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第17話 古の災厄。素材とアストラルゲノム。

 ――たしか、あとは聖剣を改造すれば……とか、そんな事を言ったはずよね。

 

 ルーナは、そんな感じで向こうの世界――ガーディマ遺跡最深部――へ飛ぶ直前の自分の発言を思い出しつつ、デュオロードから受け取った設計図のホログラムを表示。

「うーん……? これって……」

 と呟くルーナ。

 そしてそのままデュオロードの方へと顔を向けた。

 

「……どうかしたのか?」

「いえ、この設計図……少し弄ったら、出力が上がるんじゃないかしらと思ったのよ」

「ほう……。そのような事が可能だと?」

「ええ。でも、それには手持ちでは素材が足りないわね。エヴェンス炎核とクーリオ霊鋼が必要だわ」

 ルーナがデュオロードの問いかけに対して、そんな風に返答すると、

「エヴェンス炎核とクーリオ霊鋼か……」

 と呟いて顎に手を当てるデュオロード。

 そして、しばしの思考の後、

「……そのふたつであれば、あったはずだ。それらをどう加工して、いくつあればいいのだ?」

 などと言ってくる。

 

「そうね。エヴェンス炎核は半径3セクフォーネ(約3センチメートル)の半球にして7つ、クーリオ霊鋼は太さ2リンフォーネ(約2ミリメートル)のケーブルで20フォーネもあれば十分かしらね」

「ふむ……。よかろう、すぐに手配しよう」

「え? 言っといてなんだけど、いいのかしら?」

「構わぬ。これでも元は研究者であり技術者でもあった。それをどのように改良するのか興味深い。まあ……純粋な知識欲、好奇心とも言うがな」

 少し驚き気味に問うルーナに対し、そんな風に言ってフッと微笑するデュオロード。

 そしてそのまま配下の方を向き、

「――聞いての通りだ。エヴェンス炎核を半径3セクフォーネ(約3センチメートル)の半球にしたものを7つ、クーリオ霊鋼を太さ2リンフォーネ(約2ミリメートル)のケーブルにしたものを20フォーネ分、それぞれ持ってくるよう伝えてくれ」

 と告げた。

 

 配下は「はっ!」と敬礼しながら答えると、即座に通信装置でどこかへと連絡し始めた。

 

「――物が届くまでの間に、滅界獣をペキュリアーウェポンで完全に滅する方法について説明しておこう。それとも既に聞いているか?」

「そうですね……。人の名を持つ『幽星核』を『アストラルクラック』すれば良いという説明は聞きましたが、詳細までは……。ご説明いただけるのならありがたく」

 デュオロードの問いかけに、リリティナがそう返事をする。

 それに対し、デュオロードは「うむ」と頷き、説明し始める。

「そこを聞いているのなら、話は早い。ペキュリアーウェポンを用いて滅界獣に攻撃を命中させると、その時点から『アストラルゲノム』の解析が開始される。これは対象に対して大きく攻撃を命中させる方が解析率が早まる。また、近くの者とのデータリンクが自動で行われる為、複数人で攻撃を仕掛けていく事で、さらに効率が良くなる」

 

「つまり、銃撃のような面の狭い攻撃をするよりも、斬撃のような面の広い攻撃をする方が良くて、さらに可能なら複数人でそれを叩き込んでいくのが良い……と」

「そういう事だ。もっとも……斬撃でもかすった程度では銃撃に負けるがな。それと、銃撃は連射すれば面の狭さは補える。両方可能なのであれば、無理に斬撃を狙うよりも、銃撃を連射した方が良い事もあるであろうな。そもそも、威力の高い攻撃を続けて、倒してしまっては解析の意味がない」

 ラディウスの発言に、デュオロードがそんな風に返して肩をすくめてみせた。

 

 するとそこでイザベラが、

「え? 倒したら駄目なんですの?」

 と、そんな問いの言葉を投げかける。

 

「当然であろう。滅界獣は復活する際、『継承』に必要な分以外の『アストラルゲノム』は失われ、別のものと入れ替わってしまう。そうなると復活する前の解析情報は役に立たん。最初から解析しなおしになるだけだ」

 デュオロードがやれやれと言わんばかりの表情でそう答え、首を横に振る。

 

「地味に面倒ですわね……」

 と、まさに面倒くさそうな顔をしながら口にするイザベラ。

 そのイザベラに続くようにして、今度はメルメメルアが問いかける。

「そもそも、『アストラルゲノム』とはなんなのです?」

 

「滅界獣の核に含まれている、ベースとなった者たちの変異遺伝子情報だ。ペキュリアーウェポンは簡単に言えば、この変異遺伝子情報を破壊して、復活時の『継承』を不可能にする事で、復活を阻止――完全に滅する……というわけだ」

「あの『人の名前』って、やっぱりそういう事だったんだね……」

 デュオロードの返答に対し、メルメメルアに代わるようにして、そんな風に呟くセシリア。

 

「そうだな。ガーディマのシステムは『情報がない』と言って、推測すら拒否してきたが、滅界獣とは次元侵食に飲み込まれた人間の成れの果て……のようなもので間違いなかったみたいだな」

「ガーディマのシステムゆえ詳細は知らぬが、おそらく必要以上の情報を兵士に与えぬ為の措置――ブロックが働いているのだろう」

 ラディウスの言葉にデュオロードがそんな風に返す。

 

 と、そこで、

「デュオロード様、素材の加工が終わったそうです」

 と告げてくるデュオロードの配下。

 

「もうですか? 随分と早いですね」

 そんな風に言ったヨナに対し、

「素材も加工も、この水鏡の楼閣で完結出来たのでな」

 と、そんな風に答えるデュオロード。

 

「ああなるほど……。たしかにここには簡易工房がありますね」

「そういう事だ。あれを簡易と呼ぶべきかはともかく、な」

 リリティナの言葉に、デュオロードはそう返して腕を組むと、

「というわけで、その簡易工房へ移動するとしよう。諸々の腕を見せて貰わねばな」

 などと言いつつ、ルーナの方を見る。

 ルーナはそれに対して、

「大したものでもないし、好きに見るといいわ」

 と、微笑みながら答え、肩をすくめてみせた。

 

 もっとも……

 

 ――し、失敗したら洒落にならないわね……。その場で斬り殺されそうだわ……

 

 なんて事を、内心では考えていたりするのだが。

再びいつもの時間よりも更新が遅くなってしまいました……

途中で区切っていつもの時間に出すか迷いましたが、当初の想定まで進める事にしました。

途中で区切った場合、分量が半分くらいだったもので……


と、そんなこんなでまた次回!

次の更新も予定通りとなります、3月13日(木)の想定です!


いつもどおりの時間に出せるようにしたいとは思っています……

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