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第3話 過去から来た魂。妖姫と皇女。

 セシリアを伯爵邸の客室に連れていき、後をルティカとシスターに任せたラディウスは、早速リバースプロトコル用のガジェットを拡張し、別の魔法の式――構成を付け加える。


 ――あ、そうだ。ついでにカードキー式の扉をどうにかする為に、解析と術式転写の魔法を組み込んだガジェットも作っておくか……

 もし、セシリアの中にあるガジェットに込められている霊が予想通りリリティナであれば、妖姫に直接見せた方がいいからな。

 ガジェットに込められた魂を見せるだけなら、下部にある狭い隙間から通してもいいんだが、開けられるようにして置いた方が楽だからなぁ……。それに、あそこから外に出るのにも必要そうだし。

 

 そんな事を考えながら、ラディウスは手早くガジェットをもう1つ作成する。

 あっという間に完成したそれをストレージに収納すると、新たな魔法を組み込んだ方のガジェットだけを手に持ち、セシリアの部屋――客室へと向かう。

 

「例の魔法が完成したのですか?」

 ラディウスが部屋に入った所で、そこにいたシスターが問いかけてきた。

 

「ああ、しっかり組み込んできた」

 返事をしながら、ラディウスは部屋の窓際に備え付けられているベッドへと視線を向ける。

 すると、そこでセシリアが静かに眠っているのが見えた。

 

「起こした方がよろしいのです?」

「いや、この魔法を使うのに起きている必要はないし、寝たままの状態でやってしまおう」

 シスターにそう答えると、セシリアの枕元へと歩み寄るラディウス。

 そして、セシリアの方を見てガジェットを構えると、「ソーサリーイジェクト!」と言い放った。

 

 直後、リバースプロトコルの魔法そっくりな、2つの帯状の光が螺旋を描くようにしてメダリオンから放たれ、セシリアの身体の中へと吸い込まれるようにして伸びていく。

 ただし、その帯状の光の色は、白と青だ。

 

 リバースプロトコルを使った時とは違い、ソーサリーイジェクトの魔法を受けているセシリアの方に、特に変化は見られない。静かに眠ったままだ。


 だが、魔法の効果はしっかりと出ていた。

 なぜなら、白と青の光の帯を道しるべとするかのように、セシリアの身体から試験管の両端を円錐状にしたかのような形状の黒水晶製のガジェットが浮かび上がってきたからだ。

 

 そして、そのままそのガジェットは、ゆっくりとラディウスの手元へと近づいてくる。

 手が届く距離まで来た所でラディウスはそれに手を伸ばした。

 

 ――触った感触も水晶そのものだな。

 特にこれといって特殊な事はせずに、この形状に加工した黒水晶自体に術式を組み込んだ感じか……

 自然物に術式を組み込むのは難しいんだが……さすがは古代の技術と言った所か。

 

 そんな事を思いながら、手に取った水晶を見つめるラディウス。

 刹那、一瞬水晶がキラッと光ったような気がした。

 

 更にその直後、どういうわけか頭の中に『リリティナ』という名前が浮かんできた。

 

 ――やはり、リリティナだったか……。

 もっとも、どうしてその名前がマリス・ディテクターを使っている時のように、頭に浮かんでくるのかというのは、さっぱり分からないが……ま、そこも含めて妖姫に聞いてみるとするか。

 

 そう心の中で呟き、ラディウスは寝ているセシリアを見回し、状態を確認。

 特に問題なさそうだと判断した所で、妖姫が囚われている監獄を思い浮かべた――

タイトル名、最初はリリティナって書こうと思ったのですが、ネタバレ感があったので変えました。

……まあ、あまり変わっていない気もしなくはないですが……(汗)


次回は明後日です!

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