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第2話 暗き監獄。遥かなる時の彼方の妖姫。

間違えて古いバージョンを掲載してしまったので、新しいバージョンを微調整した上で投稿しなおしました……

「えっと……俺は貴方の言う巡回とやらではなく、外……別の所から転移の暴発でここへ飛んできてしまったんだ。なので……貴方が誰なのかも、ここがどこなのかもさっぱりわからん。あ、ちなみに俺は、ラディウス・アーゼルという名前だ。グランベイルという町から来た」

 ラディウスはどう説明すべきか考えた挙げ句、そんな風に告げた。

 ちなみに敬語を使うべきかどうか迷ったが、声の感じからすると、目上の者という感じではなさそうな印象だったので、あえて使わない事にした。

 

「そうだったのですか。グランベイル……聞いた事がありませんね。まあ、幽閉されている私の知識はそこまで多くはありませんが……」

 閉ざされた扉の向こうで、そう言って苦笑する女性。

 どうして幽閉されているのか、と問おうとしたラディウスだったが、それよりも先に女性の方が口を開いた。

「それと、ここはガルストラム宮殿という場所ですね。私は……なんと言えば良いのでしょうか……。――この身は『リリティナ・フェリエ・ガルガンザ』と言うのですが、私自身は『魂ヲ喰ラウ朱キ妖姫』と言います」


 ――ガルストラム……。聞いた事のない名前だ。

 少なくともここは、アーヴァスタス王国やその近隣諸国ではなさそうだな。

 これは、かなり離れた所にある国――下手したら別の大陸である可能性すらあるぞ……

 いや、それよりも気になるのはこの人の名前だ……

 

「その名は……。エクリプス……?」

 気になる名前を告げた女性にそう問いかけるラディウス。


「エクリプス……。ああ、たしかにそのように呼ぶ方たちもいますね。――我々はこの時代の人間によって生み出された……いえ、正確に言うのであれば、封魂術を用いて古の時代から時を超えてきた者を改造した『魔人』と呼ばれる存在です」

「封魂術……? 時を超えて……? 改造……?」

 ラディウスは妖姫の言葉に思考がついていけず、そう呟く。


「はい。我々は元々、エル・ガディアやウィンザームといった国々が栄えていた時代の人間でした。しかし、彼の時代は『災厄』によって終焉を迎え、人々もまた滅びの危機に瀕しました」

 唐突にそんな事を告げられたラディウスは、あまりの事に敬語を忘れて問う。

「つまり……エクリプスとは、古代の人間……なのか?」

 

「ええ、そういう事ですね。エクリプスというのは、あくまでも魔導学者がそう名付けただけにすぎません」

 妖姫はラディウスの問いにそう答えると、一度そこで言葉を切った。


 そして、一呼吸おいてから続きの言葉を紡ぐ。

「――ともあれ、そんな災厄による滅びの危機に対し、人々は幾つかの対抗手段を生み出しました。そのひとつが、我々の実行した封魂術です」

「すまん、その封魂術というのはなんだ?」

「ガジェットに自身を――魂を込めて未来へ飛ばす術ですね。ある一定の期間が過ぎると、肉体を再構成して復活する……という仕組みです」


「なるほど……。だが、エクリプスは他人の肉体と同化する形をとっているようだったが……」

 納得しつつも、ルティカやセシリア、そして兵士たちの事を思い出し、そんな疑問を抱くラディウス。


「それが『改造』の影響ですね。――ガジェットなしで魔法を使える人間を作るという思想を持った愚かな魔導学者たちが、封魂術を用いた人間がガジェットなしで魔法を使えると勘違いして、魂を込めたガジェットを――肉体を再構成する前のガジェットを『胚』と称し、実験に使い始めたのです」

「……そんな事をヴィンスレイドの奴も言っていたな」


「ヴィンスレイド? ああ、私のこの身体――リリティナを誘拐し、私の魂を込めたガジェットを埋め込んだ男ですね。あの者は、帝国の隠密部隊によるリリティナの救出の折に始末されたはずですが……?」


「……ん? ヴィンスレイドはアーヴァスタス王国の伯爵だが……」

「アーヴァスタス王国? それはどこの大陸の国ですか?」

「どこって……リーベスタ大陸の中央部に位置する国だが……。やはりここは、リーベスタ大陸とは別の大陸なのか?」

 妖姫の問いにそう返すラディウス。


「……いえ、ここがリーベスタ大陸の中央部ですが……。そして、アーヴァスタスという国はどこにもありません」

「……は? そんなはずは……」

 妖姫の返答に対し、意味が分からず困惑し、そう口にするのがやっとなラディウス。


「幽閉されていたゆえに知識の乏しい私ですが、それでもこのリーベスタ大陸中央部に存在するのは、このガルガンザ帝国のみである事は知っています。それは間違いありません」

 ラディウスはその言葉を聞きながら、妖姫に言われたエル・ガディア、ウィンザーム、ガルガンザといった地名を心の中で反芻し、伯爵邸の執務室を思い浮かべる。

 

 瞬時に視界が白くなり、そしてすぐに伯爵邸の執務室へと目に映る物が切り替わる。

 当然のように、目の前にはルティカがいた。

 

「――なあ、ルティカ。ちょっと聞きたいんだが……エル・ガディア、ウィンザーム、ガルガンザという地名を知っているか?」

「え、えーっと……エル・ガディアにウィンザーム、それからガルガンザ……っすか?」

 ラディウスに問われたルティカは、首をひねりながら唸りだす。

 

「……うーん、申し訳ないっすけど、どれも聞いた事がないっすねぇ………。少しだけ近い名前の……ガルディアなら知っているっすけど……」

 ひとしきり考えた所で、やはり記憶になかったルティカが、ラディウスにそう返す。


「ああ、たしかにエル・ガディアとガルディアは言葉の響きが近いな。ガルガンザも最初の2文字は一緒だ。……まあ、どっちも単に『近い』ってだけの話で、別物だが」

 と、ラディウスがルティカに対してそんな風に言った直後、

「ウィンザーム……。うろ覚えですが、ガーディマ遺跡の奥にそのような名が刻まれたプレートがあると教会が保管している資料に記されていた気がしますね……」

 と、ローブ姿の男性がそう呟くように言った。

 

「え? 本当ですか?」

 ラディウスは、そう問いかけながら、カルティナと浮き森の沼を訪れた時の事を思い出す。


 ――そう言えば、あの遺跡は空間が歪んでいるとカルティナが言っていたな……


「ガーディマという名も、遺跡で発見されたプレートに記されていた事から、そう名付けられたそうですよ」

「なるほど……そうだったのですね」

 男性の言葉にラディウスはそう返しつつ、もしかしたら妖姫がガーディマという名を知っていたりするのではないかと考え、例の通路……否、監獄を思い浮かべた――

古いバージョンで掲載するという特大のミスをかましました……

古いバージョンだと展開が違いすぎるので、そちらを読まれました方は、お忘れください……


古いバージョンは書いた後に、設定的に「たとえ歴史が変わっても、そういう状況にはならない」という問題に気づいたのでボツにしたのですが、そのボツデータが残っていて、うっかりそっちを掲載してしまいました…… orz

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