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第3話 湖底探索。セシリアの剣。

「――そう言えば、たしかにまだ名乗っていませんでしたね。私はグラッツ=レイル・フェンドルフ。セシリアさんの持つ剣……それと同じ国の人間です」

 グラッツ――デュオロードの配下である壮年の男性がそんな風に自己紹介をする。

 それに対して、

「同じ国……?」

 と首を傾げながら問うセシリア。

 

「その剣は、ウィンザームから独立した州のひとつ、『アルジラ王国』の王族の剣でして、私はその国で王宮技師をしておりました。なので、その剣についても『デュオロード殿から先に聞いて知っていました』」

 そんな風にグラッツが説明するのを聞き、ラディウスは思考を巡らせる。

 

 ――そう言えば以前、古の王の剣がどうとかいう話になったな……

 セシリアの持つ聖剣は、神剣教会の有する聖剣の中でも特殊な部類――神器級の代物であり、アルディアス枢機卿のようなそれなりの地位の人だと、『神剣』と呼ぶ事もあるような代物だが……やはり、古の時代の王族の物だったというわけか。

 アルジラ王国というのは聞いた事がなかったが、メルメメルアが前に『独立した州の中に、王国があったような気がする』と言っていたし、まさに『ソレ』なんだろう。

 

 そしてラディウスがそこまで思考した所で、メルメメルアが、

「あ、たしかにその国の名前、聞き覚えがある……というか、思い出したのです! ガーディマに属す事なく、中立を宣言した鍛冶師ギルドの都市国家なのです!」

 なんて事をまさに口にした。

 

「その通りです。中立を宣言した後、当時のギルドマスターが王になりました。そして、その時に『象徴』として作られたのが、セシリアさんの剣です」

「へぇ……あの剣ってそういう代物だったんだ……。神剣――神器の剣だなんて御大層な異名を持つだけはあるね」

 グラッツの説明を聞いたセシリアがそんな風に呟くように言う。

 

「他にも神器級の物があった気がしますけれど、それらも同じように古の時代に王族などが使っていた代物だったりするんですの?」

 イザベラがセシリアにそう問いかけると、

「う、うーん……他の聖女については、あまり詳しくないんだよね……私。その辺りはクレリテとかマクベインさんとかの方が詳しいと思う」

 と、頬を人差し指で掻きながら答えるセシリア。

 

「――向こう側の世界の事情までは詳しく把握していないので、なんとも言えない所ではあるのですが……セシリアさんの剣をベースに12本の剣を『側近の象徴』として作ったので、それらの剣もそういう扱いになっている可能性はありますね」

「なるほどですわ。それらを神器の剣と称しているのは、たしかに考えられる話ではありますわね」

 グラッツの話に、イザベラが納得した所で、

「デュオロード卿は、セシリアさんの剣について知っていたのですか?」

 と、今度はリリティナが問いかける。

 

「はい。デュオロード殿はアルベリヒからの情報で把握しておられました」

「なるほど……。アルベリヒの情報ですか」

「まあ、あれだけ派手に振るって『剣の魔女』なんて呼ばれているのなら、当然アルベリヒも把握していて当然かもしれないわね」

 グラッツの返答に納得するリリティナに続いて、そんな風に言うルーナ。

 それに対し、

「まあ、私はそこまでの話を聞いていなかったので、普通に驚きましたけどね」

 なんて事をグラッツの隣の若い女性が言う。

 そしてそのまま、

「あっ、私はミリア=マナ・シュタルローゼといいます! それと、私もアルジラ王国の人間です! まあ……当時は単なるガジェットショップの店員でしたが……」

 と、そんな風に自己紹介をした。

 

「……つまり、ふたりともセシリアの剣と同じ国の人間……というわけですわね」

「そうですね。もっとも、あの時は諸々の準備をしなければいけなかった都合で、ミリアには詳しく説明出来ていなかったのですが……」

 イザベラの発言に対し、グラッツがそう返事をする。

 それに続くようにして、

「今更ですけど、エヴェンス炎核を加工したのは私です!」

 なんて付け加えるように言うミリア。

 

「あ、そうだったのね。結構難しい事を言ったと思うけど、完璧な加工だったわ」

「ありがとうございます! ルーナさんにそう言っていただけると嬉しいです!」

 ルーナに対して、ミリアが少し熱っぽく――というか、少し興奮気味にそう返す。

 そしてそのまま、

「……私、ルーナさんの改造を見て、その腕前、その技術に凄く惹かれてしまいまして……だから、その……で、弟子にしてください!」

 などと続けた。

 

「は? え?」

 唐突すぎて素っ頓狂な言葉を発するルーナ。

 するとグラッツが、

「……あの時からずっとこんな感じでして……」

 と、少し『諦めた』ような表情でそう告げた。

 

「そ、そうなんですか……」

 ルーナはそうグラッツに返した後、

「でも、私の技量なんて別にそこまでじゃないわよ? ラディやイザベラの方が多分上だし」

 と、ミリアに対してちょっと困惑気味に言う。

 しかしそこで、

「あの剣に関しては俺より上だと思うぞ?」

「そうですわね。私もあの改造は出来ませんわ」

 なんて事を口にするラディウスとイザベラ。

 

「ええっ……」

 更に困惑するルーナに対し、ミリアが「お願いしますっ!」と言って、さらにルーナに近づく。

 それに対してルーナは――

 

 ――こ、困ったわね。ど、どうするのがいいのかしら……。まあ……『弟子』と『師匠』という関係は、ちょっと憧れるけれど……

 

 なんて事を思っていた。

剣についての話、久しぶりすぎる気がします……

というか、実は神剣と聖剣の説明、したつもりで今まで全くしていなかったんですよね……(調整した際にまるっと省いてしまっていたようで……)

そのせいで若干良くわからない事になっているので、いずれどこかで、前のエピソードに説明を差し込んだ方が良い気もしていたりします……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

なのですが……前回少し記載しましたが、次の更新は所々諸々の都合により、少し間が空いてしまいまして、4月1日(火)を想定しています。


※追記

話数の数字が誤っていたので修正しました。

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