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第1話 湖底探索。エストナ到着。

「へぇ、ここがエストナかぁ。なかなか良い街だね。グランベイルに似ている感じがあるし」

「そうね。たしかに帝都と違って建物とかが向こう側のものに近いし、馴染みの雰囲気……というものがあるわね」

 駅から外に出た所で、セシリアとルーナがそんな風に言う。

 

「本当にあっさりと到着したのです」

 メルメメルアが駅を見てそんな風に言うと、それに続くようにして、

「ええ。専用の出口にはコードチェックらしきものはなかったですわね」

「そうだな。一応念の為にサーチはしておいたけど、一切その類のものはなかったな」

 と、イザベラとラディウス。

 

「そう言えば、さっきカチュアに向こう側へ呼ばれた時に、後でクレリテとエレンがこっちに来るって言ってたけど、どのタイミングで合流する感じになるのかな?」

「まあ、普通に考えたらウンゲウェダ・ドラウグを使った撹乱作戦の後だろうな」

 セシリアの問いかけに対し、ラディウスがそんな風に返す。


「ウンゲウェダ・ドラウグを使った混乱を発生させるのに合わせて、ゼグナム解放戦線も帝国軍の基地を制圧する……という話でしたわね」

「正確には、あくまでも一時的に制圧して、帝国軍や皇帝の目をそちらに向けさせる為の陽動……ですが、なかなか大掛かりな事になってきましたね」

 イザベラの発言にヨナが補足するようにそう言い、そこに、

「ま、それでレヴァルタから皇帝やアルベリヒが動いてくれれば、こっちはレヴァルタへ向かう事が出来るけどな」

 と、ラディウスが肩をすくめながら続く。

 

「レヴァルタも調査したい所ではありますからね」

「そうだね。大封印は向こう側の世界だから、湖底遺跡で大封印を開く為の手段を得られたら、大封印とレヴァルタ、同時に調査を進められるしね」

 

「あとひとつ、『謎のポイント』がまだ残ってるけど、そっちは調査中だったわよね?」

 リリティナに対して頷きながらそう言ってイザベラの方を見るルーナ。

 

「ガーディマ遺跡で発見したテレポーターの転送先についてですわね。向こう側の世界については、例の『システム』から聞き出せた情報をもとに、信頼出来る者だけで秘密裏に調査中ですわよ。ただ……」

「ただ?」

 首を傾げるルーナに対し、

「……ビブリオ・マギアスの本拠地が近くて、なかなか調査を進めにくい状態なんですのよね……」

 と、ため息混じりに言って肩をすくめるイザベラ。

 

「うわぁ……。もしそっちだったら嫌な予感」

 ルーナに代わって、顔をしかめながら言うセシリア。

 そしてルーナも、

「そうね……。向こう側の世界に遺跡があるのなら、本当に嫌な予感よね」

 と、言った。

 

「システムの話によると、転移先はウィンザーム領内という事でしたよね? ビブリオ・マギアス――正確にはその上層部は、ウィンザームと何か関係があるのでしょうか?」

 もっともな疑問を口にするリリティナに、

「軽く調べてはみましたが、ウィンザームと関係性がありそうな情報は得られませんでした。もし関係があるとしたら、我々にも秘匿されている……という事になります」

「……まあ、あの者たちが、もしウィンザーム人であったとしても、最早驚きもしませんけれど」

 と、それぞれそんな風に返すヨナとイザベラ。

 

「そうだね。古の時代のお偉いさんたちが、今の時代で何かしようとしているっぽいのは、なんとなくわかってきたしね」

「はいです。しかも、当時の各国の上層部が、それぞれ別々に動いているフシがあるのです。まるで他国を出し抜こうとするかのように……です」

「デュオロード卿が私たちに『協力』しているのも、その辺りの『何か』――もっと正確に言いますと、『次元侵食の根幹に関わる何か』があるのでしょうね」

 セシリア、メルメメルア、リリティナがそう言った所で、ラディウスが、

「ま、滅界獣の出現……次元侵食が再び始まり出している兆候がある以上、『何か』の思惑があるのを承知で『乗っかって』やるしかないんだがな。もっと次元侵食や、それをどうやって一時的に封じたのか、その辺りに関する情報を得なければ、どうにも出来ない」

 と、そんな風にやれやれと首を横に振りながら告げる。

 

「まあ、それで言うと『大封印』が一番気になりますわね。何しろ『大封印』などといういかにもな名前が付けられているくらいですもの」

「名前だけで考えるのもどうかとは思いますが……かつての研究施設の封印となると、何か『人々に知られてはならないもの』がありそうだとは私も思います」

 イザベラの発言に、ヨナがちょっと呆れ気味な表情をしつつそう言うと、

「その為にも、まずは湖底遺跡……ウンゲウェダ・ドラウグをこっち側に出現させるのが重要になってくるわね」

 と、ルーナ。

 

「そうだな。とりあえずあのふたりと合流したら、向こうの世界へ行って、巨大湖の底を調べるとしよう」

「えっと……たしか、湖畔にある『蒼き篭手亭』という名前の宿酒場に行けばいいんだよね?」

 ラディウスの言葉に続くようにして、セシリアがそんな風に問いかけると、

「そう言ってたわね。……ウチに似ている名前だから一発で覚えたわ」

 なんて返事をするルーナ。

 それに対してセシリアが、

「あ、うん。たしかに『古』と『蒼』しか違いがないね」

 と、返す。


「宿酒場としての『質』はどうなのか気になるわ。ウフフフフフ」

「……ルーナさん、変なスイッチ入った気がするのです」

 なんとも言い難いダークな雰囲気を放つルーナを見ながら、そんな風にメルメメルアが言うと、頬を人差し指で掻きながら、

「気がする、ではなく、間違いなく入ったと思いますわよ……。あれは」

 と告げるイザベラ。

 

「ま、まあ、とにかく行くとしよう」

「そ、そうだね」

 セシリアはラディウスに対してそう頷きながら返事をした所でふと気づく、

「……行くのはいいけど、あのふたりの名前ってなんだっけ……?」

 と。

 

 そしてそれに対し――

 

「「「「「「………………」」」」」」

 

 ――誰も答えられる者がいなかった。

ようやく第9章に入れました……!

ここまで8章に含めるか迷ったのですが、舞台が変わるので9章にしました。


まずは湖底遺跡、そして長らく放置されていた大封印の話です。

……正直、大封印については早く出しすぎたと思っています……


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、3月23日(日)の想定です!

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