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第2話 新たに生み出したる手。ルティカとアメリア。

「だったら、私も辞めるよっ!」

「ええっ!? アメリアまで辞める必要はないっすよ!?」

「そんな事ないっ。だって――」

 

 ルティカと話していた女冒険者――アメリアが、ラディウスに気づき、言葉を途中で切った。

 

 ――あの冒険者、アメリアって名前だったか……

 ルティカがアイシャって呼んでいたのが、あの冒険者とシスターどっちなのかと思っていたが、アイシャはシスターの方だったようだな。

 にしても、アメリア……か。セシリアと近い感じの名前だな。ある意味、覚えやすい。

 

 なんて事を思っていると、

「あ、お疲れっす! 大活躍だったっすね!」

 ルティカがラディウスに対してそんな風に言ってくる。

 

「大した事はしていないんだがな……。言う事が大げさすぎる」

 ラディウスがため息まじりにそう言葉を返すと、アメリアの方が呆れた表情で、

「いやいや、十分大した事だと思うよ?」

 と、そんな風に言った。

 横で聞いていたルティカもウンウンと首を縦に振り、それを肯定する。

 

「……そ、そう……か? ま、まあその話は置いておくとして……今、辞めるとか辞めないとか言っていたが……もしかして、冒険者を辞めるか辞めないかって話か?」

 ラディウスはとりあえず話題を変えようと考え、ふたりを交互に見て問う。


「え? あ、うん、そう。ルティカが冒険者を辞めるっていうから、私もと思ったんだけど……」

「ボクに付き合って辞める必要はない、って思ってるんすけどねー、ボクは」

「でも、ルティカが片腕を失ったのは、私が聖女様の護衛を任せたせいだし……」

「いやいや、そんな事ないっすよー。ってか、左腕だけでも剣を振るう事は出来るっす。ただ……その、まあ……単にここらへんが辞め時かな? って思ったんすよ。あの程度の護衛も出来ないようじゃ、この先厳しいと思うんすよ、ボク」

「それは……。でも、それを言うなら私も実力的には大して変わらないし……」

「アメリアは、戦闘能力以外にも、冒険者として役立つ技術や知識が色々あるじゃないっすか。ボクはそういうの皆無っすよ?」

 

 と、そんな事を話し始めるふたりに対してラディウスは、

「――んー、相手が悪すぎただけだと思うがな、今回は。それとルティカの腕の方は一応解決出来るぞ」

 そう告げながら、ストレージから義手を取り出す。

 

「わわっ!? な、なんすか、その腕っ!」

「……え? これ、義手? 凄く本物の腕にしか見えないけど……」

 ルティカとアメリアが、それぞれ異なる反応を見せる。

 アメリアの方は、ガジェット関連の知識がそれなりにあるのか、それとも感覚的なものなのかはわからないが、なんとなくそれが義手であるという事に気づいたようだ。

 

「そう、義手だ。――ルティカ、ちょっと左腕を見せてくれ」

「え? あ、はい、どうぞっす」

 ラディウスの言葉に従い、ルティカが左腕をラディウスの方へと伸ばした。

 

 その腕を見ながら、覚えたばかりの術式を用い、幻影魔法を調整し始めるラディウス。

 

「な、なんだか、淡い光に包まれ始めたと思ったら、段々と義手がボクの腕そっくりになってきたっす……」

「これは……多分、幻影魔法だと思うけど……こんな高度な物、初めてみたよ」

 なんて事を呟くように言うふたりに、

「まあ、俺も最初にこれを見た時は、とんでもない術式があったもんだと思ったな」

 と、そんな風に言って返すラディウス。

 

「うーん……ガジェットの知識があんまりないボクでも、これはたしかに凄いってのがわかるっすねぇ……」

「これを最初に生み出した人は天才か超人だね、うん」

「そうだな。少なくとも、技術力は20年以上先を行っているな」


 なんて会話をしている間にも、義手の幻影魔法の調整は進んでいき、遂にルティカの腕と寸分違わぬ物となった。

 

 ――まあこんな所だろう。うーん……やはり、向こう側の世界の技術はとんでもないな……。一体どんな歴史の歩み方をしたのやら……だな。

 

 ラディウスは義手を眺めながらそんな風に思ったが、その技術を、あっさりと自分の物にしてしまうラディウス自身もまた、とんでもない存在だという事をまったく理解していなかったのだった……

やりすぎたラディウスが過去に戻ってきて、またやりすぎるという……

あちらの世界では不穏な話が続くのに対し、こちらの世界では割と平穏な話が続く予定です。


追記:投稿前に微調整した際に、数行誤って消してしまっていた所があった為、追加しました。

(その部分がなくても話が繋がる状態だったので、以前のバージョンでも違和感はあまりなかったかもしれません……)

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