表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

613/636

第10話 古の災厄。メルティーナ・ラボラトリー。

「なぜそこで視線を逸らすんですの……」

 と、視線を逸らしたセシリアに対し、呆れ気味に言って肩をすくめるイザベラ。


「あ、いや、深い意味はないよ。うん。ただちょっと思っていたのと反応が違っただけだから。うん」

 セシリアはそんな風にイザベラに返すと、

「そ、それはそうと、ひとつ気になったんだけど、あれって偽装カードキーみたいなのは作れないの?」

 なんて事を、ラディウスやルーナの方を見ながら言った。

 

 セシリアが思いっきり話題を変えようとしているのは明らかだったが、ルーナは仕方なくそれに乗って、

「――今だからわかるけど、あれは偽装カードキーのようなものを作って突破……とはいかないわね。偽装対策が多すぎるもの」

 と、そう返事をした。

 

「ルーナがそう言うのでしたら、私が直接見ても同じ事を言う気がしますわね。おとなしく正規のPPAコード……要するにカードキーの類を手に入れた方が、圧倒的に早くて楽な気がしますわ」

「――つまり、その大封印をどうにかする為、そして、セヴェンカームの王族の生き残り……いえ、その末裔が見つけたという『何か』を調べる為、そのふたつの理由により、湖底遺跡の調査は必須である……というわけですね」

 イザベラの発言に続くようにして、リリティナがそんな風に言う。

 

「その為には、帝国の監視をなんとかしないと……なのです」

「うーん……たしかに。――デュオロードの力というか権限で、どうにか出来たりしないのかなぁ……? ほら、湖底での活動は、ヨナを迎えに行くのに使ったガジェットで問題ないわけだし」

 メルメメルアの言葉に頷きつつ、腕を組みながらそう呟くように言うセシリア。

 それに対して、

「まあたしかに水中を移動する手段に関しては既にあるが、帝国の監視を潜り抜けるのは容易ではないからな……。ヘイジーミストやアンチビルレントなんかでどうにかなるものでもないし」

 と、そんな風にラディウスが続く。

 

「……あまり聞き馴染みのない魔法がしれっと出てきたような気がしますけれど……まあ、いいですわ。ともかく、今はとりあえずデュオロードともう少し話をしてみるしかなさそうですわね」

「そうだな。そうするのが一番だろうな」

 ラディウスはイザベラに対してそう返した後、

「カチュア、すまん。もう一度あっちへ行くが……下手したらまた戻って来るかもしれない」

 と、カチュアの方を見て言った。

 

「いえいえ、気にしないでくださいです」

 カチュアはそんな風に返した後、

「それより、システムさんが黙ったままなのが不思議なのです」

 なんて事を言った。

 

 するとその直後、

「特に質問はなかったので、口を挟みませんでした」

 などという声が聞こえてくる。

 

「……なるほど、そういう事か。――それならひとつ聞きたいんだが……大封印について、何か情報はあるか?」

 ラディウスがそんな風に言うと、

「大封印……。申し訳ありませんが、その名称の情報は持っておりません」

 と、そう即座に返してくるシステム。

 

「あー……それなら、ゼム=ドゥア湖、あるいは巨大湖と呼ばれる湖にある施設、あるいはその辺りにある封印の類についての情報はあるか?」

 ラディウスが再び問いかけると、しばしの沈黙の後、

「ゼム=ドゥア湖には、メルティーナ・ラボラトリーが存在します。メルティーナ・ラボラトリーは、天空研究実験棟、地上研究実験棟、水中研究実験棟の3つの施設で構成されています。詳細については他国の為、情報がほとんど得られておりません。しかし、地上研究実験棟や水中研究実験棟で、ご質問のあった封印に関する何らかの研究や実験が行われていたようです。また、このラボラトリーは、いつの時代から存在するのかわからない遺跡を調査する名目で最初は作られたようです。その後、それ以外の研究や実験も行われるようになり、施設は大幅に拡張されていったようです」

 なんていう情報を一気に告げてくるシステム。

 

「うっわぁ……。一気に大量の情報が出てきたし……」

 やれやれと言わんばかりの表情で首を横に振るセシリア。

 それに続くようにして、

「ええっと……とりあえずまず、あそこにはメルティーナ・ラボラトリーというものがあった……と。――メルティーナ法国の名称って、ここから来たのかしらね?」

 と、そんな風に言うルーナ。

 

