第14話 湖底探索。湖底遺跡へ。
「――よし、とりあえずこれだけあれば大丈夫だろう。人数的には大丈夫そうか?」
ウンゲウェダ・ドラウグの出現範囲をある程度狭めるガジェットを完成させたラディウスが、ちょうどやってきていたアルフォンスに問いかける。
「ああ、このくらいなら問題ない」
アルフォンスはそう返事をした後すぐに、
「確保したぞ」
と告げた。
「相変わらず妙な感覚ですわねぇ……」
なんて事を言いながら、ガジェットの最終チェックを行うイザベラ。
それに「同意なのです」と、同じく最終チェックをしているメルメメルアが続く。
「じゃ、纏めて運んじゃおうか」
「そうっすね。ささっとストレージに突っ込むっす」
アメリアとルティカがそんな風に言いながら、最終チェックの終わったガジェットから順に、自身のストレージガジェットへ放り込んでいく。
そしてアルフォンスもそれに続く。
「あとは出現前に設置出来るか……よね」
ルーナがもっともな疑問を口にした直後、
「とりあえず、配置は間に合ったっすよ!」
などと言ってくるルティカ。
「……結果が秒速で判明するというのも変な感じですわ……」
「まあ……うん、たしかにそうねぇ」
イザベラとルーナがそんな事を呟くように言い、
「ま、とりあえず間に合ったならいいだろう。こっちも向こう側へ移動して、奴が出てくるのを待つとしよう」
と、ラディウスが続く。
「そうするです。たしか……ウンゲウェダ・ドラウグが姿を現したら、即座に湖に入る感じで良かったです?」
「ああ、正確には帝国軍の監視がいないか確認してからだけどな。湖に飛び込んだ後はそのまま湖底遺跡へ向かう流れだ」
メルメメルアの確認に対し、ラディウスが頷きながらそう返事をする。
それに対してセシリアは「了解! じゃあ早速!」と返す。
次の瞬間、視界が切り替わり、エストナの『蒼き篭手亭』へと戻ってくるラディウスたち。
そして、
「うぅーん……いまいちこの感覚には慣れませんね……」
「ですわね……。いまだに頭がクラッときますわ……」
なんて事を呟くミリアとイザベラ。
「あとは待つだけ……なのですが、どのくらいで出現するですかね? ウンゲウェダ・ドラウグは」
「そればかりはなんとも言えないな……。向こう側も出現間隔に法則性とか皆無で、バラバラだったし」
メルメメルアのもっともな疑問に対し、ラディウスはそう答えて肩をすくめてみせる。
……しかし、それから丸一日経ってもウンゲウェダ・ドラウグは姿を現さなかった。
そして夕刻――
「なかなか出てきてくれませんね」
リリティナがそう言いながら湖を眺める。
それに対し、
「まったくもって気まぐれすぎる存在だねぇ……」
と言って、やれやれと首を横に振るセシリア。
「もしかしたら、数日待つかもしれないわね。これ」
「そうですわねぇ……。――いつ出てくるかわからない以上、あまり動き回れないのが厄介ですわ……」
ルーナに対してイザベラが同意しながら湖の方へと視線を向けた所で、
「イザベラ様。これ以上待つ必要はなさそうですよ」
というヨナの声。
「遂に出てきたんですの?」
振り向きながらそう問いかけるイザベラに、ヨナが頷く。
「はい。先程連絡がありました。基地の間近に出現したそうです」
「帝国軍は混乱状態に陥りつつも、迎撃に向けて動き出したようなのです」
ヨナの隣りにいたメルメメルアがそう補足するように言い、
「あ、たしかに帝国軍が動き出したね」
と、湖上の船の動きを見ながら返すセシリア。
「アレの姿が見えなくなったら湖に入るぞ」
「わかりました! こちらは準備万端です!」
ラディウスの言葉に対しミリアがそう返事をし、他の皆も頷いてみせる。
そして……帝国軍の姿が完全になくなった所で速やかに湖へと入るラディウスたち。
そのまま一直線に湖底遺跡へと向かう。
「そう言えば……ウンゲウェダ・ドラウグ以外には防衛機能とかないのでしょうか?」
という、リリティナのもっともな疑問に対し、ラディウスは顎に手を当て、
「ウンゲウェダ・ドラウグ自体が暴走みたいなものだし、セヴェンカームの王子の末裔とやらが一度湖底遺跡に入っている事を考えると、問題はないと思うが……一応警戒はしておいた方がいいな」
そう考えながら答えた。
――デュオロードの言い回しからして、帝国軍とウンゲウェダ・ドラウグさえいなければ、入るのは容易い……みたいな感じだったし、多分大丈夫なはずだが……
と思いながら。
予定より2時間近く遅くなりました……
そして、展開にあまり進展がないという……
湖底遺跡までいきたかったのですが……かなりの長さになってしまって本日中に更新出来なくなりそうだったので、今回はここで区切りました。
とまあ、そんなところでまた次回!
次の更新は、先日活動報告に記載いたしましたが、8月6日(水)の予定です!




