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第4話 過去からの者。入れ替わる者。

「術式チェッカー!」

 ラディウスは監獄に到着するなり、カードリーダーの魔導装置に向かって魔法を使った。

 言うまでもなくラディウスオリジナルの術式解析魔法なので、相変わらず魔法の名前はかなり適当だったりする。

 

 だが、効果の方は名称とは関係なくしっかりと想定通りに発揮され、カードリーダーの仕組みを構成する術式がホログラムのように目の前に浮かび上がった。

 そこには文字と数字の羅列――いわゆるソースコードのような物が表示されており、それらが自動的に書き換わり、次々に更新されていく。


 ――よし、あとは解析が終わるまで待つだけだな。

 

 心の中でそんな事を呟いた所で、

「術式……チェッカー? 何かの魔法を使ったようですが、聞いた事のない名の魔法ですね……」

 妖姫が疑問を口にした。

 ラディウスは、まあ当然の疑問だなと思いつつ答える。

「ああ、今のはここにあるカードリーダーっぽい代物の構成――術式を解析するためだけに俺が作った、即興の魔法だからな。名前は適当だ」


「そ、そうなのですか……。まあ、魔法の名は何でもいいと言えば何でもいいので置いておくとしましょう……。それで、えっと……オリジナルの魔法を生成……という事は、貴方はガジェットなしで魔法が使えるのですか?」

「あ、いや、そういうわけじゃない。正確に言うと、この魔法を組み込んだガジェットを作ったんだ。さすがにガジェットなしで魔法が使えたりはしないからな」

「え!? ガジェットを作った!? この場で、ですか!?」

「……あー、実はそれなんだがな――」

 

 ――もう少し早く説明しておくべきだったな……

 

 驚きの声を上げる妖姫に対し、そんな風に思ったラディウスは、頭を掻きながら瞬時に元々居た歴史の世界との行き来が出来る事と、リリティナについての説明をする。

 

「……まさか、そのような現象が起こっているとは……。これは……思ったよりも簡単に私の目的を達成出来るかもしれませんね……」

 ラディウスの説明を聞き終えた妖姫が、呟くように言う。

 

「……ん? 目的?」

 何をしようとしているのかと思い、問いかけるラディウスに対し、妖姫はしばしの無言の後、

「…………この肉体を本来の持ち主――リリティナに返す事です」

 と、そんな風に答えた。

 

「リリティナに返す? ……もしかして、リリティナの魂が封魂術のガジェットに封じられている事を知っていたのか?」

 ラディウスはそう言いながら、リリティナの魂が封じ込められているガジェットをストレージから取り出し、それを手に持って眺める。


「確証はありませんでしたが……私がこの肉体で目覚める瞬間、戻魄術に似た魔力を一瞬感じたので、その可能性はありえると思っていました」

「そういう事か。戻魄術……いや、この場合はそれに近い物だと思った方がいいだろうな。それが使われた可能性が高い、と」

「はい。あの男……ヴィンスレイドがリリティナに対して行った実験の内容を、この肉体に残っていた記憶の残滓から知った私は、リリティナが死んだ直後にその魔法か何かによって、魂が入れ替わったのではないか……と、そのように考えたのです。肉体が死んだからと、なんの障害もなくリリティナの――他者の肉体に私の魂が同化するという事自体が不自然でしたから」

「……」

 妖姫の話を聞いたラディウスは、顎に手を当ててルティカの事を思い出しながら、思考を巡らせる。

 

 ――たしかにルティカの時の事を考えると、すんなり同化というのは難しそうだ。

 ……ただ、セシリアに関しては、すんなりと同化したのか良くわからんが……ヴィンスレイドの言葉の雰囲気からすると、割とすんなりいったっぽいんだよな。

 ただまあ、そうだとしても……セシリアのみならず、リリティナの自我すら表面に出てきていなかったのがなかったのが、少し気になるんだよなぁ……

 あれは一体どういう事なのだろうか……


 と、その直後、ピロン! という電子音のような場違いな雰囲気の音が鳴り響いた。


「今の不可思議な……いえ、昔聞いた事があるような感じのする音は一体……?」

「ああ、発動しておいた解析魔法による解析が終わった事を示す音だな。まあ……なんだ? 音を鳴らす術式は難しくてな……とりあえず、これにしておいたんだ」

 妖姫の疑問にそんな風に答えながら、ラディウスはホログラムに目を向けた――

ソースコードを自動で解析してくれたら便利ですよね……


まあそれはさておき、次回は明後日(木曜日)です!

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