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第12話 湖底探索。破壊の力。

「でしたら、わたくしが展開しますわね。ほぼ同じ物を作ってありますわ」

 そう言って障壁魔法のガジェットをストレージから取り出して発動するイザベラ。

 

 ラディウスの展開した障壁に代わり、イザベラの障壁が展開される。

 しかし、眼の付いた球体の攻撃は継続され、そちらも徐々に削られていく。

「くぅっ、これは結構『重い』攻撃ですわね……っ! それなりに保ちはしますけれど、そんなに長時間は無理ですわよ!」

 

「大丈夫だ、速攻で終わらせる!」

 ラディウスはそうイザベラに返しつつ、素早くアタッチメントリビルドを実行し、銃口を拡大。

 そして、「メル! 準備はいいか!?」と声を大にして問う。

 

「いつでも大丈夫なのです! バッチリ合わせるのです!」

 メルメメルアはそんな風に返事をすると同時に、クロスボウの先端を魔法陣を発生させている幾何学模様へと向けた。

 

「よし、それならカウントを開始するぞ! 5――」

 ラディウスのカウントが開始されると同時にクロスボウの弦、その左右両端がバチバチと放電し始める。

 

「――4……3……2……1……」

 ラディウスのカウントが進んでいき、「ゼロ!」の声と共に、放電している部分から、雷撃が一直線に幾何学模様へ向かって放射された。

 

「雷撃と雷撃の間が、うっすらとスパークしていますわね……? あれは一体……?」

 イザベラが障壁を維持しながらそんな疑問を呟く。

 

 そのイザベラの呟きと同時にラディウスもまたトリガーを引く。

 拡張された銃口から丸鋸状の魔力塊が連続で発射される。

 

 そして、雷撃と雷撃の間に入り込み……超加速。

 

「き、消えた!?」

 消えたかのような加速にミリアが驚きの声を上げる。

 

 と、次の瞬間、超加速した丸鋸状の魔力塊が幾何学模様に激突。断続的に激しい爆発音が水中であるのにも関わらず響き渡り、眼の付いた球体に大きな穴が開いた。

 そして、少しだけ中が覗く。

 同時に「GYGGEEGGAAZIZ!!」という激しいノイズ音と共に魔法陣は消し飛び、リング状の魔力塊もまた消え去った。

 

「水中なので魔力の膜を覆って周囲に放電してしまわないようにしたですが、それでも思ったより効いたのです。」

「ああ。その上バリアフィールドもあるのに、ここまでのダメージを与えられるとはな。想定外としか言いようがない」

 そんな風に呟いたラディウスに続き、ミリアが再び驚きの声を上げる。

「え? い、今、一体なにがどうなったんですか!?」


 そしてそこにさらに、

「……『想定外』で済むようなレベルの破壊力じゃありませんわよ? 今のは」

「まったくだぜ。なんなんだ、あのデタラメな破壊力は……」

 というイザベラとアルフォンスの、呆れの混じった突っ込みが続く。

 

 あまりにも強烈な攻撃を受けた損傷により、眼の付いた球体の攻撃は完全に停止していた。

 

「あの少しだけ見えている内部構造、理解不能だわ……」

「こっちも冷静に分析し始めてるし……。まあ、さすがと言えばさすがだけど」

 少しだけ見える内部構造を分析し始めたルーナを見ながら、アメリアがやれやれと言わんばかりの表情でそんな事を呟く。

 

「って、ボーっとしてないで攻撃、攻撃! 動いていない今がチャンスだよ!」

 セシリアがそう皆に突っ込みを入れると、

「っとと、そうでしたわね! セシリアに突っ込まれるとは思いませんでしたけれど!」

 なんて事を言いながら、クロスボウを構え直し、マジックボルトを穴の開いた所に向かって放ち始めるセシリア。

 そして、それに続くようにして、アルフォンスとアメリアも攻撃を仕掛け始める。

 

 攻撃は穴の中に飛んでいき、なにかの障壁に激突。

 バチバチと音を立てて攻撃を防ぎつつも、少しずつだがヒビが入っていく。

 

 そこにさらにセシリアが、

「ちょっと? それどういう意味かなぁ?」

 少し憤慨しながらビームをぶっ放す。

 イザベラはそれに答えず、

「……っ!? 再生しようとしていますわね!?」

 と、声を大にして告げた。

 

「自動修復機能……! それもかなり高レベルのもののようです!」

 ミリアがそんな風に言うと同時に、

「なら、塞がせはしませんわよっ!」

 とイザベラが言い放ち、クロスボウ――マジックボルトの代わりに赤黒い鎖を放った。

 

