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第6話 転生者は倒す。大凶鳥を。

「射程圏内まであと3秒……2……1……」

 ラディウスが猛然と迫るカラミティエイビスに対し、静かにカウントを始める。


「ゼロッ! 行けっ! アストラルアンカー・改!」

 ドライブワード――呪文を口にする必要はないのだが、あえて言い放つラディウス。

 

 直後、ラディウスのガントレットから十を超える青く光る鎖――否、青く光る錨のついた鎖が一斉に解き放たれ、カラミティエイビスへと殺到する。

 

「ギギギイィィッ!?」

 放たれた全ての錨が、瞬く間にカラミティエイビスの身体に突き刺さり、そして食い込む。

 

「飛べるのが有利だと思うなよっ!」

 なんて事を叫びつつ、ラディウスは突き出したままの右腕を下へと勢いよく振るう。

 と、次の瞬間、カラミティエイビスが鎖に引っ張られるようにして、勢いよく地面へと叩きつけられ、ズドン! という轟音を響かせた。

 

「なっ、なっ、なっ、なんなのだわぁぁぁっ!? 今のは、一体全体なんなのだわぁぁぁっ!?」

「ま、まさか、あの巨体をこうもあっさりと引き摺り落とすとは……」

 カラミティエイビスの巨体が巻き起こした砂煙が舞う中、その非常識な光景に、驚きの声を発したまま目が釘付けとなるクレリテとマクベイン。

 

「こうして地上に降ろして拘束してしまえば、いかにカラミティエイビスとて大した脅威ではないだろ? あとは攻撃魔法を連発して仕留めるだけだ。ってなわけで、攻撃を手伝ってくれ」

 つとめて冷静にラディウスが告げると、クレリテとマクベインは、ハッとなって我に返った。

 

「りょ、了解なのだわ! 私も攻撃するのだわっ! ――ファントムブランドォォ!」

「こちらからも仕掛けます……っ! ――サーペンタインフロストッ!」

 

 クレリテとマクベインがそれぞれ攻撃魔法を放つ。

 クレリテの魔法は、魔力で生み出された剣を大量に放射するという物で、マクベインの魔法は、地を這うようにして進みながら、その進路上の全てを凍りつかせていくという物だ。

 ふたりの放つ魔法は、この時代の物にしてはかなり強い方である。

 

 それを見ながらラディウスは、これで自らが高火力魔法を使う必要はなさそうだと考え、威力が低い代わりに連射の効く『ソーサリーアロー・改』の魔法を使い、カラミティエイビスを撃つ。

 改の名の通り、それはラディウスによって改良された魔法で、並のソーサリーアローの比ではない連射力で、まさに魔法の矢の雨を降らせるような代物だったりするのだが。

 

 そして、そんな物を浴びせられては、さすがに大凶鳥などと呼ばれるカラミティエイビスとて無事でいられるはずもなく……

 

「まさに、一方的な勝利だったのだわ……」

 完全に沈黙したカラミティエイビスを見ながらそんな風に呟くクレリテ。

 

 マクベインは、そのクレリテに対し、

「我々の魔法が全弾命中ですからね……。さすがにあのカラミティエイビスと言えど、耐えきれるものではないでしょう」

 と、そう言いながらカラミティエイビスとラディウスを交互に見る。

 

 ――ラディウス殿が追撃で使ったソーサリーアローですが、普通のソーサリーアローと比べて飛んでいく矢の数が、文字通り桁違いでしたね……

 元々、連射力に優れた魔法ではありますが、あそこまで間断なく連射するのは不可能なはずです。

 ……もしや、先程言っていた改良によるもの……でしょうか? ですが、あそこまでの改良が出来るという話は――

 ……いえ、これ考えるのはやめておきましょう。

 

 ラディウスに対する疑問が湧き上がるマクベインだったが、思考の途中で頭を振り、考えるのも詮索するのもやめる事にした。

 それは、隠し事があるのは自分たちもだという事に思い至ったからだった――

行動不能にしている間に飽和攻撃で押し切る……というのは、強敵相手にはとても有効な戦術ですからね……(何)

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