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第11話 湖底探索。現れしもの。

「――って、う、動いてますっ!?」

 ミリアの驚きの声に続くようにして、

「引き寄せそのものを行ってるっつー『何か』が現れやがる……のか?」

 と、アルフォンスが震えるように動き続ける『丘』を見る。

 

「そうだと良いんだが……」

 そんな歯切れの悪い発言をするラディウスと、

「なーんか嫌な予感がするんだよねぇ」

「同感ですわねぇ」

 なんて事を口にするセシリアとイザベラ。

 

 そうこうしている内に、『丘』は湖底の砂や石などの堆積物を撒き散らしながら浮かび上がり始めた。

 そして、『丘』のあった場所に大きなクレーター……というより、半球状の穴が開く。

 

「き、金属の……球体?」

「表面の幾何学模様が、ちょっと不気味な感じですね……」

 そう呟くように口にしたアメリアとミリアに続き、

「丘に見えていたのは、球体の上部だったようね」

 と、そんな風に言うルーナ。

 

 アメリアの言う通り、たしかにラディウスたちの目の前に姿を現したそれは、金属の球体としか呼びようのないものだった。

 それがクルリと半回転し――

「うわぁ、なんか『眼』がある……」

 そうセシリアがゲンナリするような表情で呟いた通り、球体の中央には大きな『眼』があった。

 

「GGYPICRLRLP」

 電子音のようなものが響き渡り、球体の幾何学模様が動く。

 そしてその直後、魔法陣がいくつも生み出された。

 

「どう考えてもまずい奴っ!」

「防御障壁っ!」

 アメリアとラディウスが同時にそう叫ぶ。

 

 ラディウスの防御障壁が展開された直後、魔法陣から一斉に、赤黒い魔法の矢が放たれた。

 魔法の矢は次々に防御障壁に突き刺さっていくが、突破する事は出来ず、砕け散るようにして消滅していく。

 

「……物は物でも『迎撃する能力を持つ物』だったようだな」

「そうみたいですわね」

 ラディウスの発言に続くようにして、そう言って肩をすくめつつも反撃態勢を取るイザベラ。

 

「メル、さっきアレに覆い隠す目的があるって言ったよね? 今でも同じ?」

「はいです。変わっていないのです」

 セシリアの問いかけに対し、メルメメルアは眼の付いた球体を見ながらそう答える。

 

「って事は……あいつを破壊してしまえばいいのかな?」

「何があるか分からないから、出来れば『沈黙』で留めたい所だけど……まあ、どうにもならなければ、破壊するしかないわね」

 セシリアの言葉にそう返事をした所でラディウスが頷く。

「そうだな。だがまあ……まずは沈黙させられるか試みてみるとしよう」

 

「なら、まずはこれですわね。――スパークスフィア・改!」

 イザベラがそう言い放った瞬間、バチバチとスパークする黒紫の球体が連なるようにして出現。

「えっ!? 水中で電撃球!?」

 と、ミリアが驚きの声を上げるも、黒紫の球体は連なったまま弧を描くようにして眼の付いた球体へと飛んでいく。

 

「一瞬、感電するかと思いました……」

 ミリアがそう口にすると、それに対して、

「大丈夫ですわよ。そんな事にならないよう、しっかりと術式側で『改造』してありますもの。ちゃんと『改』と言い放ちましたでしょう?」

 なんて返すイザベラ。

 

「い、言われてみるとたしかに……」

 ミリアが呟くように言った直後、黒紫の球体が立て続けに眼の付いた球体へと激突、強いスパークを発生させる。

 

「それと――」

 イザベラがそう口にした所で、

「GYGPGYGYGGYP!?」

 電子音のようなものが鳴り響くと共に、黒紫の球体が激突した所が焦げ、幾何学模様の一部がバチバチと音を立てる。

 

「――あっちには表面にバリアフィールドが展開されているのは解析済ですわ。あのようにバチバチいっても、大丈夫ですわよ」

「なるほど……。って、バリアフィールドがあるのに無視していません!?」

「いいえ、無視はしていませんわよ。実際、想定よりも効いていませんもの」

「あ、そ、そうなんですね。十分効果がある気がしますが……」


 イザベラとミリアがそんな事を話していると、

「GGPPGYGGA!」

 再び音が発せられ、球体の上部がパカッと開いた。

 そしてそこから円筒状のもの幾つも飛び出してくる。

 

「なに? あの筒」

 良く分からずにセシリアが首を傾げた直後、

「――魚雷かっ!」

「魚雷なのですっ!」

 ラディウスとメルメメルアが同時にそう言い放つ。

 

 ――あの数の『質量』をぶつけられたら障壁でも厳しいな……っ! そもそも、魔法を壊すような術式が見えるし……っ!

 ――『対防御魔法』という『用途』はマズいのです……っ!

 

 ラディウスは解析で、メルメメルアは眼で、それぞれ障壁の類で防ぎきるのは難しいと判断。数を減らすべく、拡散して多方向から迫ってくる魚雷に向かって、魔弾とマジックボルトを放ち始める。

 

「壊さないとマズいわよねっ! あれっ!」

「術式的にどう見てもそうですわねっ!」

 ルーナとイザベラも、それぞれ銃とクロスボウをストレージから素早く取り出すと、飛来する魚雷めがけて射撃し始めた。

 そして、セシリア、アルフォンス、アメリア、ミリアがそれに続く。

 セシリアはビーム、それ以外の3人は即時発動の魔法だ。

 

 そうして魚雷を迎撃していると、魔法陣が球体の前面に出現する。

「って、同時に魔法攻撃かっ!」

 ラディウスはそう叫びながら再度障壁を展開。

 

 直後、音波かなにかを思わせるリング状の魔力塊が連なって放たれ、障壁へと激突。障壁が少しずつ削られ始める。

 しかも魔法は止まらない。次々に魔法陣から放たれ続ける。

「くっ! 継続的に放たれるタイプか……! 防ぐだけじゃ厳しいな……。魔法陣を発生させている幾何学模様を破壊するしかないか……。メル、聖木の館でのサーキュラーボム・レールガンもどきを覚えているか? あれで魔法陣を破壊しようと思うんだが」

「あ、はいです! バッチリ覚えているのです! 何度でも出来るですよ! アタッチメントリビルドも自前で問題なくいけるです!」

 ラディウスに対してそんな風に返しつつ、即座にアタッチメントリビルドを実行するメルメメルア。

 

「さすがだな。なら頼む」

 ラディウスはメルメメルアにそう返すと、そのままイザベラとルーナを見て、

「――イザベラかルーナ、障壁展開を交代してくれ!」

 と、言った。

実に1ヶ月ぶりの更新となりました……

間が空きまくって申し訳ありません……


というわけで、とりあえずの次の更新予定ですが、7月6日(日)の想定となります。

もしかしたら、それよりも前に更新出来る可能性もなくはないですが……ゼロに近いです。

ですが、ようやく状況が落ち着く兆しが見えてきたので、次の次からは、ほぼ平時通りの更新間隔に戻れると思います!

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