 赤黒い鎖は一直線に塞がり始めている穴に到達すると、そこでのたうつように動き始め、修復を阻害する。

 さらにそこから、

「今のうちに攻撃を叩き込んでくださいませ! こちらの攻撃はすり抜けるように調整してありますわ!」

 と、声を大にして皆に告げるイザベラ。

 

「よくわからないけど、さすがだね!」

「まったくだわ」

 そう反応しつつ、遠隔攻撃を叩き込めるだけ叩き込むアメリアとルーナ。

 そして、他の皆もそれに続く。

 

「着実に障壁を削っているようだが、さすがに硬いな……っ!」

 ラディウスが銃を撃ちながらそう口にした直後、

「ZIZGAZGAGGOGGOP……!」

 そんな音と共に、再び魚雷が大量に発射される。

 しかし、その動きは精密さに欠けており、周囲に適当にばら撒かれているような、そんな感じだった。

 

「さっきと違って適当に撃ってるだけ……です?」

 飛んできた魚雷を破壊しながらそんな事を呟くように言ったメルメメルアに対し、アルフォンスは自身も飛んできた魚雷を破壊しつつ返す。

「そうみてぇだな。多分、演算がイカレてんだろう」

 

「バリアフィールドも弱体化しているみたいだな。――セシリア!」

「了解!」

 名前を呼ばれただけで、何をするべきなのか理解したセシリアが大きく跳躍。

 魚雷の発射口――伸縮する筒のようなものがズラリと並んでいる発射装置――へと辿り着くと、そこに視線を向け、

「なるほどね。これはバリアフィールドがあったら壊せないね。でも――」

 なんて事を言ってクルッと聖剣を回転させ、切っ先を下にするセシリア。

 そして両手で柄を握りしめ、勢いよく突き刺した。

 

 破砕音が響き渡ると同時に、

「まだまだっ!」

 などという声を発し、さらに聖剣を振い続けるセシリア。

 

 立て続けに破砕音が響き、それに伴って魚雷の発射数が目に見えて減っていく。

 

「――これで終わりっ!」

 そう言い放った直後の破砕音と共に、完全に魚雷が沈黙する。

 

「ついでに、これもっ!」

 セシリアは続けざまにそんな事を口にすると、再び跳躍。

 そこから急降下しながら、眼の付いた球体の表面をガリガリと斬り裂いていく。

 そのまま、『眼』の部分を真上から一閃。

 

「PGGYGAZZAAZZIIZ……!」

 そんな音が響いたかと思うと、イザベラの赤黒い鎖によって僅かに広げられた穴の奥に、橙色の光が生じた。

 

「なんだありゃ?」

「っ! おそらくコアです! コアを覆い隠していた魔法が維持出来なくなった事で露出したんだと思います! 以前、同じような物を見た事があります!」

 アルフォンスのもっともな疑問に、ミリアがそんな風に返す。

 

 と、その直後、皆の遠隔攻撃が集中していた障壁のヒビの入り方が激しくなった。

「こっちも維持出来なくなってきたようなのです!」

「なら、一気に押し通す! ルーナ、コアの解析を頼む!」

 メルメメルアとラディウスはそんな事を言いながら猛攻。

 ルーナは「わかったわ! 途中まで解析してあるから、その先からいけるはず……っ!」と返し、解析し始める。


 他の皆はそれに続くようにして攻撃をさらに集中させ……

 遂に、パキィンッ! という音と共に障壁が砕け散った。

 

「あとは、入り込んで直接叩き潰すまでですわね!」

 なんて事を言い放ち、イザベラは赤黒い鎖をさらに伸ばして障壁の先――球体の内部へと侵入させる。

「とはいえ、光だけではコアの正確な位置がわかりませんわね……。見えませんし……」

 

「解析出来たわ! イザベラ、そこから80セクフォーネ(80センチ)奥、かつ2フォーネ(2メートル)下よ!」

 イザベラは、ルーナのその声に「了解ですわ!」と返しながら、鎖を動かし――

「そこ!」

 という再びのルーナの声と共に、『その場所』に対して鎖を連続して叩きつける。

 

「ZJZJIWGATBWUN……」

 その音と共に『眼』が閉じ、球体はゆっくりと沈みながら瓦解していった。

久しぶりの更新なので、少し……いえ、大分長くなりましたが、一気に戦闘終了まで進めてしまいました(戦闘シーンを圧縮した事でちょっと雑魚っぽくなったのですが、ここはテンポを重視しました)


それはそれとして、概ね落ち着いた事もあり、今回からは平時の更新間隔に戻ります!

ただ、今月も大きな対応が必要となる場合も無くはない状態な為、突発的に1回だけ更新を休むとかはあり得るかもしれません……

もっとも、1ヶ月丸々更新なしみたいな事にはなりませんが……!


とまあそんな所でまた次回!

次の更新は、7月10日(木)の想定です!

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