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第7話 湖底探索。ガジェットと技術。

「ほう、こいつが水中に潜れるガジェットか」

 ラディウスからベルト型のガジェットを受け取ったアルヴィンスがそんな事を言いながら、ガジェットをじっくりと観察する。

 それに対し、

「いや、正確には水底を歩けるガジェットな。まあ、水中を浮遊するように移動する事も出来るが」

 と返すラディウス。

 そしてそのまま、

「で、まずは船でウンゲウェダ・ドラウグが出没する聖都から一番近い水域まで移動し、そこから湖底へと降下する。あの出現範囲の広さからして、こちらへ奴を出現させている『何か』は安定性が悪いか、複数存在すると考えられる。だから、とりあえず一番近い水域を探索して、『何か』があるかどうかを調べるって感じだな」

 と、そんな風に説明した。

 

「なるほどな。それでもし『何か』が見つかれば、他にも同じ物が別の場所にもある可能性が高いし、何も見つからなければ、単に安定性が悪いだけの可能性が高いっつーわけか」

「そういう事だ。ま、最初に探索する場所になくて、他の場所に複数あるってのも十分考えられる話だから、何もなくてもまだ『安定性が悪い』という確定は出来ないけどな」

 納得顔で口にするアルヴィンスに対し、ラディウスは頷きながらそう返す。

 

「ま、なんにせよまずは船だな」

 アルヴィンスはそう言うと一瞬間をおいてから、

「――準備させてっから、少ししたら港へ向かうとしようぜ」

 と、言葉を続けた。

 

「相変わらずリンクで『移動』するのを外から見るのは慣れませんわね。っと、それよりも少し時間があるのなら、他にも頼みますわね!」

 なんて事を言って注文し始めるイザベラ。

 それを見て、

「なんかこの光景見たことがあるような気がすんぞ……」

 とアルヴィンスは呟いた。

 

 ……

 …………

 ………………

 

「――ウンゲウェダ・ドラウグの出現範囲に入ったのです!」

 メルメメルアが地図を広げながらそんな風に告げる。

 それに続くようにして、

「周囲にそれらしいものの存在も、出現の兆候も、今の所なさそうです!」

 と、測定機のようなガジェットを覗きながらミリアが告げる。

 

「よし、今の内に降下してしまおう。ブリッジに、俺たちが湖に飛び込んだら一度出現範囲外に出て、そこで待機して貰うよう伝えてくれ」

「おう、わかった。そう伝えるぜ」

 ラディウスの言葉にアルヴィンスがそう答え、伝声管の蓋を開けて、「――ブリッジ、聞こえっか?」と言った。

 そしてそのままラディウスの言葉を伝える。

 

「それじゃ、早速湖底に行くとしようか。先に飛び降りて安全を確認してくるね」

 セシリアはそう言うなり、大きく跳躍。船の欄干を飛び越えてそのまま湖へとダイブする。

 それに続いて、

「ちょぉぉっ!? 安全を確認するのは私の役目だからっ!」

 なんて言いながら欄干を乗り越え、セシリアを追いかけるアメリア。

 

「くっ! 出遅れたか!」

 アルヴィンスがそんな事を言って伝声管の蓋を閉めるなり、ふたりを追って湖へと飛び込む。

 それに対し、

「出遅れたってなんだ……?」

 という突っ込みをいれるラディウス。

 

「慌ただしいですわねぇ……」

「まあ、セシリアはいつも通りな気もしなくはないけれどね」

 イザベラとルーナがそんな風に言い、

「たしかにその通りなのです」

 と同意するメルメメルア。

 

「ま、飛び込んでいってしまった以上仕方がない。俺たちも後を追うとしよう」

 ラディウスはそう告げて湖へと飛び込む。

 そして、甲板に残っている4人がそれに続く。

 

 ラディウスが湖底へと到着すると、水棲の魔物をセシリアが切断し、アメリアが大穴を開け、それぞれ撃破している所だった。

 

「あれ? アメリアの武器ってそんなんだったっけ?」

 セシリアが首を傾げながら疑問を投げかけると、

「普段は剣か短剣だね。今回は射撃も出来た方がいいと思ったから、ルーナに射撃機能の付いた短剣を作って貰ったんだよ」

 と言った。

 

「い、いつの間に……」

「昨日の夜」

「昨日の夜!?」

 アメリアの返答に驚きながら、降下してきたルーナへと顔を向けるセシリア。

 

「まあ、ラディの使う『銃』をベースに、短剣の刃をくっつけてちょっと調整しただけだし。数時間もあれば作れるわよ」

 そんな風に答えるルーナに対し、

「なんか凄い事を言っているような……」

「さすがはルーナ先生です!」

 と、セシリアとミリアがそれぞれ異なる反応を示す。

 

「武器改造に関しては、ルーナがぶっちぎりの技術を持っている気がしますわ……」

「そうだな、俺もそう思う」

 呆れ気味に言うイザベラに対し、ラディウスが頷いて同意する。

 

「むむぅ。武器改造は、前は私の方が得意だったはずなのですが……。思いっきり抜かれた気がするのです」

「私は、あなたたちにガンガン抜かれまくっていますけれどね……」

 ちょっと悔しそうなメルメメルアと、なんだか哀愁すら感じる雰囲気のイザベラ。

 そんなふたりに、

「いやまあ、ふたりにも特化している技術はあるから、そんなに後ろ向きならんでも……」

 と告げるラディウス。

 

「具体的にはどこですの?」

「んー、イザベラの場合は、既に作られている物の問題点や、改善可能な場所を見つけ出して改修する技術だな」

「まあ、たしかにそう言われるとそうかもしれませんわね」

 ラディウスの返答に納得したらしいイザベラがそう返した所で、今度はメルメメルアが問いかける。

「私はどこなのです?」

 

「メルは……」

 そう言って言葉に詰まるラディウス。

 そして、どこだ……? と必死に考えて、

「――解析だな」

 と答えた。

 

「……今、ものすっごい考え込んだのですっ! それに解析は『眼』の力を併用しているお陰なのです。技術ではないのです」

 なんて不満げに言ってくるメルメメルア。

 それに対して、

「いや、『眼』の力――異能も技術だろう? それも俺たちには使えない特別な、な」

 と返すラディウス。

 

「う、うーん……。そう言われると、たしかにそうかもしれないのです」

 まだ少し不満さはあるものの、概ね納得したといった感じの表情で、そんな風に呟くように言うメルメメルア。

 

「みなさん、私から見たら雲の上みたいなものですって。レベルが違いすぎです」

「まったくだぜ。そんな事よりさっさと周囲を探索するとしようぜ」

 ミリアの発言に続き、アルヴィンスもそんな風に言う。

 

 それを見ながらルーナは、

「なかなかやるわねぇ……」

 なんて事を呟いた。

思ったよりも長くなってしまったので、微妙な所ですが、一旦ここで区切りました。


とまあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、4月17日(木)の想定です!

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