「多分そうなんじゃありません? 特に聖都は複数の遺跡を利用して作られていますし。それこそ、天剣宮や大聖堂、それから転移装置――ゲートのある場所などは分かりやすいくらい遺跡ですもの」

「そうですね。遺跡で名前を見つけて、それをそのまま使ったと考えられますね」

 イザベラとヨナがそう答えると、ルーナがそれに対して頷きながら返事をする。

「たしかにそうね。あれだけ遺跡があったら、名前のひとつくらい出てきてもおかしくはないものね」

 

「それはそれとして、メルティーナ・ラボラトリーには3つの研究実験棟があるという話だったな」

「そうですね。空中研究実験棟というものが先程イザベラ様が言っていた天剣宮に、水中研究実験棟というものが湖底遺跡に、それぞれ該当するのではないかと。もっとも、湖底遺跡の中に別の遺跡がありそうな気もしますが……」

 ラディウスに対して同意しつつ、推測を口にするリリティナ。

 

「たしかに、遺跡を研究する名目で作られたのなら、その可能性はあるな」

 ラディウスがリリティナにそう返した所で、

「地上研究実験棟というのは、中央(セントラル・)聖塔(ジッグラト)と大聖堂のどっちなのでしょう? です」

 という疑問を口にするカチュア。

 

「どっちというよりかは、中央(セントラル・)聖塔(ジッグラト)の一部と大聖堂の一部の双方な気がしますわね。古の時代に遺跡を起点に地上研究実験棟とやらが作られて、さらにその後、メルティーナ法国となった後に増築されて今の形になった……とまあ、そういう感じですわ」

「なるほどですです。たしかに、中央(セントラル・)聖塔(ジッグラト)は場所によって雰囲気が違っていたのです」

「言われてみると、大聖堂も大封印がある深部は、遺跡をちょっとキレイにして大聖堂っぽくしてみたって感じだったね」

 イザベラの返答に対し、カチュアとセシリアがそれぞれそんな風に言う。

 

「先程話に出てきたゲートの存在を考えますと、聖都の方も一部含まれていそうですね」

「たしかに街中にも、ちょっと変わった場所はあった気がするのです」

 リリティナに対してメルメメルアがそう返事をした所で、ヨナが推測を口にする。

「イザベラ様が言ったように、増築――というかひとつの棟では足りなくなって、複数の棟が追加で作られたのかもしれませんね」

 

「まあ……行われていた研究や実験が、最終的には色々と広がったという話ですし? 色々とやり出すのであれば、少し増築した程度では足りなくなりそうではありますわね」

 

「しかし、それほどの規模のラボラトリーだったすると、セキュリティも厳重だっただろうし、PPAコード……いや、カードキーの類も簡単には手に入らなさそうな感じだな……」

「そうねぇ……たしかにそんな気がするわね。まあ、行ってみないとわからないけれど」

 ラディウスの言葉にルーナがそう返す。

 そして、それに続くようにして、

「ま、その為にもデュオロードともう少し話す必要があるな。――というわけで、そろそろ向こう側へもどるとしようか」

 と告げるラディウス。

 

「うん、そうだね」

「はい。そういたしましょう」

「ええ、異議なしですわ」

 セシリア、リリティナ、イザベラがそれぞれそんな風に答え、他の皆も頷いて同意する。

 そして、それを確認したラディウスは、再び向こう側の光景を思い浮かべた――

天剣宮が遺跡だというのは、中盤の最初の方で初めて訪れた時に言っていたりします。

が、それ以来、天剣宮へは訪れていないので、今考えると間が空きすぎな気もしますね……

もう少し中盤~終盤の間で、天剣宮での話を追加しておいた方が良かったようにも思えます。


ま、まあ、そんな所でまた次回!

次の更新も予定通りとなります、2月16日(日)の想定です!


※追記

ルビを振り忘れていたので追加しました。

脱字を修正しました。

セシリアとイザベラを間違えていた箇所があったので修正しました。

一部カットした結果、会話の繋がりがおかしくなっていた箇所を修正しました。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