういう問題じゃないから! 空間転移が自在に出来る時点で色々おかしいから!」

「そうは言われても、偶然の産物だしなぁ……」

 

 そんな、なんだか少し噛み合っていない会話をアメリアとラディウスがしていると、

「――とまあ、こういった魔法があと6種類あるっすよ。とりあえず今のこれは、奇襲と離脱に使えそうっすね! もう少し冒険者を続けても良い気がしてきたっす!」

 と、そんな風に言いながらルティカがふたりの間に姿を現す。

 そして、その手には、いつの間にか剣が握られていた。

 

「……ルティカが冒険者を続ける気になったのは嬉しいけど、なんでそんなとんでもない魔法の組み込まれたガジェットを受け取ったのに、そう平然と出来るの……?」

 脱力しながら言うアメリアに対し、ルティカは義手の指で頬を掻きながら、

「そう言われても、ボクには魔法とかガジェットとか、そういう知識ほとんどないっすからね。ラディの魔法は凄いなーくらいの感想しか出て来ないんすよねぇ……」

 なんて事を言った。

 

「ああうん、そうなんだ……。まあいいや……たしかに凄いなーくらいに思っておいた方が、色々と精神衛生上いい気がしてきたよ……」

 なぜか、諦めたような口調でそう返すアメリア。

 

「いや、精神衛生上って……」

 ラディウスはそう呟きつつも、アメリアの事はひとまず置いておく。

 代わりにルティカの持つ剣を指さしつつ、問いの言葉を続けた。

「――ところでルティカ、その剣はなんなんだ?」

 

「あ、これっすか? 2階の通路に飾られていたんすよ。なんだか気になったんで持ってきてみたっす」

 そう言いながら、ラディウスにその剣を手渡すルティカ。

 

 ――いや、飾られていたのを勝手に持ってきちゃ駄目じゃなかろうか……

 だがまあ……たしかに気になるというのはわかるな。

 漆黒の剣身に赤い線で描かれた紋様があるやや細身の剣……。剣型のガジェットかと思ったが……どうやら、そういうわけでもなさそうだ。

 だが、なんとなく魔法っぽい物が組み込まれている感じがするんだよなぁ……。一体、なんなんだ? これ……

 

 ラディウスは、受け取った剣を眺めながらそんな事を思ったのだった――

思ったよりも長くなったので、やや中途半端感がありますが、一旦区切りました。

次の話(の途中)からは、向こう側の世界の話がメインになる予定です。

まあもっとも、一瞬で行き来出来るので、定期的に戻っては来ますが……

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