第10話 湖底探索。隠れしもの。
2週間ぶりの更新です……
「せりゃぁっ!」
そんな掛け声と共にセシリアの聖剣が勢いよく縦に振るわれ、レゾナンス・スタビライザーがバキッと真っ二つになった。
術式の核はこの一撃で崩壊しているが、セシリアはさらにそのまま横に振るい、柄の部分を切断する。
地上だったら落下して地面に転がる所だろうが、ここは水中。切断してもその場に漂っていた。
「念の為、こいつは回収しておいた方がいいだろうな」
アルフォンスはそう言って、壊れたレゾナンス・スタビライザーをストレージへと放り込む。
「これって1つ破壊すれば大丈夫な感じなの?」
もっともな疑問を口にするアリシアに、
「いや、解析した感じ、1つ壊れたくらいじゃ大丈夫な構造になっていた。他のも破壊しないと駄目だろう。と言っても、FFGPA――力場を発生させている処理の実行範囲からすると、そこまでレゾナンス・スタビライザー同士を離して設置する事は出来ない。さほど遠くはない位置に他のも存在しているはずだ」
と、そんな風に答えるラディウス。
「つまり、この辺りをくまなく調べて回ればいいってわけだね」
「ま、そういう事だな」
アリシアに対してラディウスが頷きながらそう返事をすると、セシリアが提案を口にする。
「じゃあ、手分けして探しちゃう? 大して強い魔物がいるわけでもないし」
「そうですわね。ミリア以外はひとりでも余裕で倒せる魔物ばかりですわね」
そんなイザベラの言葉に、
「まあ、ミリアは私と一緒に行動すればいいわよ」
「はい! 先生についていきます!」
と、続くルーナとミリア。
というわけで、ラディウスたちは散開してレゾナンス・スタビライザーを捜索する。
そして、3時間後……
「なんだかんだで全て破壊した感じがするのです」
と、メルメメルアが言う通り、周辺にあったレゾナンス・スタビライザーは、ラディウスたちの手で全て破壊された。
「これでウンゲウェダ・ドラウグはこっちに出現しなくなった感じ?」
セシリアがそう口にすると、
「まあ、たしかにレゾナンス・スタビライザーを全て破壊するだけでも、ウンゲウェダ・ドラウグがこちら側へ来るのを防ぐ事は出来るだろう。だが……」
と、ラディウス。
「だが?」
「こいつはこちら側へウンゲウェダ・ドラウグを引き寄せるための力場――要するにゲートとなるものを生成するための代物だ。『引き寄せ』そのものを行っている『何か』は別に存在している。それを破壊しない限り確実性に欠けるな」
首を傾げるセシリアに対し、ラディウスはそんな風に言った。
それに続くようにして、ルーナが腕を組みながら、
「そうね。それを潰さないと、なんらかの代替手段を用いて無理矢理ウンゲウェダ・ドラウグを送り込んでくる……というのは十分あり得る話よ。これが自然に発生したシステムイレギュラーな現象ではなくて、人の手によって行われているのであれば、なおさね」
なんていう言葉を紡ぐ。
「でも、それっぽいものは今の所見つかっていませんよね?」
「はいです。レゾナンス・スタビライザーだけではなく、他に怪しいものがないかも見て回ったですが、どこにもなかったのです」
ミリアの言葉に同意するようにそう口にするメルメメルア。
するとそこで、防水加工された地図を見ていたイザベラが、
「……この辺りにあるんじゃありません?」
と言いながら、皆に地図を見せる。
その地図には、レゾナンス・スタビライザーのあった位置が点で記されていた。
イザベラはその全ての点から同じ距離となる『中心部分』に丸を描く。
それを見て、
「なるほど、たしかにそこは怪しいな」
「ええ、行ってみる価値はあるわね」
ラディウスとルーナがイザベラに肯定する。
早速その場所へと移動すると、そこは何も無いが丘のようになっている場所だった。
と、そこでメルメメルアが、
「……!? そこの丘、私の眼で『覆い隠す目的』と出たのです!」
なんて事を声を大にして言ってくる。
「メルメメルアの眼?」
「たしか……『物の用途』が視える魔眼……だったわよね?」
首を傾げるアルフォンスに続いて、ルーナがそう問いかける。
「はいです。そして視えたという事は、あれは――あの丘に見えるあれは、『物』なのです」
ルーナに対してメルメメルアが頷きながらそう言うと、
「なるほどな。要するに『何か』が自然の地形に擬態しているっつーわけか」
と、納得の表情で丘もどきを見据えるアルフォンス。
「とりあえず、撃ってみようか」
そう言いながら聖剣を構え、丘もどきへ向かって剣先を突き出すセシリア。
そしてそのまま極太のビームを発射する。
「えっ? 水中で撃てるビーム? えっ? えっ?」
と、驚きと困惑の入り混じった声を発するミリアに、
「まあ、あれは魔力を収束して放っているだけだから、水中でも問題ないのよ」
と、そんな風に説明するルーナ。
「す、凄いですね……。まさかそん――」
ミリアがそこまで口にした所で、地面が震動し始める。
そして、ビームをまともに受ける形となった『丘』が動いた――
現在、あまりにもやる事が多すぎて土日も余裕がない状態です。
結果、まったく書く時間が取れず、予定から実に12日遅れとなりました……
あともう1ヶ月ほど、時間がほとんど取れない状態が続きます……
次の更新は、いったん5月22日(木)としておきます。
なんとか更新出来れば……と、思っています。




